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曲情報
「La Gata Loca」は、アメリカ人プロデューサーのビル・ウォルファーが率いるラテン音楽プロジェクト、Mamboramaによる楽曲である。2003年に発表されたアルバム『Entre La Habana y El Yuma』に収録されている。タイトルはスペイン語で「狂った猫」を意味する。
背景と制作
当初はジャズの伝統的な32小節形式(AABA)で構想されたが、制作過程でコーラスの追加やブレイクの挿入、ハーモニーの拡張などを経て、より複雑でダイナミックな展開を持つ曲へと発展した。ハバナでの録音には、キューバの著名なミュージシャンが多数参加し、コンガやティンバレス、ピアノなどを一発録音した上で、ロサンゼルスでホーン・セクションを追加して完成された。
ヴォーカルは、Sixto “El Indio” Llorente が担当し、彼の即興的な歌唱が曲に強い個性を与えている。この録音はファーストテイクがそのまま使用され、楽曲全体に生々しい躍動感をもたらした。
音楽的特徴
「La Gata Loca」は繰り返しを避けた構成を特徴としており、ラテンのスイート的な性格を持つ。ティンバやサルサのリズムに加え、ジャズ的なアレンジや即興性が融合している。歌詞のコーラス部分には「Gata loca, baila rumba(狂った猫よ、ルンバを踊れ)」といったフレーズが用いられ、ダンス音楽としての高揚感を強調している。
その後の展開
本曲はアルバムの代表曲のひとつとして広く知られ、後にリミックス版も発表された。インターネット上では無料配布も行われ、Mamboramaの知名度向上に寄与した。
歌詞の意味
シャンゴ(Changó )とは?
シャンゴ(Changó )とは、キューバのアフロ・キューバ宗教(サンテリア)の神のひとりで、雷や力、戦い、ダンスや音楽を司る強力なオリシャ(神格)。ティンバやサルサの歌詞によく登場する。
シャローム(Shalom)とは?
シャローム(Shalom)とは、ヘブライ語の単語で、直訳すると「平和」「安寧」「調和」。挨拶の言葉としても使われ、「こんにちは」「さようなら」「平安を」という意味になる。「Shalom」がキューバ音楽の歌詞に出てくるのはちょっと意外だが、これは 宗教的な「平安」やスピリチュアルな響きを遊び心で混ぜ込んでいる表現だと思われる。つまり、猫=彼女がカオスで狂った存在(カンフーしたり、幽霊と戦ったり)である一方で、「彼女に必要なのは平安(シャローム)だ」と茶化していると考えられる。


