動画
曲情報
「Black Capricorn Day」(ブラック・カプリコーン・デイ)は、イギリスのファンク/アシッド・ジャズバンド、ジャミロクワイの4枚目のスタジオ・アルバム『Synkronized』からの4枚目のシングルである。シングルは1999年11月に日本のみでリリースされ、Japan Hot 100で最高14位を記録した。イギリスではシングルとして発売されなかったが、ミュージックビデオはイギリス盤DVD『High Times: Singles 1992–2006』に収録された。
シングルには「Canned Heat」と「Supersonic」のリミックスが収録されたが、「Black Capricorn Day」自体のリミックスは含まれていなかった。しかし、その後フランスのDJアレックス・ゴーファーにより「Black Capricorn Day(White Knights Remix)」が制作され、2001年夏に次作『A Funk Odyssey』のプロモーション用にリリースされたアルバム『An Online Odyssey』に収録された。
ミュージックビデオ
このビデオはマーティン・スコセッシの1985年の映画『アフター・アワーズ』に影響を受けているとされる。主人公のジェイ・ケイは、自身の写真と「BURGLAR STOP HIM」と書かれたポスターを見つけ、追われることになる。彼はグラスゴーの裏通りを逃げ回り、最終的にモペッドやBMW 320を奪って逃走する。その後警察にも追われるようになり、橋の下でジャミロクワイのドラマー、デリック・マッケンジーを拾う。2人は警察のヘリコプターに見つかり、群衆と警察に追われながら倉庫に逃げ込む。ジェイはデリックの後を追って屋上へ向かい、デリックがビル間を飛び越えるのを見届ける。群衆が迫る中、ジェイも飛び越えようとし、ラストショットは彼が飛び出す瞬間で終わる。なお、オープニングクレジットではデリックの名前が「Derick」と誤表記されている。
『High Times』DVDに収録されたバージョンは上記の通りだが、日本で放送され、『An Online Odyssey』にも収録されたバージョンはわずかに異なり、約5秒間のショットがカットされている。そこでは、木の板に描かれたジャミロクワイの3作目『Travelling Without Moving』のロゴが路地に映し出されている。
歌詞の意味
この曲は、周囲の期待や重圧にさらされながら、自分自身の心が暗く沈んでいく感覚を“ブラックな日”として描き出す、内省的で緊張感のある物語になっている。人々の攻撃的な気配や理解されない孤独を感じつつ、主人公はどうにも振り払えない不吉さに包まれ、自分でも対処しきれない陰鬱な時間を過ごしている。
彼は周囲から干渉されたくないと強く拒み、何もかもが刺すように痛む心の状態を言葉にしていく。過去の純粋だった頃を思い返しながら、今の自分はまるで冷たい鉄に背を向けて歩いているようで、振り返れば鋭い痛みが襲うという表現が、感情の鋭さと疲弊を象徴している。
さらに道を進むほど、社会や他人に潜む悪意と取引するような感覚が強まり、自分が地獄へ向かう一本道に立っているという諦念が浮かぶ。それでも彼は、ただ干渉を拒みながら、暗さの中で自分の心を守ろうと踏ん張っている。
全体として、気分が沈み込み、世界が黒く見える感覚を音楽と歌詞で重く描いた曲。混乱や失望の深みを歩きながら、それでも自分の領域を守ろうとする内なる強さが、暗闇の中の微かな光のように浮かび上がっている。


