【曲解説】The Beatles – Mean Mr. Mustard

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曲情報

“Mean Mr. Mustard”(ミーン・ミスター・マスタード)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録されている。ジョン・レノンが作詞・作曲し、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。アルバムのB面メドレーの3曲目であり、「Sun King」と連続して録音された。

作曲

この楽曲は、ビートルズがインドに滞在していた際にレノンによって書かれた。レノンは新聞記事に登場した、財産を隠し続ける守銭奴の話から着想を得たとされている。しかし、後に『Anthology』の中でこの曲を「インドで書いたくだらない曲の一つ」と評している。

1968年5月にジョージ・ハリスンの自宅(イーシャー)でデモが録音され、その音源は『Anthology 3』や『The Beatles(2018 Deluxe Edition)』に収録されている。このデモでは、マスタードの妹の名前が「シャーリー」となっていたが、レノンはアルバムの次曲「Polythene Pam」への繋がりを意識し、歌詞を「Pam」に変更したと語っている。

当初、「Mustard」はDメジャーのコードで終わり、次曲「Her Majesty」へと繋がる予定だった。しかし、「Her Majesty」がアルバムの最後に移動されたため、現在の形では「Polythene Pam」へと直接つながる形となっている。元のエンディングを含む完全版は、ビデオゲーム『The Beatles: Rock Band』や『Abbey Road(2019 Super Deluxe Edition)』で聴くことができる。

出典

1967年6月7日付の『Daily Record』には「A Mean Husband Shaved in the Dark(暗闇で髭を剃るケチな夫)」という見出しの記事が掲載され、そこには「ジョン・マスタード」という男性の話が紹介されていた。1980年のインタビューでレノンは、「ある新聞で読んだんだ。5ポンド札を鼻の中ではなく、別の場所に隠していた男について。それを元に書いたんだ」と語っている。

メンバーと担当楽器

Kevin Howlettによると、以下の通りである。

  • ジョン・レノン – リード、ハーモニー・ボーカル、リズムギター、ピアノ
  • ポール・マッカートニー – ハーモニー・ボーカル、ファズ・ベース
  • ジョージ・ハリスン – リードギター
  • リンゴ・スター – ドラムス、タンバリン、マラカス

歌詞の意味

この曲は公園で眠り、奇妙な倹約ぶりとちょっとした変わり者ぶりで町の噂になっている老人と、その対照的に快活で働き者の妹との風変わりな日常を、コミカルで皮肉の効いたタッチで描いている。彼は身なりにも無頓着でどこか怪しげな行動をとり、妹はそんな兄を引っ張り出して外の世界を見せようとするが、そのたびに彼は場違いな言動をしてしまうという、小さな騒動が繰り返される内容。社会の片隅で生きる兄妹の姿が、軽いメロディとともにユーモラスに切り取られ、哀愁と可笑しさが入り混じった独特の味わいを持つ曲になっている。

meanは意地悪じゃない

mean」には「意地悪」という意味もあるが、ここでは「ケチな」「しみったれた」「下品な」「さもしい」という意味で使われている。

歌のモデルとなった実在の人物は「お金を貯め込むケチな男」として知られていた。

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