【曲解説】Sting – Ghost Story

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曲情報

「Ghost Story」(ゴースト・ストーリー)は、イギリスのミュージシャン、スティングの楽曲。この曲は6枚目のソロ・スタジオ・アルバム『ブラン・ニュー・デイ』に収録され、1999年9月27日にA&Mレコードからリリースされた。アルバムはビルボード200で最高9位を記録し、米国で350万枚以上を売り上げた。発売後、『ブラン・ニュー・デイ』は批評的にも商業的にも成功し、このアルバムにより、スティングは最優秀ポップ・ボーカル・アルバムと最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンスのグラミー賞を受賞した。

歌詞の意味

この曲は過去の関係を長く否認し続けてきた語り手が時間の経過とともにその感情の真実へ向き合わざるを得なくなる過程を描いている。冬の訪れや火の揺らぎといった季節の象徴が、記憶の冷たさや胸の内に残る痛みを呼び起こし、自分自身を裁く“法廷”のイメージが繰り返されることで、語り手が内面で審判を続けている状況が強調されている。

語り手は長らく無関心を装い、記憶を曖昧にし、距離を置くことで自らを守ろうとしてきた。しかし、その態度は自己防衛にすぎず、実際には相手を常に基準として生きてきたことが断片的な思い返しから明らかになっていく。星や潮の満ち引き、地球の運動といった自然の力を問いかける比喩は、語り手が理解しきれないまま逃げ続けてきた感情の大きさを象徴している。

最終的に語り手は防衛の仮面を外し、自分が否定してきた感情を認めざるを得ない地点に達する。関係を失った後になって、恐れや逃避の背後に隠れていた愛情の確かさが姿を現し、その告白が曲の締めくくりとして静かに置かれている。作品全体は、否認から受容へと移る内面の旅路を、季節の移り変わりと法廷の比喩によって丁寧に描いた構成になっている。

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