【曲解説】Duran Duran – Hungry Like The Wolf

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曲情報

「Hungry Like the Wolf」(ハングリー・ライク・ザ・ウルフ)は、イギリスのニュー・ウェーブ・バンド、Duran Duran(デュラン・デュラン)の楽曲で、2作目のスタジオ・アルバム『Rio(リオ)』(1982年)に収録されている。バンドのメンバーによって作詞作曲され、コリン・サーストンがプロデュースを手がけた。「Hungry Like the Wolf」は、1982年5月4日にイギリスで、1983年6月8日にアメリカでシングルとしてリリースされた。UKシングルチャートでは5位を記録し、英国レコード産業協会(BPI)からプラチナ認定を受けている。

ミュージックビデオはラッセル・マルケイが監督し、スリランカで撮影された。バンドは当初アメリカ市場での成功を掴めていなかったが、MTVがこのビデオをヘビーローテーションで放送したことにより、急速に知名度を高めた。その結果、楽曲は1983年3月にBillboard Hot 100で3位を記録し、Duran Duranは国際的な人気を獲得した。このビデオは1984年に第1回グラミー賞「最優秀短編ミュージックビデオ賞」を受賞している。

2015年には、5 Seconds of Summerの楽曲「Hey Everybody!」に「Hungry Like the Wolf」の要素が取り入れられており、Duran Duranには作詞クレジットが与えられている。

作詞・録音

「Hungry Like the Wolf」は、1982年春のある土曜日に、ロンドンのEMI本社の地下スタジオで作詞・録音された。メンバーが次々とスタジオに現れる中で、楽曲は1日かけて完成し、夕方にはほぼ完成形となった。

ギタリストのアンディ・テイラーは『Blender』誌のインタビューで、「この曲は当時登場し始めた新しいテクノロジーをいじっていたときに生まれた」と語っている。ニック・ローズはスタジオへ向かう車の中でバッキング・トラックのアイデアを思いつき、スタジオではRoland Jupiter-8を使って作業を進め、サイモン・ル・ボンが歌詞に取り組んでいた。歌詞は『赤ずきん』にインスピレーションを得たもので、各ヴァースの最後に繰り返される「do」という語のメロディは、ゴードン・ライトフットの「If You Could Read My Mind」のインストゥルメンタル・パートに基づいている。

アンディ・テイラーはマーク・ボラン風のギター・パートを考案し、マーシャル・アンプらしい音のレスポール・リックを加えた。さらにベースとドラムが追加され、当日中にル・ボンのボーカル・メロディと歌詞も含めて全体が完成した。曲の冒頭にある笑い声や、フェードアウト中のうめき声は、当時ローズの恋人だった女性が実際に演じて録音したものである。

数か月後、グループはロンドンのAIRスタジオでコリン・サーストンとともにこの曲を再録音した。サーストンはKajagoogooの「Too Shy」やBow Wow Wowの「I Want Candy」の録音でも知られる。アンディ・テイラーは「彼はすごく優秀なオーガナイザーで編曲家だった。俺たちはこの曲に必要以上のアイデアや音を持ち込んだけど、彼がそれを絞って本質的な要素にしてくれた」と語っている。彼らはデモの電子的なバッキング・トラックをそのまま残し、他の楽器やボーカルのみを録り直すことに決めた。

ジョン・テイラーは後に「歌詞の意味はよくわからない」と述べ、「たぶん“女の子に会うこと”とか“誰かとセックスしたい気持ち”のことだと思う」と推測している。

歌詞の意味

この曲は、獲物を追いかける狼の本能的な衝動を、恋の駆け引きや欲望になぞらえて描いた作品である。都会の雑踏や夜の熱気を背景に、相手を強烈に求める主人公の視点が、野性的な比喩を伴って描かれていく。

冒頭から、夜の都市が「熱を帯びた狩場」のように描かれ、主人公は獲物を追うように相手を探し求めている。匂い、気配、鼓動など身体的な感覚が頻繁に使われ、理性的な恋というより、直感と欲望に突き動かされる衝動の物語になっているのが特徴的。

サビ部分では、相手への強烈な吸引力と、自分自身が抑えきれないほど高ぶっている状態が表現される。群衆の中で迷いながらも欲望に従い、狙った相手を「追う」姿は、恋愛が本能的な狩りへ変貌しているかのようである。“見失いそうで見つけた”という感覚は、狩りの緊張感と恋の直感の両方を象徴している。

二つ目のヴァースでは、舞台が都会から森のようなイメージへと移り、相手との距離がさらに縮まっていく。月光、鼓動、高まる熱などが融合し、狼が獲物に忍び寄る瞬間のようなスリルが生々しく描かれている。

曲全体を通じて、人間の欲望と荒々しい本能をスタイリッシュに表現し、恋を“狩り”として描く独特の世界観が一貫している。都会的で洗練されたサウンドと野生的なイメージの対比が、この曲の魅力を際立たせている。

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