【曲解説】Herman’s Hermits – Mrs. Brown, You’ve Got A Lovely Daughter

動画

オーディオ

エド・サリヴァン・ショーでのパフォーマンス

曲情報

「Mrs. Brown, You’ve Got a Lovely Daughter」(ミセス・ブラウン、ユーヴ・ゴット・ア・ラヴリー・ドーター、邦題:ミセス・ブラウンのお嬢さん)は、イギリスの俳優・脚本家・ソングライターであるトレヴァー・ピーコックによって書かれた楽曲である。もともとは1963年にITVのテレビ演劇『The Lads』で俳優のトム・コートネイが歌い、UKデッカからシングルとして発売された。

この曲の最もよく知られたバージョンはハーマンズ・ハーミッツによるもので、1965年5月に全米ビルボード・ホット100で1位、カナダでも1位を獲得した。シングルはホット100に12位で初登場し、これは1960年代で3番目に高い初登場順位であり(ザ・ビートルズの「Hey Jude」と「Get Back」が10位デビュー)、大きな話題となった。ハーマンズ・ハーミッツはこの曲や、同じく1965年の全米1位曲「I’m Henry VIII, I Am」を本国イギリスではシングルとして発売しなかった。「Mrs. Brown」は直前に発売されたシングル「Silhouettes」とほぼ同時期にリリースされ、両曲が同時に全米トップ10にランクインする結果となり、「Silhouettes」は5位を記録した。

歌詞の意味

この曲は、恋人に振られてしまった青年が、その母親に向けてやりきれない気持ちを静かに語る、切なく控えめな失恋の物語になっている。彼は娘の魅力を誰より理解し、誇らしく思っているのに、当の本人からはもう気持ちが離れてしまったことを悟り、追いすがっても無駄だと自分に言い聞かせている。

プレゼントを返そうとされても受け取らなくていいと言い、彼女の前では未練を見せまいと必死に平静を装う。その裏で心は深く傷ついているが、それを本人に知られたくないという健気さが滲む。誰かに気持ちを吐き出す相手として母親を訪ねるところに、彼の素朴さや不器用さが表れている。

周囲の人混みの中でも彼女はひときわ目立ち、思い出すだけで胸が痛むが、それでも彼はみっともなくすがることを避け、自分なりの誇りを守ろうとする。別れを受け入れつつ、まだ完全にはふっきれない、その揺れる感情が静かに響く。

全体として、派手な表現を使わず、素朴な語り口で未練と諦めを描いた、英国的な淡い切なさに満ちた曲になっている。

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