【曲解説】Buckcherry – Lit Up

動画

ミュージックビデオ

ウッドストック99でのパフォーマンス

曲情報

「Lit Up」(リット・アップ)は、アメリカのハードロック・バンド、バックチェリーのデビュー・シングルであり、セルフタイトルのデビュー・アルバム『Buckcherry』からの楽曲である。本作は同バンドにとって唯一のBillboard Mainstream Rock Tracksチャートでの1位獲得曲となった。セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズがギターで参加している。なお、リフはキッスの楽曲「Shock Me」のイントロのリフから採用されている。

内容

ボーカリストのジョシュ・トッドは「『Lit Up』は俺が初めてコカインをやった時のことを歌っている。高校時代にディーラーの知り合いがいて、しばらくは楽しかったけど、結局は楽しくなくなったんだ、ハハ!」と語っている。

受賞と評価

この楽曲はBillboard Mainstream Rock Tracksチャートで3週間1位を記録し、1999年半ばにはModern Rock Tracksで33位にランクインした。2009年1月には、VH1の「100 Greatest Hard Rock Songs」で第98位に選ばれている。

ミュージック・ビデオ

ミュージック・ビデオは観客の前で演奏するバンドを描いている。MTVは歌詞中のコカインを賛美する部分を検閲により不適と判断した。

歌詞の意味

この曲は、刺激と陶酔に溺れた主人公が、自分でも制御できない高揚と破滅の狭間をさまよう様子を荒々しく生々しいテンションで描いている。日常の場所でさえ落ち着けず、どこにいても気持ちが浮き上がり、止められない衝動に振り回されていく。

高まった感覚の中では、現実と虚勢の区別も曖昧になり、自分がどこへ向かっているのかさえ見失っていく。周囲の忠告や心配も届かず、ただひたすら勢いに身を預け、危険な快感にしがみつくしかなくなる。その中毒的なループから抜け出せず、また同じ場所へ戻ってくる様子が繰り返し描かれている。

途中では、同じように刺激を求める人たちの存在も見え隠れし、薄暗い連帯感が漂う。満たされない心を埋めるために手を伸ばす行為が、さらに深い依存へとつながっていく危うさが浮かび上がる。

全体として、逃げ場のない衝動と陶酔の連鎖を、勢いのまま叩きつけるように表現した曲。破滅の匂いをまといながらも、そこから離れられない主人公の危険な加速感が、激しく荒れた空気とともに響いてくる。

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