【曲解説】David Bowie – Rock ‘n’ Roll Suicide

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曲情報

「Rock ‘n’ Roll Suicide」(ロックンロール・スーサイド)は、イギリスのシンガーソングライター、デヴィッド・ボウイによる楽曲で、1972年6月16日にリリースされたアルバム『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(ジギー・スターダスト)』の最終トラックとして収録された。ケン・スコットとの共同プロデュースで録音され、バックバンドのスパイダーズ・フロム・マーズ(ミック・ロンソン、トレヴァー・ボルダー、ミック・ウッドマンジー)とともに演奏された。この曲は、ジギーが落ちぶれた年老いたロックスターとして最終的に崩壊する様子を描いており、ジギー・スターダストのライブショーの最後を飾るナンバーでもあった。1974年4月にはシングルとしてもリリースされた。

音楽と歌詞

ボウイはこの曲をフランスのシャンソンの伝統になぞらえて考えていた。一方、伝記作家デヴィッド・バックリーは「Rock ‘n’ Roll Suicide」とアルバム冒頭曲「Five Years」を「実際のロックソングというよりも前衛的なショーソング」と評している。批評家スティーヴン・トーマス・アールワインも、「これまでロックンロールでは聞かれなかった壮大で演劇的なドラマ性がある」と述べている。

ボウイは歌詞のインスピレーションとしてボードレールを挙げているが、「Time takes a cigarette…(時間がタバコを奪っていく)」という表現は、マヌエル・マチャドの詩「Chants Andalous(アンダルシアの歌)」にある「人生はタバコ/灰、火、そして煙/急いで吸う者もいれば/味わう者もいる」と似ている。また、「Oh no, love, you’re not alone(違うよ、君は独りじゃない)」というフレーズは、ジャック・ブレルの楽曲「Jef」(ミュージカル『Jacques Brel is Alive and Well and Living in Paris』収録)の影響を受けている。ボウイはライブでブレルの「My Death」や「Amsterdam」も演奏していた。

2003年、ボウイはジェームス・ブラウンの楽曲「Try Me」と「Lost Someone」を、この曲の「ゆるやかなインスピレーション」として挙げている。

ボウイの直筆歌詞は、2013年から2018年にかけて巡回した展覧会『David Bowie Is』で展示され、2023年末にはボウイ本人から贈られた所有者によってオークションに出品された。

リリースとその後

「Rock ‘n’ Roll Suicide」は1972年2月4日に録音され、『Ziggy Stardust』の最後に録音された数曲の一つであり、「Suffragette City」や後にシングル化された「Starman」と並んで制作された。アルバムの最終トラックとして、また1972〜73年のジギー・スターダストのライブショーのクライマックスとして披露され、ファンのジャケットなどにスローガンとして登場するようになった。

1974年4月、RCAは新作が待たれる中で、すでに『Diamond Dogs』から「Rebel Rebel」を急ぎリリースしていたが、それに続いてこの楽曲をシングルとして選んだ。しかし、2年前の楽曲であり、既に多くのファンがアルバムで所有していたことから、「金儲け目的の再利用」とも評された。イギリスでは最高22位にとどまり、ボウイのRCAシングルとしては1972年1月の「Changes」以来、初めてトップ20を逃した。

2007年には、ボブ・ディランがラジオ番組『Theme Time Radio Hour』のシーズン1第1話「Death and Taxes」でこの曲をかけた後、「ボウイはジギー・スターダスト・ツアーの後に引退するとみんなに言ったんだよな。あの時止めたんだ、やめるなって」と語った。

歌詞の意味

この曲は、孤独と自己崩壊のふちに立つ主人公の内面を、時間や日常の風景を通して描きながら、最後には他者からの寄り添いが差し伸べられる物語になっている。冒頭では、時間に追われて惰性の中で生きているような虚無感が漂い、自分を保つことすら難しい疲れ切った姿が示されている。年齢や環境の狭間で身動きが取れず、街をさまよいながら満たされない空虚を抱えている姿が、そのまま心の限界を象徴している。

やがて混乱や焦燥が高まり、世界との折り合いがつかずに押しつぶされそうな気持ちがあふれ出す一方で、終盤では声をかけてくれる存在が現れ、どんな状態であってもひとりではないと励ましが注がれる。その言葉が主人公の痛みに寄り添い、絶望から救い出そうとする温かさがクライマックスを形作っている。

全体として、落ちていく心の闇を描きながらも、最後には他者とのつながりが生の力を取り戻すきっかけになるという、救済のメッセージを強く放つ曲になっている。

その他の動画

▼1973年、ロンドンでのライブパフォーマンス

▼1990年、東京でのライブパフォーマンス

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