動画
From a Basement on the Hill
Elliott Smith
- Coast To Coast
- Let’s Get Lost
- Pretty (Ugly Before)
- Don’t Go Down
- Strung Out Again
- A Fond Farewell
- King’s Crossing
- Ostrich & Chirping
曲情報
「Twilight」（トゥワイライト）はアメリカのシンガーソングライター、エリオット・スミスの6枚目にして最後のスタジオアルバムである『フロム・ア・ベースメント・オン・ザ・ヒル』に収録された曲。2000年から2003年にかけてレコーディングされ、スミスの死により何度も発売が延期されたが、2004年10月18日に英国とヨーロッパではDominoから発売され、米国では翌日の2004年10月19日にレコードレーベルAnti-から、彼の死からほぼ1年後に発売された。
歌詞の意味
この曲は惹かれ合いながらも結ばれない関係を、静かな自己観察と諦念を交えて描いている。語り手は相手と過ごす瞬間の温かさや魅力を認めつつ、自分にはすでに大切な存在がいるという現実を前に、踏み越えることのできない境界を自覚している。そのため感情の高まりと、それに反する理性的判断のあいだに緊張が生じ、曲全体に淡い苦さが漂う。
相手が孤独や依存に揺れている様子が描かれ、語り手は共感を示しつつも、その問題を根本的に解決できない立場であることを理解している。相手を支える可能性を一瞬思い浮かべながら、最終的には自分も相手を失望させてしまうだろうと結論づける点に、自己認識の鋭さと諦めが同時に表れる。
終盤では、相手の強い光に惹かれつつも、その輝きに近づくことの危うさが示され、語り手が疲弊や無力感を抱えている内面が浮かび上がる。ふたりの関係は一時的な美しさを帯びながらも、根本的に交わらない線として提示され、語り手が「すでに誰かの大切な存在」であるという事実が、関係を進めない理由として全体を貫く。全体として、叶わない親密さと静かな悲哀が中心に据えられた構成になっている。
