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曲情報
「Deeper Underground」は、イギリスのファンク/アシッド・ジャズバンド、ジャミロクワイが1998年公開の映画『GODZILLA』のサウンドトラックのために制作したシングルである。この曲はバンドの4枚目のスタジオ・アルバム『Synkronized』にボーナストラックとして収録され、その後、5枚目のアルバム『A Funk Odyssey』(2001年)のスペシャル・エディションにも収録された。日本では1998年5月、イギリスでは同年7月にリリースされ、ジャミロクワイにとって唯一の全英シングルチャート1位を獲得した。2017年3月時点で、イギリス国内で33万9100枚以上を売り上げている。この曲は、ベーシストのスチュアート・ゼンダーが脱退する前に参加した最後期の作品の一つでもある。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオはマイク・リプスコムが監督し、映画『GODZILLA』のプロモーションとして制作された。エセックス州グレイズのState Theatreを含むロケ地で撮影されている。内容は、3Dシネマで『GODZILLA』が上映されている最中に、スクリーンからゴジラの足が突き破り、まるでスクリーンの向こうが現実であるかのように劇場内に水が流れ込むというもの。観客が必死に逃げ惑う混乱の中、ジェイ・ケイが座席の上で歌い踊る様子が描かれている。映像にはヘリコプターや自動車、ニューヨークのタクシーなどがスクリーンから飛び出してくる場面も挟まれており、映画本編のカットも随所に挿入されている。最後にはカメラが引いて、実際には別の映画館の観客がこの洪水シーンを見ていたという二重構造の演出が明かされる。
ジェイ・ケイはインタビューで、撮影時に水が流れ込むことをエキストラには事前に伝えていなかったと語っており、そのため観客役の人々の驚きと恐怖の反応は本物だったという。
別バージョンのビデオでは、ゴジラの映像の代わりに、男性が水槽を破壊して劇場に水が流れ込む場面が使用されている。その他の映像部分はオリジナル版と同一である。
歌詞の意味
この曲は、街全体が混乱し崩壊しそうな雰囲気に満ちている中で、主人公がその喧騒や危険から逃れようともがく心境を描いている。外の世界は破壊や暴力が渦巻き、人々は欲と憎しみに支配され、状況を自分たちの手で悪化させていく。そんな荒れた環境の中で、主人公は頭を保てず、見えない恐怖に追い立てられている。
かつては影に隠れて安全を確保できると思っていたが、もう避けることも逃げることもできないほど事態が悪化しており、街の混乱と暴走は限界点に達している。自分の存在や足跡の残る場所でさえ安心できず、すべてが崩れ落ちていくのをただ見つめるしかないという焦燥が滲む。
そんな状況から少しでも距離を置くために、主人公は「地上」から離れ、さらに深い場所へ潜り込むように逃亡を選び取る。街に満ちたパニックや破壊衝動の渦から身を引き、なんとか生き延びるための手段としての「地下深くへの退避」が象徴的だ。
全体として、社会の混乱と人間の破壊性への強い危機感を、逃避のイメージを通して描いた曲。外の世界が暴走していく恐怖と、そこから身を守るために深く潜り続けるしかないという切迫した感覚が、重いビートとともに伝わってくる。


