動画
曲情報
「Crazy in Love」(クレイジー・イン・ラヴ)は、アメリカの歌手Beyoncé(ビヨンセ)がアメリカのラッパーJay-Z(ジェイ・Z)をフィーチャーした楽曲である。Jay-Z、ビヨンセ、Rich Harrison(リッチ・ハリソン)によって作詞作曲され、ビヨンセとハリソンがプロデュースを担当した。「Crazy in Love」はポップ、ヒップホップ、R&Bのラブソングで、1970年代のソウルやファンクの要素も含まれており、歌詞では恋愛に夢中になることで自分らしくなくなる様子が描かれている。Chi-Litesの1970年の楽曲「Are You My Woman (Tell Me So)」をサンプリングしており、グループのEugene Recordが作詞者としてクレジットされている。「Crazy in Love」は、ビヨンセのソロデビューアルバム『Dangerously in Love』からのリードシングルとして2003年5月18日にColumbia Recordsからリリースされた。
「Crazy in Love」はアメリカのBillboard Hot 100チャートとUKシングルチャートで1位を獲得し、オーストララシアやヨーロッパ各国でもトップ5にランクインした。キャッチーなプロダクション、Jay-Zのラップパート、ビヨンセのボーカルと「ア・オー、ア・オー」のフックは音楽評論家から高く評価された。2004年の第46回グラミー賞では、最優秀R&Bソング賞および最優秀ラップ/歌唱コラボレーション賞を受賞。Rolling Stone誌の「史上最も偉大な500曲」(2021年)にもランクインし、VH1やNME、Rolling Stoneのランキングで2000年代や21世紀の最高の楽曲としても評価された。
ミュージックビデオではビヨンセがさまざまなダンスシーンを披露しており、2003年のMTV Video Music Awardsで3部門を受賞。監督のJake Navaは2004年に最優秀R&Bビデオ賞も獲得した。2003年以降、ビヨンセのライブパフォーマンスやコンサートツアーでも定番曲となっている。ASCAPは「Crazy in Love」を2004年に最も演奏された楽曲の一つに認定。David Byrneをはじめとした多くのアーティストにカバーされ、テレビ番組などでも広く使用されている。
制作と背景
2002年7月時点で、ビヨンセはすでに『Dangerously in Love』に収録されるいくつかの曲を録音していた。Columbia Recordsは当初、同年10月にアルバムを発売する予定だったが、Nellyのヒット曲「Dilemma」(Kelly Rowlandとのデュエット)の成功を受けてリリースは延期された。この延期により、ビヨンセはさらに多くの楽曲を録音する時間を得た。
Rich Harrisonはビヨンセに出会う前から「Crazy in Love」のビートを構想しており、Chi-Litesの「Are You My Woman? (Tell Me So)」のホーンリフをサンプリングしていた。彼は当初このビートを売り込まず、「真にふさわしいアーティスト」が現れるまで温存していたという。
その後、ビヨンセがスタジオに訪れた際、Harrisonは彼女にこのビートを披露。最初は「ファンファーレがうるさすぎる」と感じていたビヨンセだったが、最終的にはこのサンプルを受け入れ、Kelly Rowlandの誕生日プレゼントを買いに出かける2時間の間に曲を完成させるようHarrisonに依頼した。
Harrisonは二日酔いの状態ながら、2時間でバースとフックを書き上げ、すべての楽器も自ら演奏した。ブリッジ部分は鏡に映る自分の姿からインスピレーションを得たビヨンセが書き、「I’m looking so crazy right now」という言葉から曲のタイトルも決まった。彼女とHarrisonは「ア・オー、ア・オー」という印象的なフレーズも共同で生み出した。
Jay-Zは楽曲制作の終盤に合流し、午前3時頃にスタジオに到着して約10分で即興のラップパートを録音した。
音楽性と歌詞
「Crazy in Love」はニ長調で書かれており、1970年代のファンク、ヒップホップ、ソウルの影響を受けている。Chi-Litesのホーンリフをサンプリングしており、ロバート・ウェッブは「Go-goの雰囲気がある」と述べている。テンポは中程度の100BPMで、ビヨンセのボーカルレンジはB♭3からF5まで。コード進行は主にB♭とGで構成され、伝統的なサンバのリズムによく見られるカウベルのパターンが使われている。
歌詞は恋愛によって自分を見失い、普段とは違う行動を取ってしまう様子を描いており、ビヨンセ自身も「恋に落ちると、自分らしくないことをしてしまい、それでも構わないという気持ちになる」と語っている。
歌詞の意味
Hova(ホヴァ)とは?
「Hova(ホヴァ)」は、JAY-Zのニックネームのひとつで、「Jehovah(ジェホヴァ)」というヘブライ語系の神の名(=ヤハウェ、神)を短縮した形。つまり「ラップ界の神」という意味でこの名前を使っている。


