【歌詞和訳】U2 – Red Hill Mining Town

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歌詞&翻訳

From father to son
父から息子へ
The blood runs thin
血は薄れていく
Ooh, see the faces frozen still
Against the wind
ああ、ほら見てくれ、向かい風の中でじっと動かないままの人たちの顔を

The seam is split
継ぎ目は裂け
The coal-face cracked
炭層はひび割れ
The lines are long
列は長く続き
There’s no going back
もう後戻りはできない

Through hands of steel
鋼の手と
And heart of stone
石のような心で
Our labour day
Has come and gone
俺たちの労働の日々は過ぎ去っていった

They leave me holdin’ on
In Red Hill Town
俺はただしがみつくしかない、レッド・ヒル・タウンに置き去りにされて
See the lights go down on
沈んでいく灯りを見つめながら

Hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ
I’m still waiting
俺はまだ待っているのさ
I’m hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ

The glass is cut
グラスは割れ
The bottle run dry
ボトルは空っぽになった
Our love runs cold
俺たちの愛は冷え切っていく
In the caverns of the night
夜の洞窟の中で

We’re wounded by fear
俺たちは恐怖によって傷つき
Injured in doubt
疑念に痛めつけられる
I can lose myself
俺は自分を見失うことはできても
You I can’t live without
お前なしでは生きられないんだ

Yeah, you keep me holdin’ on
そう、お前が俺を支えてくれている
In Red Hill Town
レッド・ヒル・タウンで
See the lights go down on
沈んでいく灯りを見つめながら

I’m hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ
I’m still waiting
まだ待っているのさ
Hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
On to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ

We scorch the earth
俺たちは大地を焦がし
Set fire to the sky
空に火を放つ
And we stooped so low
To reach so high
俺たちは高みを目指し、どん底まで落ちた

A link is lost
ひとつの絆が失われ
The chain undone
鎖は切れた
We wait all day
For night to come
俺たちは一日中、夜の訪れを待ち続ける
And it comes
そして、ついにやってくる
(Like a hunter, child)
(まるで狩人のように)

I’m hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ
I’m still waiting
まだ待っているのさ
I’m hangin’ on
しがみついている
You’re all that’s left to hold on to
お前だけが、俺に残された唯一の支えなんだ
Love, slowly stripped away
愛はゆっくりと剥がれ落ち
Love has seen its better day
かつての輝きを失っていく
Hangin’ on
しがみついている
Lights go out on Red Hill
レッド・ヒルの灯りが消えていく
The lights go down on Red Hill
レッド・ヒルの灯りが沈んでいく
The lights go down on Red Hill Town
レッド・ヒル・タウンの灯りが消えていく
Lights go down on Red Hill
レッド・ヒルの灯りが沈んでいく

曲情報

 「Red Hill Mining Town(レッド・ヒル・マイニング・タウン)」は、ロックバンドU2(ユーツー)の楽曲であり、1987年のアルバム『The Joshua Tree』の6曲目に収録されている。この曲のラフバージョンは、1985年の『The Joshua Tree』制作初期のセッションで作られた。楽曲のテーマは、1984年にイギリスで起こった全国炭鉱労働組合(National Union of Mineworkers)のストライキであり、これは国営炭鉱委員会(National Coal Board)による採算の取れない炭鉱閉鎖の方針に対抗するものだった。1987年2月には、ニール・ジョーダン監督によるミュージックビデオが制作された。この曲は当初、アルバムの2枚目のシングルとして発売される予定だったが、最終的には「I Still Haven’t Found What I’m Looking For」に変更された。

 2017年4月、プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトによる新しいミックスバージョンがシングルとしてリリースされた。

背景と録音

 1984年、全国炭鉱労働組合(NUM)は、イギリス国営炭鉱委員会(NCB)が採算の取れない多くの炭鉱を閉鎖する決定を下したことに反対し、ストライキを決行した。マーガレット・サッチャー政権はこのストライキに激しく反対した。この争議は政治的、社会的に大きな混乱を引き起こし、労働組合のピケット隊と警察との暴力的な衝突に発展した。20世紀のイギリスで最も分裂と敵対を生んだ市民紛争の一つとなり、ウェールズ、イングランド中部、北部の炭鉱コミュニティに深刻な社会的・経済的影響を与えた。

 1984年、ボブ・ディランがアイルランドのスレイン城でライブを行った際、U2のボノは彼をHot Press誌のインタビューで取材し、その後ディランのステージで共演した。この出会いを通じて、ボノは「自分のレコードコレクションは1976年に始まったが、まだまだ学ぶことが多い」と感じ、歌唱、作詞、演奏技術の伝統についてさらに探求するようになった。ボノとディランの友情が深まるにつれ、ボノはディランの過去の作品を掘り下げ、アイルランドとアメリカのフォークミュージックのつながりを探るようになった。また、ブルース・スプリングスティーンの労働者階級の労働歌にも影響を受けた。

 U2のフォーク音楽への関心は、アイルランドのフォークバンド「ダブリナーズ」の結成25周年記念番組『The Late Late Show』でのパフォーマンスにも表れた。この番組でU2はペギー・シーガーの「Springhill Mining Disaster」を演奏し、ノバスコシア州の炭鉱災害を題材にした楽曲を披露した。

 こうした影響が「Red Hill Mining Town」の制作に結びつき、この曲の初期バージョンは1985年の『The Joshua Tree』制作初期のセッションで作られた。ボノの歌詞はストライキが家族や人間関係に及ぼすストレスに焦点を当てており、多くの家庭が崩壊したことを描いている。特に、トニー・パーカーの著書『Red Hill: A Mining Community』から影響を受けた。ボノは政治的な詳細を深く掘り下げなかったことを一部から批判されたが、自身は「自分は関係性に興味があり、ストライキについてはもっと適任な人がいる」と語っている。

 録音時、ボノは初期のボーカルトラックに不満を抱き、「失業をテーマにした曲なのに、ポンド紙幣をポケットに詰め込んだ金持ちみたいに聞こえるのはなぜだろう?」と疑問を呈した。エンジニアは、ボーカルに施されていたステレオプレートリバーブがこの印象を与えていることを発見し、最終的にこのエフェクトを取り除いた。

 最終的に、U2はこの曲に完全に満足することはなかった。ミックスを担当したプロデューサーのスティーブ・リリーホワイトは、「バンドはこの曲を完璧な形に仕上げることができなかったと常に感じていた。もう少し良くできたはずだと思っていた」と語っている。特に、アークロー・シルバー・バンドによるブラスの伴奏が音程がずれていると考えられていた。そのため、リリーホワイトはシンセサイザーのトラックをミックスで強調するよう指示された。「1986年当時、キーボードでリアルなブラス音を作れることに感動していたからね」と彼は述べている。

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