【曲解説】Iron Maiden – The Number Of The Beast

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オーディオ(ライブアルバム『A Real Dead One』バージョン)

曲情報

「The Number of the Beast」(ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビースト、邦題:魔力の刻印)は、イングランドのヘヴィメタル・バンド、アイアン・メイデンの楽曲であり、バンドにとって7枚目のシングルであり、1982年のスタジオ・アルバム『The Number of the Beast』からの2枚目のシングルである。1990年にはボックスセット『The First Ten Years』のCDと12インチ・アナログ盤で前作「Run to the Hills」とカップリングされ再発され、2005年にも再発された。

1982年の発売時にはアメリカ合衆国で宗教団体による抗議を引き起こし、論争を巻き起こした。しかしながら、この曲はバンドの代表曲のひとつとして人気を博し、オリジナル発売時には全英シングルチャート18位を記録し、1990年と2005年の再発時には3位に達した。以来ほぼすべてのコンサート・ツアーで演奏されており、また多くのカバーや映画、ビデオゲームに登場している。

制作背景

作曲者であり、ベーシスト兼バンド創設者のスティーヴ・ハリスによれば、この楽曲は深夜に映画『オーメンII/ダミアン』を観た後に見た悪夢と、ロバート・バーンズの詩「Tam o’ Shanter」に触発されて書かれたという。

冒頭には俳優バリー・クレイトンによるスポークン・ワードが挿入されており、『ヨハネの黙示録』12章12節と13章18節からの引用が朗読される。当初、ヴィンセント・プライスに朗読を依頼したが、2万5千ポンド以上の出演料を要求されたため、代わりにクレイトンが起用された。

曲の導入部ではブルース・ディッキンソンの長く高音の絶叫が特徴となっており、AllMusicは「ディッキンソンによる最も血も凍るような叫び」と評している。『Classic Albums』のドキュメンタリーによれば、プロデューサーのマーティン・バーチが何時間もイントロを繰り返し歌わせたことへのフラストレーションから生まれたものだという。

ミュージック・ビデオ

1982年3月にニューカッスル・シティ・ホールで撮影され、デヴィッド・マレットが監督を務めた。ビデオには『ノスフェラトゥ』や『モスラ対ゴジラ』『The Crimson Ghost』『How to Make a Monster』などのホラー・スリラー映画の映像が挿入されている。終盤では巨大なエディが初めてステージに登場するシーンが映されている。

シングルの詳細

このシングルのジャケットは、サタンを描いたデレク・リッグスによるアートワークの最後のものとなり、前作「Run to the Hills」と繋がる構図になっている。赤色のヴァイナル盤としてもリリースされた。

カップリングの「Remember Tomorrow」のライブ・バージョンは1981年10月29日、イタリア・パドヴァでの公演で収録されており、新加入したディッキンソンが歌っている。同年10月26日のボローニャ公演からディッキンソンがツアーで初めて歌っており、直前に解雇された前任ボーカリスト、ポール・ディアノに代わるものだった。また、このシングルはドラマーのクライヴ・バーが参加した最後のシングルでもある。

2005年にはDVD『The History of Iron Maiden – Part 1: The Early Days』に合わせて再発され、2002年のライブ音源も追加収録された。

評価と影響

「The Number of the Beast」はVH1の「40 Greatest Metal Songs」で7位、マーティン・ポポフの著書『The Top 500 Heavy Metal Songs of All Time』では6位に選出されている。ドリーム・シアター、Iced Earth、Powderfinger、The Iron Maidensなど数多くのバンドにカバーされており、ストリングス・カルテットによるトリビュート版も制作された。

この曲は『Tony Hawk’s Pro Skater 4』や『Guitar Hero III: Legends of Rock』、『Rock Band』などのビデオゲームに収録され、映画『Murder by Numbers』やイギリスのドラマ『SHERLOCK』、アニメ『サウスパーク』のエピソード「Sons a Witches」、Netflix映画『Rebel Ridge』などでも使用された。

歌詞の意味

このメタルの古典曲は、1978年の映画『オーメン2/ダミアン』に影響を受けている。この映画は13歳の反キリストを題材にしている。曲を書いたのはアイアン・メイデンのベーシスト、スティーヴ・ハリスで、彼は「基本的にこの曲は夢についてのものなんだ。悪魔崇拝についてじゃない」と説明している。

the number of the beast の意味

Here is wisdom.
ここに知恵がある
Let him that hath understanding count the number of the beast:
理解のある者は獣の数字を数えよ
for it is the number of a man;
それは人間の数字だからだ
and his number is Six hundred threescore and six.
その数字は六百六十六である

ヨハネの黙示録 13章18節

獣の数字は、引用された聖句である黙示録13章18節によると666である。興味深いことに、6+6+6=18となり、これはちょうどその節の番号にあたる。

また同章の別の箇所では「右手か額に獣の数字が刻まれた刻印がなければ、誰も売買することができなくなる」と述べられている。このため宗教的狂信者たちは、事実上あらゆるものの中に「666」を「見出す」ようになった。

And he causeth all
そして彼(獣)はすべての人──
both small and great, rich and poor, free and bond
小さな者も大きな者も、金持ちも貧乏人も、自由人も奴隷も
to receive a mark in their right hand, or in their foreheads:
すべての人に、その右手か額に印を受けさせた

ヨハネの黙示録 13章16節

And that no man might buy or sell, save he that had the mark
そしてその印を持つ者以外は誰も売ることも買うこともできなかった
or the name of the beast, or the number of his name.
(その印は)獣の名、あるいはその名の数字だった

ヨハネの黙示録 13章17節
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