動画
歌詞&翻訳
In Penny Lane there is a barber showing photographs
ペニーレインには床屋がいて
Of every head he’s had the pleasure to know
これまでに手がけた髪型の写真を見せている
And all the people that come and go
行き交う人々は
Stop and say hello
立ち止まって「やあ」と声をかける
On the corner is a banker with a motorcar
角には銀行家がいて車を持っている
The little children laugh at him behind his back
小さな子どもたちは彼の背後で笑っている
And the banker never wears a mac
彼はどんな土砂降りの雨でも
In the pouring rain
決してレインコートを着ない
Very strange
すごく変わってるんだ
Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニーレインは僕の耳の中、僕の瞳の中に
There beneath the blue suburban skies
そこは青い郊外の空の下にあるんだ
I sit and meanwhile back
僕は座っていて、一方その頃
In Penny Lane there is a fireman with an hourglass
ペニーレインには消防士がいて砂時計を持っている
And in his pocket is a portrait of the Queen
ポケットには女王の肖像画が入っている
He likes to keep his fire engine clean
彼は消防車を綺麗に保つのが好きで
It’s a clean machine
いつもピカピカな消防車なんだ
[Piccolo trumpet solo]
[ピッコロ・トランペット・ソロ]
Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニーレインは僕の耳の中、僕の瞳の中に
Four of fish and finger pies
4ペンス分のフィッシュ・アンド・チップスとフィンガーパイ
In summer, meanwhile back
夏がやってきたけれど、ペニーレインは変わらずそこにある
Behind the shelter in the middle of a roundabout
ロータリーの真ん中の待合所の後ろでは
A pretty nurse is selling poppies from a tray
綺麗な看護師がトレーを手にポピーを売っている
And though she feels as if she’s in a play
彼女はまるで劇の中にいるような気がするけど
She is anyway
まあ実際そうなんだ
In Penny Lane the barber shaves another customer
ペニーレインでは床屋がまた別の客の髭を剃っている
We see the banker sitting, waiting for a trim
ほら、銀行家はじっと座って順番を待っているよ
And then the fireman rushes in
すると突然消防士が
From the pouring rain
土砂降りの雨の中駆け込んでくる
Very strange
すごく変な光景だよね
Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニーレインは僕の耳の中、僕の瞳の中に
There beneath the blue suburban skies
青い郊外の空の下にあるんだ
I sit and meanwhile back
僕は座っていて、一方その頃
Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニーレインは僕の耳の中、僕の瞳の中に
There beneath the blue suburban skies
青い郊外の空の下で
Penny Lane
ペニーレイン
曲情報
「Penny Lane」 は、イギリスのロックバンド、ザ・ビートルズが1967年2月に「Strawberry Fields Forever」との両A面シングルとしてリリースした楽曲。ポール・マッカートニーが主に作曲し、作詞作曲はレノン=マッカートニーのクレジットとなっている。
歌詞は、リバプールの「ペニー・レイン」という通りを題材にしており、マッカートニーが幼少期の思い出として覚えていた風景や登場人物について描かれている。
制作背景
ビートルズは1966年12月に「Penny Lane」のレコーディングを開始し、当初はアルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に収録する予定だった。しかし、レコード会社が新曲のリリースを求めたため、急遽シングルとして発表することになった。
その結果、バンドの「シングル曲をアルバムに収録しない」方針に従い、『サージェント・ペパーズ』には収録されなかった。
楽曲は多くの転調を含み、各ヴァースの途中やサビ間で頻繁に調性が変わる特徴がある。また、ブリッジ部分のソロには、セッション・ミュージシャンのデヴィッド・メイソンによるピッコロ・トランペットの演奏が使用されている。
チャート成績と評価
「Penny Lane」はヨーロッパ各国でトップ5入りし、アメリカのビルボード・ホット100で1位を獲得した。しかし、イギリスでは「Please Please Me」(1963年)以来、ビートルズのシングルとして初めて「Record Retailer」チャートで1位を逃した。
その後、1967年11月にアメリカ盤アルバム『Magical Mystery Tour』に収録された。
ランキングと受賞歴
- 2021年、Rolling Stone 誌が選ぶ「史上最高の500曲」で280位にランクイン
- 2006年、Mojo 誌の「ザ・ビートルズのベスト101曲」で9位にランクイン
- 2011年、グラミー殿堂賞(Grammy Hall of Fame) に選出
歌詞の意味
背景とインスピレーション
「Penny Lane(ペニー・レイン)」は、イギリス・リバプールの南部、モスリー・ヒル地区にある通りである。この名前は、スミスダウン・ロードとアラートン・ロードが交わる地域や、スミスダウン・プレイスのロータリーにも適用される。かつてこのロータリーは、リバプール市電の重要なトラム接続点であり、大規模なバスターミナルがあった場所だった。
このロータリーは、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンが子供の頃や学生時代によく利用していた停留所であり、バスでの移動やこの地域自体が、後にレノン=マッカートニーの作詞作曲活動の初期のインスピレーションになった。
2009年、マッカートニーは次のように振り返っている。
「Penny Lane はどこかノスタルジックな曲だったけど、実際にはジョンと僕がよく知っている場所についての歌だったんだ… 僕は彼の家へ行くためにペニー・レインでバスを乗り換えなければならなかったし、彼も同じだった。だから僕らはよくあのバスターミナル(ロータリー)にたむろしていたんだ。それが、僕ら二人がよく知っていた場所だったし、歌の中に登場するものも、僕らが実際に目にしていたものばかりなんだ。」
楽曲制作の経緯
レノンは「In My Life(イン・マイ・ライフ)」のオリジナルの歌詞に、「Penny Lane」の言及を含める予定だった。ビートルズが1965年10月に「In My Life」のレコーディングを行った直後、マッカートニーはインタビューで「Penny Lane についての曲を書きたい」と語っていた。
しかし、実際にこの曲を書き上げたのは1966年末であり、レノンの「Strawberry Fields Forever」に刺激を受けたことがきっかけだった。また、マッカートニーはこの曲のインスピレーションとして、ディラン・トーマスのノスタルジックな詩「Fern Hill」も挙げている。
「Penny Lane」の歌詞は、レノンとマッカートニーの共作。レノンは1970年のインタビューで次のように回想している。
「あの銀行があったし、トラムの車庫もそこにあった。人々が待っていて、車掌が立っていて、消防車が向こう側に停まっていた。まさに子供時代を思い出していたんだよ。」
LSDの影響と批評家の見解
「Penny Lane」の作詞は、ビートルズがアルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のレコーディングを開始した初期セッションの段階で行われた。このセッションの前、ビートルズは約3ヶ月間、それぞれ個別の活動をしていた。
ビートルズの伝記作家であるイアン・マクドナルドは、歌詞にLSDの影響がある可能性を指摘している。彼は、「マッカートニーが初めてLSDを試したのは1966年末だった」と推測し、特に次の一節をLSDの影響を感じさせるフレーズだと考えている。
「And though she feels as if she’s in a play / She is anyway(彼女はまるで劇の中にいるように感じる / 実際にそうなのだ)」
また、音楽評論家のロイ・カーとトニー・タイラーは、「Penny Lane」のテーマについて以下のように評している。
「本質的には“リバプールの晴れた幻覚的な午後”という感じの曲だ。」
万華鏡のように入り組んだ歌詞
「Penny Lane」の歌詞には、いくつかの曖昧でシュールなイメージが含まれている。この曲は、まるで晴れた夏の日を描いているかのように思える(「beneath the blue suburban skies(青い郊外の空の下で)」)が、同時に雨が降っている場面もある(「the fireman rushes in from the pouring rain(消防士が土砂降りの雨の中から駆け込んでくる)」)。さらに、冬が近づいていることも示唆されている(「selling poppies from a tray(トレイに載せたポピーを売る)」 という描写は、11月11日のリメンブランス・デーを連想させる)。
音楽評論家のイアン・マクドナルドは次のように述べている。
「一見、自然主義的な情景に思えるが、実際にはカレイドスコープ(万華鏡)のように入り組んでいる。この曲では、雨が降りながら晴れてもいて、夏でありながら冬でもあるのだ。」
歌詞に登場する消防士と消防車は、メイザー・アベニュー消防署の記憶に基づいている。また、床屋のシーンは、マッカートニー、ハリスン、レノンが子供の頃に通っていたビオレッティの理髪店がモデルになっている。
Four of fish and finger pies の意味
Four of fish and finger pies
4ペンス分のフィッシュ・アンド・チップスとフィンガーパイ
「A four of fish and finger pies」というフレーズには、イギリスのスラングが含まれている。「A four of fish」は、4ペンス分のフィッシュ・アンド・チップスを指し、「finger pie」は性的なスラング(手での愛撫)を意味する。
音楽評論家であり音楽学者のウィルフリッド・メラーズは、1973年の著書 Twilight of the Gods の中で、「Penny Lane」の特徴を次のように分析している。
「この曲は、音楽的にも歌詞的にも、子供のように陽気でありながら、どこか夢の中のような狂気もはらんでいる。その幻覚的な感覚は、特定のドラッグによるものというよりは、アイデンティティの問題に関連している。つまり、幼少期の記憶の中で、何が現実で何が幻想なのかを問いかける楽曲なのだ。」
I sit and meanwhile back の意味
Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニーレインは僕の耳の中、僕の瞳の中に
There beneath the blue suburban skies
そこは青い郊外の空の下にあるんだ
I sit and meanwhile back
僕は座っていて、一方その頃
「meanwhile back」は場面転換を指すための言葉で、「一方その頃」と訳せる。ここでは座ってペニーレインのことを思い出している語り手からの場面転換になっているため、「一方その頃現実では、~になっている/~が起こっている」という現実への場面転換があると考えられる。sonichits.comでは「As the singer thinks about Penny Lane, time moves on(歌い手がペニーレインについて考えている間にも、時間は流れている)」という解釈を示している。
In summer, meanwhile back
夏がやってきても、ペニーレインの思い出は変わらずそこにある
この部分はペニーレインに夏がやってきて、「一方その頃、現実では」と読むこともできるし、先程の形式を踏襲しているならば、夏がやってきたのは現実で、「現実では夏がやってきたけれど、ペニーレインは変わらずにそこにある」と解釈することもできる。
ちなみに以下の部分はペニーレインの季節を表している一節である。
A pretty nurse is selling poppies from a tray
綺麗な看護師がトレーを手にポピーを売っている
ポピー(poppies)は、イギリスでは「リメンブランス・デー(Remembrance Day)」(11月11日、第一次世界大戦の戦没者追悼の日)に関連する花であるため、この描写から、ペニーレインの風景を秋の終わりから冬の始まりにあたる季節と捉える解釈もある。