【曲解説】Olivia Newton-John – Physical

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曲情報

「Physical」(フィジカル)は、イギリス出身でオーストラリア育ちの歌手オリビア・ニュートン=ジョンが1981年に発表した楽曲であり、11作目の同名スタジオ・アルバムからのリードシングルとしてリリースされた。ジョン・ファラールがプロデュースを務め、スティーヴ・キプナーとテリー・シャディックによって作詞作曲された。当初はロッド・スチュワートに提供される予定であり、またティナ・ターナーにもオファーされたが辞退したため、最終的にニュートン=ジョンが歌うこととなった。

この曲は全米で200万枚を出荷しRIAAによってプラチナ認定を受け、Billboard Hot 100で10週連続1位を獲得した。これは当時の連続1位記録に並び、1980年代で最も成功したシングルのひとつとなった。性的なニュアンスを含む歌詞により一部の地域で放送禁止とされるなど物議を醸したが、ニュートン=ジョンの清純なイメージを刷新し、よりセクシーで自信に満ちた路線を確立する転機となった。

背景と録音

「Physical」(当初のタイトルは「Let’s Get Physical」)はシャディックとキプナーによって作られ、ロッド・スチュワートのような“マッチョな男性ロッカー”向けに構想されていた。偶然デモを耳にしたマネージャーがニュートン=ジョンに勧めたことで録音が決定。ニュートン=ジョン本人は歌詞の露骨さに一時は難色を示したが、すでにシングルが好調であったため撤回は叶わなかった。ギター・ソロはTOTOのスティーヴ・ルカサーが担当している。

評価

『Smash Hits』誌は「キャリアを劇的に蘇らせた」と評し、米国では通算5曲目にして最後の全米No.1シングルとなった。Billboard Hot 100では1981年11月21日から1982年1月23日まで首位を守り、計15週間トップ10にランクイン。1982年の年間1位曲にも選出された。カナダでは5週連続1位、イギリスでは7位を記録しシルバー認定を受けた。一方で「もう話すことなんてない、あとは横になるだけ」などの歌詞が問題視され、一部局では放送禁止となった。

ミュージック・ビデオ

ブライアン・グラントが監督した公式ビデオでは、ニュートン=ジョンがジムで太った男性たちを鍛えさせようとする姿が描かれる。彼女が部屋を離れた後、男性たちは突然筋骨隆々の姿に変わり、同性愛を示唆する描写も盛り込まれている。最後には一人の男性と共にテニスをする場面で締めくくられる。このビデオを収録した映像集『Olivia Physical』は1983年にグラミー賞最優秀ビデオ賞を受賞した。

レガシー

Billboardは「歴代トップ100」で6位、「セクシーな楽曲ランキング」で1位、「1980年代の楽曲トップ100」でも1位に選出した。2002年にはボサノヴァ調にアレンジされた新版が録音され、以降のツアーで披露された。さらにドラマ『Glee』やDoja Catの「Kiss Me More」(2021年)でも引用されるなど、その影響力は21世紀以降も続いている。

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