動画
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Abbey Road
The Beatles
歌詞&翻訳
Her Majesty’s a pretty nice girl
女王陛下はまあまあ素敵な人だけど
But she doesn’t have a lot to say
あまり多くを語らない
Her Majesty’s a pretty nice girl
女王陛下はまあまあ素敵な人だけど
But she changes from day to day
日ごとに変わっていく
I wanna tell her that I love her a lot
彼女に「心から愛してる」と伝えたいけれど
But I gotta get a belly full of wine
まずはワインをたらふく飲まなきゃね
Her Majesty’s a pretty nice girl
女王陛下はまあまあ素敵な人だから
Someday I’m gonna make her mine
いつか俺のものにしてみせるよ
Oh yeah, someday I’m gonna make her mine
ああ、いつかきっと俺のものにしてみせるよ
曲情報
”Her Majesty”(ハー・マジェスティ)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録されている。ポール・マッカートニーによって作詞・作曲され、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。楽曲は短く、ユーモラスなミュージックホール風の曲である。
アルバムでは、前曲 “The End” から14秒後に収録されているが、オリジナルのジャケットには記載されていなかった。このため、一部の評論家は本曲を「隠しトラック」の最初の例と見なしている。
録音
1969年7月2日、ポール・マッカートニーは、”Her Majesty” の23秒の短いバージョンを演奏した。この曲は『Get Back』のセッションで初めて披露され、その後『Let It Be』へと発展した。
”Her Majesty” は、1969年7月2日に3回のテイクで録音され、その後、ビートルズが “Golden Slumbers/Carry That Weight” の制作に取りかかる前に録音作業が完了した。マッカートニーは指弾きのアコースティックギターの伴奏をつけながら歌った。この曲をアルバムのメドレーから除外する決定が下されたのは、同年7月30日のことである。
構成と配置
マッカートニーは、録音テープを廃棄するよう希望していたが、テープオペレーターのジョン・カーランダーは、ビートルズの素材を捨てないよう上司から指示を受けていた。マッカートニーの指示に従い、カーランダーは楽曲の最後の音をカットしたが、曲を完全に削除することはなかった。彼は、録音テープを拾い上げ、約20秒の赤いテープを前に挟み、編集テープの最後に配置した。その結果、”The End” の終了後14秒の沈黙の後に “Her Majesty” が続く形となった。この変更をマッカートニーは気に入り、アルバムへの収録を承認した。
オリジナルのレコードジャケットには本曲が記載されなかったが、再版では記載され、CD版では正式にリストに加えられた。
23秒という短さから、”Her Majesty” はビートルズの最も短い楽曲である。『The Beatles Anthology』において、マッカートニーはこの経緯を「典型的なビートルズの事故」と表現している。曲の冒頭の高音コードは、元々 “Mean Mr. Mustard” の最後に録音されたものである。
歌詞
マッカートニーは本曲について「基本的には王党派の曲だが、やや皮肉なトーンを持ち、非常に茶目っ気のあるもの」と述べている。曲は、女王とのロマンスを夢見ながらも、彼女に対するいくつかの疑念を抱く男性について歌っている。「Her Majesty is a pretty nice girl / But she doesn’t have a lot to say / Her Majesty is a pretty nice girl / But she changes from day to day(彼女はまあまあ素敵な女性 / でもあまり多くを語らない / 彼女はまあまあ素敵な女性 / でも日々変わっていく)」という歌詞は、エリザベス2世に対する批判と解釈されることもある。
しかし、マッカートニー自身は共和制よりも君主制を支持しており、エリザベス2世を「賢く、素晴らしく、華やか」と称賛している。また、彼は女王をイギリス社会の統一の象徴として理解している。
歌詞の意味
pretty nice のニュアンス
Her Majesty’s a pretty nice girl
女王陛下はまあまあ素敵な人だけど
英語の “pretty” は、「かなり」「まあまあ」といった程度を示す副詞で “very” や “really” より弱い表現になる。
そのため、“pretty nice” は 「とても素敵」 というより、 「まあまあ素敵」「なかなかいい感じ」「そこそこいい」 くらいのニュアンスになる。
たとえば、
- “This cake is pretty good.” → 「このケーキ、まあまあ美味しいね」
(「すごく美味しい!」というほどではない) - “He’s a pretty smart guy.” → 「彼はなかなか賢い人だよ」
(「天才」ではなく「頭がいいほう」くらいのニュアンス)
この曲の “Her Majesty’s a pretty nice girl” も、「女王陛下はとても素敵な人だ」と絶賛しているわけではなく、「女王陛下はなかなかいい人だね」くらいのカジュアルな言い方になっている。