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曲情報
「Separate Ways(Worlds Apart)」は、アメリカのロックバンドJourneyが演奏し、アルバム『Frontiers』のために録音された楽曲である。1983年1月にシングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100チャートで6週間連続で8位にランクインし、Top Tracksチャートでは4週間にわたり1位を獲得した。この曲は映画『Tron: Legacy』やドラマ『ストレンジャー・シングス』の第4シーズンで使用されたことでも知られている。
この曲のプロモーションのため、バンドはMTV向けに初のコンセプトビデオを撮影した。しかし、さまざまな理由で撮影は困難を極め、批評家からは賛否両論の評価を受けた。ビデオはルイジアナ州ニューオーリンズで撮影された。
背景と作曲
この曲は1982年の『Escape』ツアー中に作曲され、ライブで初めて演奏された正確な時期は不明である。一部の情報では、1982年の「Day on the Green」コンサートが初演とされており、ボーカルのSteve Perryが「この曲は2週間前に書いたばかりだ」と観客に語っている。しかし、シカゴのRosemont Horizonでの公演で、それよりも1カ月以上前に演奏されたブートレッグ音源が存在し、そこでもPerryは「この曲は2週間前に作った」と発言している。
初期のライブ演奏では、アルバム版とは若干異なる歌詞が使用されていた。2008年のインタビューで、ギタリストのNeal Schonは最初に演奏した際のことを振り返り、「どこで演奏しても観客の反応は素晴らしく、まだ録音もされていない段階で、すでに強いインパクトを持っていた」と語っている。
キーボード担当のJonathan Cainによると、「通常、アルバムのかなり前に曲を作ることはないが、この時はSteveとバックステージでアイデアを練り、それがすぐに形になった。Steveがベースを弾き、私がギターを持ち、その夜にメロディーを完成させ、翌日の午後には歌詞ができた」とのことである。
Schonは「この曲はMotownの影響を受けたR&Bやブルースの要素がありながら、ヘビーなギターサウンドを取り入れている。これがJourneyらしさを生んでいる」と語った。一方、Cainも1983年に「リズミカルでありながらも力強く印象的なメロディーが欲しかった。シンセサイザーでメインのリズムを作り、Steve Smithがドラムビートをデザインした」と振り返っている。
ミュージックビデオ
「Separate Ways」のミュージックビデオは、バンドが初めて振り付けされた映像を撮影した作品であった。以前のビデオはライブ映像を編集したものが主だったが、このビデオでは『Faithfully』と共にNFL Filmsのクルーがツアーを撮影した映像も使用された。Steve Perryは振り付けされたビデオに反対していたが、バンドの要請により制作が進められた。
ビデオでは、バンドが波止場で演奏するシーンと、白いジャケットと黒いレザースカートを着た若い女性が歩くシーンが交互に挿入されている。バンドメンバーが彼女のすぐそばで演奏し、彼女に向かって歌っているかのように見えるが、彼女はまったく気づかない。最後のシーンでは、彼女がベッドでヘッドフォンをつけている姿が映し出され、「ビデオ自体が彼女の夢だった」という設定になっている。
このビデオは、バンドメンバーが架空の楽器を演奏しているシーンで悪名高いものとなった。Columbia Records Art and Creative Servicesの振り付けによる50以上のカメラアングルを駆使した映像も含まれている。
撮影初日には、ミシシッピ川からの冷たい風が吹き、Perryは寒さに耐えられずトレーラーに避難していた。また、Perryの当時の恋人Sherrie Swaffordも現場におり、彼女はビデオに出演するモデルMargaret Olmsteadに嫉妬し、彼女を映像から外すよう要求したとされる。Cainは「大騒ぎになった」と回想し、「SherrieはSteveに対してOlmsteadの存在を強く非難した」と語っている。
このビデオは後にMTVのアニメ番組『Beavis and Butt-Head』で酷評され、「最悪のビデオ」のリストに選ばれた。特に、バンドが架空の楽器を演奏するシーンが嘲笑の対象となり、1999年にはMTVの「史上最悪のビデオ25選」で13位に選出された。Jonathan Cainは「どれだけの功績を積んでも、このエアキーボードのことを必ず聞かれる」と述べた。
歌詞の意味
この曲は、関係が終わりを迎えてもなお強く残り続ける愛情を、語り手が別れの痛みとともに受け入れていく姿を描いている。距離が生まれ、心がすれ違い、約束も色あせた状況の中で、互いにどうにもならない現実が明確になる。しかし語り手は、相手が別の道を選んだとしても、その幸せを願い、決して孤独にはさせないという思いを抱き続ける。
過去に触れ合った時間は消えず、いつかどこかで思い出となって相手を包み込むだろうという認識が中心にある。語り手は自分の愛が終わらないことを認めつつ、その愛が相手の未来を妨げるものではなく、むしろ支えとして遠くから寄り添い続ける形に変わったことを受け入れている。
また、相手が新しい関係で傷つく可能性にも触れ、そのときこそ真の愛は離れないという確信を示す。これは未練とは異なり、愛情を所有ではなく無償の思いとして捉え直す姿勢につながっている。全体として、別れの苦しさと持続する愛が共存し、関係の終わりを超えた深い情感が静かに語られている。
その他の動画
1983年の東京でのライブパフォーマンス


