【曲解説】Dionne Warwick – Heartbreaker

動画

ディオンヌ・ワーウィック ver.

ビージーズ ver.

曲情報

「Heartbreaker」(ハートブレイカー)は、アメリカのシンガー、ディオンヌ・ワーウィックが歌唱した楽曲。1982年のスタジオアルバム『Heartbreaker』のために、バリー・ギブ、ロビン・ギブ、モーリス・ギブのビー・ジーズによって作詞作曲され、バリー・ギブ、アルビー・ガルーテン、カール・リチャードソンのプロダクションチーム、ギブ-ガルーテン-リチャードソンによってプロデュースされた。サビではバリー・ギブのバックボーカルが聴こえる。

この楽曲は十数か国でトップ10入りを果たし、ワーウィックのキャリアの中でも最大級のヒット曲の一つとなり、全世界で約400万枚のシングルが売れた。アメリカでは、1983年1月にBillboard Hot 100で最高10位を記録した。また、ワーウィックにとって8曲目のアダルト・コンテンポラリー・チャート1位のヒットとなり、Hot Black Singlesチャートでは14位に達した。Billboard誌による1983年の年間ランキングでは80位にランクインした。イギリスのシングルチャートでは、1982年11月に最高2位を記録した。

背景

「Heartbreaker」は、ビー・ジーズのバリー、ロビン、モーリスのギブ兄弟によってディオンヌ・ワーウィックの同名アルバムのために書かれた。楽曲は、ギブ兄弟の2つのソングライティングのスタイルを融合させており、ロビンとモーリスが好んだ明確なヴァースとコーラス構造を持ちながら、バリーが好んだ長めのヴァースも取り入れられている。メロディは「Living Eyes」に似ているが、より力強い前進性を持っている。モーリスは後に、「この曲は自分たちのためにとっておくべきだった」と語った。ビー・ジーズによるデモ版は2006年に『The Heartbreaker Demos』として発表された。

ワーウィックは、ウェスリー・ハイアット著『The Billboard Book of Number One Adult Contemporary Hits』の中で、「Heartbreaker」があまり気に入っていなかったことを認めており、その国際的な成功について「銀行へ行くまで泣いていた」と冗談を交えながら語っている。共同作曲者のモーリス・ギブは、「この曲を書いた後、泣きながら帰宅した。『これは自分たちがやるべき曲だった』と思ったが、彼女が歌ったとき、それは見事なものになった。我々もコーラスで参加したが、それはまるでビー・ジーズとディオンヌ・ワーウィックのデュエットのようだった」と語っている。

ビー・ジーズ・バージョン

ビー・ジーズ自身によるバージョンは、1994年にバリー・ギブのリードボーカルで録音された。当初は1995年にリリース予定のアルバム『Love Songs』に収録される予定だったが、最終的には2001年に『Their Greatest Hits: The Record』に収録された。1998年にはライブアルバム『One Night Only』にもライブバージョンが収録された。

歌詞の意味

この曲は深く愛した相手に裏切られた痛みと、どうしてこんな結末になったのかという嘆きを激しく吐き出している。求めても応えてくれない相手に翻弄され、夢に描いた未来が次々崩れていく苦しさが積み重なり、愛しているのに離れるしかないという残酷な矛盾に追い込まれていく。相手の愛に支配されて抜け出せないまま、なぜ自分を傷つける存在になってしまったのかと問い続ける切実さがにじむ。すべてを捧げたはずなのに報われなかった恋への絶望が、激情と共にこだまする曲になっている。

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