【曲解説】Destiny’s Child – Survivor

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「Survivor」(サバイバー)は、アメリカのグループ、デスティニーズ・チャイルドが2001年に発表した3作目のスタジオ・アルバム『Survivor』からの楽曲。作詞・作曲はビヨンセ・ノウルズ、アンソニー・デント、マシュー・ノウルズによる。グループから3人のメンバーが脱退したことを受けて、ラジオ局がリアリティ番組『サバイバー』になぞらえて冗談を言ったことが着想となっており、ビヨンセはそのネガティブな言葉をポジティブに変えるべくこの曲を書き上げた。シングルは2001年3月6日にコロムビア・レコードから発売され、ビヨンセ、ケリー・ローランド、ミシェル・ウィリアムズの3人体制で初めてリリースされたシングルとなった。

この曲は全米Billboard Hot 100で2位を記録し、イギリス、アイルランド、ノルウェーでは首位を獲得するなど商業的に大きな成功を収めた。批評家からも高く評価され、第44回グラミー賞で最優秀R&Bパフォーマンス(デュオまたはグループ部門)を受賞したほか、MTVビデオ・ミュージック・アワードでは最優秀R&Bビデオ賞を受賞した。さらに2001年のソウル・トレイン・レディ・オブ・ソウル・アワードでも最優秀R&B/ソウル・シングル(グループ部門)を獲得している。2017年には『ビルボード』誌の「史上最高のガールズグループ・ソング100」で40位に選ばれ、BETも2000年代を代表する楽曲の第10位に挙げた。

背景と制作

2000年、オリジナルメンバーのラターヴィア・ロバーソンとラトーヤ・ラケットが脱退し、ミシェル・ウィリアムズとファラ・フランクリンが加入したが、直後にフランクリンも脱退するなど度重なるメンバー交代が注目された。この状況を『サバイバー』に例えられたことが直接の契機となり、ビヨンセは「ネガティブな状況を書き換える」意図で本曲を制作した。デントが用意したトラックは当初ラッパーのリル・キムに提供する構想だったが、最終的にビヨンセがメロディや歌詞、ボーカルアレンジを施して完成させた。録音は2000年後半、テキサス州ヒューストンのシュガーヒル・スタジオで行われた。

音楽性

楽曲はG♯マイナーで、テンポは毎分81拍。コード進行はG♯m–C♯m7–D♯を基盤とし、ボーカルはG♯3からC♯5までの音域をカバーしている。コーラスにおける「what!」の掛け声はマシュー・ノウルズの提案で、観客の参加を意識して加えられた。

評価

『ビルボード』誌のチャック・テイラーは「デスティニーズ・チャイルドの定評あるフォーミュラを踏襲し、勝利を歌う力強い楽曲」と評価した。一方、『オールミュージック』のスティーヴン・トーマス・アールワインは「ブレスハードな歌唱と途切れがちなメロディで聴きづらい」と否定的な意見を示した。

商業的成果

「Survivor」は全米Billboard Hot 100で2位を記録し、7週連続でその位置にとどまった。イギリスでは初登場1位を獲得し、初週に10万4000枚を売り上げ、2001年末までに26万枚を販売、2021年時点で累計83万枚を超えている。アイルランドとノルウェーでも首位を記録し、カナダでは2位、ニュージーランドでは3位に入った。

ミュージック・ビデオ

ミュージック・ビデオは2001年1月にロサンゼルス郡各地で撮影され、ダレン・グラントが監督を務めた。無人島で生き延びる3人を描き、滝や寺院でのダンスシーン、嵐の演出、ヘリコプターによる救出などが盛り込まれている。撮影は寒波の中で行われたため、メンバーは撮影後に体調を崩したと伝えられている。ビデオは3月6日にMTVの『Making the Video』で初公開され、同年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで最優秀R&Bビデオ賞を獲得した。

論争

元メンバーのラトーヤ・ラケットとラターヴィア・ロバーソンは、歌詞の一部が契約違反にあたるとしてビヨンセ、ローランド、マシュー・ノウルズを訴えた。問題となったのは「君たちがいなくても900万枚売れた」という一節で、互いを中傷しないという合意に反すると主張した。

歌詞の意味

この曲は 苦しい別れを経験したあと、自分を信じて立ち直る強さを宣言してる。相手に依存していたと思われていた部分をひとつずつ否定し、むしろ失ったことで強くなり、豊かになり、笑えるようになったという成長が語られてる。

何度も繰り返される言葉には、あきらめない姿勢や前へ進む意志が込められていて、自分を押しつぶそうとした状況でも努力を続け、必ず乗り越えるという決意が響いてる。

さらに、復讐や悪口に走るのではなく、相手に幸せを願うことで自分の品位を守ろうとする面も描かれてる。周囲を前向きなもので満たし、自分を肯定しながら未来へ進むことで、暗い経験を力へ変えていくプロセスが中心にある。

全体として、困難を経てなお立ち続ける姿勢と、自分の価値を取り戻す強いメッセージが詰まった曲になってる。

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