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曲情報
Bon Jovi(ボン・ジョヴィ)の楽曲「It’s My Life(イッツ・マイ・ライフ)」は、2000年5月8日にリリースされたシングルであり、7枚目のスタジオ・アルバム『Crush』のリードシングルである。ジョン・ボン・ジョヴィ、リッチー・サンボラ、マックス・マーティンによって作詞作曲され、ルーク・エビンが共同プロデュースを務めた。
本曲はオーストリア、フランダース、イタリア、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スイスで1位を獲得し、他の多くの国でもトップ10入りを果たした。アメリカではBillboard Hot 100で33位を記録。80年代以降のボン・ジョヴィのシングルの中で最も広く知られており、新たな若いファン層を開拓するきっかけとなった。
背景
「It’s My Life」には、リッチー・サンボラによるトークボックスの使用など、クラシックなボン・ジョヴィらしさが随所に見られる。2番の歌詞に登場する「For Tommy and Gina, who never backed down(決して諦めなかったトミーとジーナに捧ぐ)」という一節は、1986年のヒット曲「Livin’ on a Prayer」で初登場した架空の労働者階級カップルを再登場させたものである。
また、「My heart is like an open highway / Like Frankie said / I did it ‘My Way’(俺の心は開かれたハイウェイのようだ/フランキーが言ったように/自分の道を生きてきた)」という歌詞は、同じニュージャージー出身のフランク・シナトラへのオマージュとなっている。この歌詞をめぐっては、ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラの間で意見の相違があったとされるが、ジョンは「シナトラは映画を16本撮り、80歳までツアーを続けた。これが俺のロールモデルだ」と語り、最終的にこの歌詞を採用した。
ポール・アンカによる2005年のカバーアルバム『Rock Swings』では、英語詞「My Way」の作者であるアンカ自身が、「Frankie said he did it my way」と歌詞を変更して歌っている。
評価
ジョン・ボン・ジョヴィは2007年に「『It’s My Life』は誰も予想していなかったヒットだった。ただし、俺たちはヒットになると確信していた」と述べている。この曲は幅広い層に響くアンセムとなり、彼は次のようにも語っている。「これは自己中心的に自分の人生を歌ったつもりだった。でも『It’s My Life(これは俺の人生だ)』というフレーズは、10代や中年の男たち、整備士など、あらゆる人たちに『これは自分のことだ』と感じさせるものだった」
音楽評論家ロバート・クリストゴーは「『It’s My Life』は“シュロック・ロックの傑作”であり、“誰もが共感できるアンセム”だ」と高く評価し、歌詞を「善意に満ちた民主党支持の庶民ジョン・ボン・ジョヴィの象徴」と評した。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオはウェイン・アイシャムが監督を務め、ウィル・エステス(トミー役)とシリ・アップルビー(ジーナ役)が主演を務めている。冒頭、トミーはパソコンでボン・ジョヴィのライブ映像を見ているが、母親にゴミ出しを命じられる。そこへジーナから電話が入り、「トンネルにすぐ来て、ライブが始まってる」と告げられる。
トミーはゴミ出しを済ませて街中を駆け抜ける。その途中で犬に追われたり、エルヴィスのそっくりさんを写真に撮ったり、マラソンに紛れ込んだり、トラックの間を飛び越えたりしながらコンサート会場に向かう。この映像はドイツ映画『ラン・ローラ・ラン』にインスパイアされており、ロサンゼルスの2ndストリート・トンネルが舞台のひとつとなっている。
このビデオはYouTubeで最も視聴されたボン・ジョヴィの映像であり、2021年6月末には再生回数10億回を突破し、バンドとして初の10億回突破作品となった。
歌詞の意味
この曲は自分の人生を自分の意思で切り開こうとする決意を力強い口調で宣言する内容になっている。語り手は、大勢に埋もれる存在ではなく、主体的に声を上げ、自分の生き方を貫く人物として描かれる。未来が不確実で、環境が厳しさを増していく状況を前提としつつも、その困難に屈せず、今この瞬間を生き抜く姿勢が中心に据えられる。
生き方を道路にたとえるイメージは、自由でありながらも荒々しい道を進む意志を象徴し、他者に左右されない独自の生き方を強調する。また、挫折しながらも前に進み続ける人物像が示され、支え合いながら困難を乗り越える人々への共感も内包されている。立ち向かうべき圧力に対して踏みとどまり、自分自身を貫こうとする姿勢が、楽曲全体の推進力を成している。
全体として、社会の期待や逆境に飲み込まれず、自分の選んだ道を歩むという主体性と精神的な強さを鼓舞する作品になっている。



