動画

The Joshua Tree
U2
歌詞&翻訳
In the howlin’ wind
遠吠えする風が吹く中
Comes a stingin’ rain
突き刺すような雨が降り始めた
See it drivin’ nails
ほら見ろ、その雨は
Into the souls on the tree of pain
苦痛の木に磔にされた魂に釘を打ち込むように降り注いでいる
From the firefly
A red orange glow
赤橙色の輝きがホタルの光から生まれる
See the face of fear
見ろ、恐怖に染まった顔が
Runnin’ scared in the valley below
谷の下で怯えながら逃げていく
Whoo, whooo
フゥー、フゥー
Bullet the blue sky
弾丸が青空を飛び交っている
Bullet the blue sky
弾丸が青空を飛び交っている
Bullet the blue
弾丸が青空を
Bullet the blue
弾丸が青空を
In the locust wind
イナゴの群れの羽音のように
Comes a rattle and hum
銃声と軍用車の走行音が鳴り響く
Jacob wrestled the angel
ヤコブが天使と取っ組み合い
And the angel was overcome
天使は打ち負かされた
You plant a demon seed
お前は悪魔の種を植え
You raise a flower of fire
燃え上がる炎の花を育てる
We see them burnin’ crosses
俺たちは燃える十字架を見る
See the flames, higher and higher
見ろ、炎はどんどん勢いを増している
Whoo, whooo
フゥー、フゥー
Bullet the blue sky
弾丸が青空を飛び交っている
Bullet the blue sky
弾丸が青空を飛び交っている
Bullet the blue, oh
弾丸が青空を oh
Bullet the blue, oh
弾丸が青空を oh
So this guy comes up to me
すると、この男が俺の前に現れた
His face red like a rose on a thorn bush
その顔は茨の茂みに咲く薔薇のように赤く
Like all the colours of a royal flush
まるでロイヤルフラッシュのすべての色をまとったようだった
And he’s peelin’ off those dollar bills
やつはドル札をめくり
Slappin’ ‘em down
バンバンと叩きつけていく
One hundred, two hundred
100、200と
And I can see those fighter planes
そして俺には戦闘機が見える
And I can see those fighter planes
戦闘機が飛ぶのが見える
Across the mud huts as children sleep
子供たちが眠っている間に、泥にまみれた小屋を横切って
Through the alleys of a quiet city street
静かな街の路地を抜けて
And take the staircase to the first floor
階段を上がって1階へ
Turn the key and slowly unlock the door
鍵を回し、ゆっくりとドアを開ける
As a man breathes into his saxophone
すると、男がサックスに息を吹き込み
And through the walls you can hear the city groan
壁の向こうから街のうめき声が聞こえてくる
Outside, it’s America
外はアメリカだ
Outside, it’s America
外はアメリカだ
America
アメリカだ
See across the field
戦場の向こう側を見ろ
See the sky ripped open
引き裂かれた空を見ろ
See the rain comin’ through the gapin’ wound
裂けた傷口から雨が降ってくるのを見ろ
Howling the women and children
泣き叫ぶ女と子供たち
Who run into the arms
彼らは走り、飛び込む
Of America
アメリカの腕の中へ
曲情報
「Bullet the Blue Sky(バレット・ザ・ブルー・スカイ)」は、アイルランドのロックバンドU2(ユーツー)の楽曲であり、1987年のアルバム『The Joshua Tree』の4曲目に収録されている。歌詞は、ボーカルのボノがニカラグアとエルサルバドルを訪れた際に目の当たりにした、アメリカ合衆国の軍事介入による現地の農民への影響に着想を得ている。怒りを感じたボノは、ギタリストのエッジに「エルサルバドルをアンプに通してくれ」と頼んだ。「Bullet the Blue Sky」はバンドの中でも特に政治的なメッセージが強い楽曲の一つであり、ライブパフォーマンスではしばしば政治的な紛争や暴力への批判が込められる。
作詞・作曲と録音
「Bullet the Blue Sky」は、U2がダブリンのSTSスタジオでプロデューサーのポール・バレットと共に行ったジャムセッションでデモとして生まれた。エッジは、イギリスのロックバンドThe Fallの楽曲を聴いて、そのギターリフを真似ようとしたが、結果的に独自のリフを生み出した。彼はこのリフを「アップテンポで、とても強烈なもの」と評しており、最終的にこれが「Bullet the Blue Sky」のサビ部分となった。ベーシストのアダム・クレイトンとドラマーのラリー・マレン・ジュニアが加わり、楽曲にハーフタイムのリズムが取り入れられた。
ボノはクレイトンがエッジと異なるキーで演奏していたことに気づいたが、録音が終わるとバンド全員がそのデモを「絶対的に素晴らしい」と感じた。エッジはデモバージョンを「もっとシンプルでヘビーファンクのようだった」と振り返っているが、当初この楽曲は未完成のまま放置された。しかし、プロデューサーのブライアン・イーノが「ホームレスのリフ」と表現し、バンドに完成させる価値があると説得した。
1986年7月、ボノと妻のアリ・ヒューソンはニカラグアとエルサルバドルを訪れ、政治的な対立やアメリカの軍事介入によって苦しむ農民の姿を目の当たりにした。この経験に大きな衝撃を受けたボノは、バンドに戻るとエッジに「エルサルバドルをアンプに通せ」と指示し、その結果としてギターのフィードバックを多用した演奏が生まれた。
プロデューサーのダニエル・ラノワは、「Bullet the Blue Sky」の制作が最も進んだのは、エッジが新しく購入したモンクスタウンの海沿いの自宅「メルビーチ」でのセッションだったと語っている。ラノワは、20分間のジャムセッションから最終的なアレンジを作り上げた。レコーディングエンジニアのデイブ・ミーガンは、Led Zeppelinのようなサウンドにするために、ミックスの調整を行い、よりヘビーな音に仕上げた。
ミーガンのアイデアにより、U2の主要エンジニアであるフラッドは、レコーディングをウィンドミル・レーン・スタジオで行い、隣接する倉庫に設置したPAシステムでマレンのドラムを鳴らし、それを再録音した。この手法により、ミーガンは「ジョン・ボーナム(Led Zeppelinのドラマー)のようなサウンドになった」と語っている。
最終的なミックスは2つの異なるバージョンを組み合わせたものであり、1986年12月にU2がスティーブ・リリーホワイトを迎えてアルバムのミックスを行った際、エッジが「あるバージョンから別のバージョンへ飛び移る」よう依頼した。リリーホワイトは2つのテープのテンポを手作業で調整しながら、異なるセクションを1/2インチのテープレコーダーに転送し、「すべてが一度に演奏されたわけではなく、完全に異なる要素をつなぎ合わせた」と語っている。
リリーホワイトの最終ミックスは、イーノとラノワのバージョンとは大きく異なり、エフェクトやオーバーダビングを多用していた。ラノワは、「私たちは録音された音空間をそのまま伝えようとしていたが、彼(リリーホワイト)はそれにこだわらず、あらゆるエフェクトを駆使した」と語っている。
楽曲の中でボノは、「顔を茨の茂みに咲く薔薇のように赤くして、まるでロイヤルフラッシュのすべての色をまとったような男」が「100ドル、200ドルと札束を叩きつける」場面を語る。この歌詞のモデルとなったのは、当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンであり、彼の政権が中南米の軍事政権を支援していたことに対する批判が込められている。また、この歌詞は、ボノがエルサルバドルで見た壁画に影響を受けたものであり、そこには戦車に乗ったレーガンがファラオとして描かれ、逃げ惑うエルサルバドルの人々が「イスラエルの子供たち」として表現されていた。