【曲解説】Stray Kids – 삐처리 (BLEEP)

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曲情報

「삐처리(BLEEP)」は、JYPエンターテインメント所属の韓国のボーイズグループStray Kids(ストレイキッズ、略称:スキズ)の楽曲で、4枚目のスタジオ・アルバム『KARMA』に収録されている。2025年8月22日にJYPエンターテインメントおよびRepublic Recordsからリリースされた。2025年8月31日にミュージックビデオが公開された。

歌詞の意味

この曲は、外部から向けられる批判やノイズを一切気にせず、自分たちの努力と結果だけを信じて突き進むという、ストレイキッズらしい強烈な自己宣言の楽曲である。タイトルの「삐처리(ピー処理)」は放送検閲音を意味し、他者から向けられる否定的な言葉をすべて“消し去る”という精神が曲全体を貫いている。

最初のヴァースでは、メンバーが自身の努力、痛み、誇りを真正面から語る。ぶつかりながら前に進む過程で生まれた痛みは、美しい成長の証として描かれる。自分たちが背負ってきた重みを理解できず、むしろ拒絶を示すような態度は、その人自身の問題だと切り返す姿勢が印象的である。ここで曲は既に、他者の評価より自分の軌跡を重視するというスタンスを確立している。

プリコーラスでは、批判や雑音が火のように燃え上がっても、消防車が水を撒くように鎮めてしまうという比喩が使われる。外部の声を“甘い味がする灰”に変換することで、批判を逆に糧にする姿勢が浮かび上がる。相手の声を完全にミュートしてしまうような表現は、精神的な強さを象徴している。

サビの「삐처리」は、ネガティブな言葉が放送禁止音で消されていくイメージを持ち、次々と飛んでくる悪意のある言葉を一瞬で遮断する爽快感を生む。否定、噂、世代間の文句など、すべてをまとめて無効化し、ノイズキャンセリングで静寂に置き換える。ここでは、外部の雑音よりも自分たちの存在の方が圧倒的に強いというメッセージが際立つ。

二つ目のヴァースでは、成功を装った“偽物の栄光”を批判し、自分たちの情熱と行動だけが真の結果を生み出すという姿勢を明確にしている。成功は偶然ではなく、積み重ねてきた行動の“クレッシェンド”の先にあるという描き方が力強い。言い訳や逃げ道は拒否し、すべての機会を掴み取るという攻撃的なエネルギーがここで一気に加速する。外部の罵声すら寿命を延ばす燃料に変えてしまうという前向きなパラドックスがストレイキッズらしい。

ブリッジでは、他人の残した雑な言葉や不必要な評価を“残飯”に例え、そんなものは要らないと突き放す。余計な口だけの意見には嫌気がさしており、すべてが「ピー処理」されて静寂へと消えていく。地下から積み上げてきた努力でトップに立ったという自負が語られ、不必要な敵意に正面から向き合いながらも、結局は自分の道を揺るがせない姿勢が描かれる。

全体としてこの曲は、ストレイキッズがデビュー以来掲げてきた“自力でのし上がる”という理念をさらに強くしたような作品である。努力、痛み、誇り、成長。そこに付随する雑音や否定的な声を「ピー処理」でかき消し、自分たちの音楽と行動だけを前へ進める。現代的で強靭なメンタルの象徴としての“ノイズキャンセリング”が、この楽曲の支配的なコンセプトとなっている。

タイトル「삐처리(BLEEP)」とは?

「삐처리」とは、韓国語で、=「ピー音」、처리=「処理する」という意味で「ピー音処理」のこと。(=放送禁止用語や不適切な表現を“ピー”で消すこと)

英語タイトル「BLEEP」も、同じく放送禁止用語を消すピー音のこと。

ファッジ(fudge)とは?

ファッジ(fudge)とは、砂糖・バター・ミルクを煮詰めて作る、甘くて柔らかいキャラメル状のスイーツのこと。アメリカやイギリスでは定番のおやつで、板チョコのように四角く切られて売られている。

映画『96時間』

ここでは映画『96時間』(原題:Taken)の主人公(リーアム・ニーソン)が吐く「I will find you, and I will kill you」(お前を見つけてぶっ殺す)という有名なセリフを引用している。

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