【曲解説】Steps – 5, 6, 7, 8

動画

曲情報

「5,6,7,8」(ファイブ・シックス・セブン・エイト)は、イギリスのグループ、Steps(ステップス)の楽曲で、デビュー・アルバム『Step One(ステップ・ワン)』(1998年)に収録されている。バリー・アプトンとスティーヴ・クロズビーが作詞作曲を手がけ、カール・トゥイッグ、マーク・トッパム、ピート・ウォーターマンがプロデュースを担当した。テクノ・ポップとカントリー・ポップを融合させたスタイルの楽曲であり、JiveおよびEBULより1997年11月にデビュー・シングルとしてリリースされた。このリリースは、雑誌広告でのオーディションに応募したメンバーによってグループが結成された後に行われた。

「5,6,7,8」はUKシングルチャートで最高14位を記録し、これはStepsのシングルとしては比較的低い順位であるものの、イギリス国内においてはキャリア通算で3番目に売れたシングルとなり、2017年3月時点で36万5千枚を売り上げ、344万回のストリーミングを記録している。また、オーストラリアでは1位を獲得し、ベルギーおよびニュージーランドでもトップ5入りを果たした。ミュージックビデオはビーチで撮影され、バギーを運転する姿やバーでのダンスシーンが収められている。「5,6,7,8」は2012年の『The Ultimate Tour』、2017年の『Party on the Dancefloor Tour』、2021年の『What the Future Holds Tour』でも披露されている。

背景とリリース

Stepsは1997年、『The Stage』誌に掲載されたポップ・バンドのオーディション告知に応募してきた中から選ばれた。何千人もの応募者の中から、リー・ラッチフォード=エヴァンズ、リサ・スコット=リー、フェイ・トーザー、クレア・リチャーズ、イアン「H」ワトキンスがメンバーとして選ばれた。

「5,6,7,8」では、ラッチフォード=エヴァンズが大半のパートを担当し、スコット=リーが中間部(ブリッジ)を歌っている。レコーディングはイングランド・マンチェスターのPWLスタジオで行われ、同スタジオでリー・シャーマによってミキシングも行われた。アプトンは楽曲のアレンジとギター演奏も担当し、バンジョー、バイオリン、ドラム、キーボードはそれぞれショーン・ライオン、クリス・ヘイグ、クリス・マクドネル、カール・トゥイッグが演奏している。

アシスタント・エンジニアにはアル・アンズワースとブラッドリー・スプレッドボローが名を連ね、マスタリングはロンドンのTransfermation Studiosで行われた。「5,6,7,8」では、イアン「H」ワトキンスを除く全メンバーがリード・ボーカルを務めている(ワトキンスはバック・ボーカルのみ参加)。

イギリス、ヨーロッパ、日本で発売されたCDシングルには、拡張バージョン、インストゥルメンタル、W.I.P.によるリミックスなど複数のバージョンが収録された。イギリスおよびヨーロッパ盤には、B面曲として「Words of Wisdom」も収録されており、こちらもアプトンとクロズビーの共作である。

「5,6,7,8」は1997年11月にイギリスでリリースされ、その後、初のベスト・アルバム『Gold: Greatest Hits(ゴールド:グレイテスト・ヒッツ)』(2001年)、W.I.P.リミックスが収録されたコンピレーション・アルバム『The Last Dance(ザ・ラスト・ダンス)』(2002年)、およびセカンド・ベスト・アルバム『The Ultimate Collection(ジ・アルティメット・コレクション)』(2011年)にも収録された。

歌詞の意味

この曲はカントリー×ユーロポップという独特の組み合わせで、ラインダンスの楽しさを前面に押し出したダンス・チューン。歌そのものがダンスの掛け声から始まり、以降も延々と“踊り続けるためのテンション”が保たれる構成になっている。

サビでは、主人公が恋する相手を「ダンスフロアのカウボーイ」「ロデオのロミオ」と呼び、ウエスタンモチーフに対する憧れをコミカルに描く。激しく惹かれている気持ちを、カントリー風の比喩に乗せてリズミカルに表現しており、恋愛というより“踊りながらテンションを上げるための歌詞”としての側面が強い。

ヴァースでは、次々とダンスの動きを列挙していくことで、曲自体がダンスのインストラクションのような役割を果たす。ステップの細かい表現が続き、実際に振付を覚えながら楽しむ前提で作られた曲であることがよく分かる。

全体として、この曲は物語性よりもダンスの高揚感を優先させたタイプの楽曲で、クラブやイベントで会場を一体化させる“掛け声+ステップ”の役割を果たすように作られている。軽快で明るいエネルギーが最後まで続く、典型的なダンス・アンセムである。

error: Content is protected !!