【曲解説】Jamiroquai – Supersonic

動画

曲情報

「Supersonic」(スーパソニック)は、イギリスのファンク/アシッドジャズバンド、ジャミロクワイの4枚目のスタジオ・アルバム『Synkronized』(1999年)からの3枚目のシングルである。楽曲はジェイ・ケイ、トビー・スミス、デリック・マッケンジー、ソラ・アキングボラ、ウォリス・ブキャナン、サイモン・カッツによって書かれ、ジェイ・ケイとアル・ストーンがプロデュースした。全英シングルチャートで22位を記録し、アメリカのHot Dance Club Playチャートではジャミロクワイにとって3曲目の1位となった。

批評

News of the Worldのジョン・バーンズリーは「ジェイ・ケイによるまたしても勝利の一曲。『Supersonic』はアルバム『Synkronized』の中でも最も魅惑的な曲のひとつだ。オリジナルのディジリドゥの音色とスーパー・ファンキーなベースが、ピート・ヘラー、レストレス・ソウル、シャープ・ボーイズによる素晴らしいミックスでさらに磨きをかけられている。全体的に最近のヒット『Canned Heat』よりもダークでムーディーな雰囲気だが、中毒性は同じくらい強い。そしてCDやカセットだけでなく、12インチのアナログ盤でも入手できる!」と評している。

ミュージックビデオ

「Supersonic」のミュージックビデオは、画面に赤く点滅する「ru ready for a supersonic synkronized audio and visual experience?」(超音速でシンクロしたオーディオとビジュアルの体験をする準備はできてる?)というメッセージから始まる。カメラが「オーブ」にズームインするとジェイ・ケイが登場し、ロボットダンスを踊る彼の周囲をオーブが動き回り、楽曲に合わせて点滅する。黄色、緑、オレンジ、紫のオーブが次々と現れ、さらに複数のオーブが背後に見える。カメラは角度を変え、赤いオーブにズームインすると、ジェイ・ケイがその中に映し出される。

映像の後半では、LEDに覆われた壁を持つトンネル状のステージが登場し、ジェイ・ケイや他のメンバーがステージ上を「浮遊」するように描かれる。大勢の観客が現れ、LEDは忍び足で歩く人型のアニメーションを形成する。最後にステージが爆発し、ジェイ・ケイが床に倒れ込み、忍び足の人型LEDアニメーションが彼の下から右方向へ去っていく場面で終了する。

歌詞の意味

この曲は、圧倒的なエネルギーとスピードをまとった存在を、“超音速”という象徴的なイメージで描きながら、その強さの裏に隠れた繊細さや涙を見つめる内容になっている。外側から見れば誰より力強く、突き抜けるような雰囲気を放つ人物が、実は心の奥で痛みを抱え、それでも前に進む姿を讃えるように歌われている。

繰り返される言葉の勢いは、彼が放つ圧倒的なオーラや存在感をリズムとして刻み込み、止まらない加速を感じさせる。同時に、瞳の奥にある涙が語るように、強さとは無敵であることではなく、傷つきながらも立ち向かう意志そのものだというニュアンスが浮かび上がる。

彼は戦士のように前へ進むが、その強さは感情を消し去るのではなく、むしろ抱えたまま走ることから生まれている。その姿に対し、語り手は驚きと敬意を込めて「超音速」と繰り返し呼びかけ、彼の特別さを強調する。

全体として、スピード感と神秘性をまとった人物像を、強さと脆さの両面から描くミニマルで印象的な曲。単純な言葉の反復の中に、人物への畏敬と親密な理解が宿っている。

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