【曲解説】Kenny Loggins – Danger Zone

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「Danger Zone」(デンジャー・ゾーン)は、アメリカのシンガーソングライター、ケニー・ロギンスが1986年に録音した楽曲で、音楽はジョルジオ・モロダー、歌詞はトム・ウィットロックによって書かれた。1986年のアメリカ映画『トップガン』のサウンドトラックに収録されたヒット曲のひとつであり、サウンドトラックはその年最も売れた作品となった。また、史上最も売れたサウンドトラックのひとつでもある。AllMusicは本作を「80年代半ばの決定的なアーティファクト」と評し、アルバム収録のヒット曲群が「当時のポップチャートを支配した爆発的かつメロドラマチックなサウンドを象徴している」と述べている。この楽曲は2022年の続編映画『トップガン マーヴェリック』およびそのサウンドトラックにも、オリジナル音源のまま使用されている。

背景

プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーとドン・シンプソン、音楽監修のマイケル・ディルベックは、映画『トップガン』のオープニングシーンに合う楽曲を選ぶため、300曲以上を検討したが、満足のいく結果が得られなかった。そこでブラッカイマーがサウンドトラックの制作を担当していたジョルジオ・モロダーに新曲の作曲を依頼。モロダーはトム・ウィットロックと共に「Danger Zone」を制作し、ジョー・ピズーロが仮歌を吹き込んだ。これを聴いた映画製作陣が承認し、配給元のコロムビア・レコードが、自社と契約しているアーティストによる正式な録音を要請した。なお、ピズーロのデモバージョンは1987年のテレビ映画『Cracked Up』の一部でも使用された。

当初、この曲はバンドTotoに提供される予定だったが、映画側との契約上のトラブルにより実現しなかった。スティーヴ・ルカサーによると、Totoのバージョンではボーカルのみジョセフ・ウィリアムズのものを使用すると伝えられたが、バンド側がそれを拒否し、辞退に至ったという。2022年のAXS TVでのインタビューにて、ケニー・ロギンスは、最初にこの曲の提供を受けたのはジェファーソン・スターシップだったが、最終的にこのバンドも辞退したと明かしている。

また、コリー・ハートにもオファーがあったが、自身の楽曲を優先するため辞退。REOスピードワゴンのケヴィン・クローニンも、高音すぎて歌えないとの理由で断ったとされる。

最終的に製作陣はロギンスにこの曲を打診し、ロギンスは「ほぼ即決」で受けたと回想している。ウィットロックがロギンスにコンタクトを取った後、ロギンスは即興的な要素も加えて録音し、シングルはビルボード・ホット100で最高2位を記録した。首位はピーター・ガブリエルの「Sledgehammer」に阻まれたものの、「Danger Zone」は1984年の「Footloose」に次ぐ彼の代表的ヒット曲となった。2008年のインタビューでロギンスは「Danger Zoneは自分を象徴する曲ではない」と述べている。

2018年には、ロギンスが主演のトム・クルーズと『トップガン マーヴェリック』に向けた新バージョンの制作について話し合っていたが、最終的にはオリジナル音源がそのまま使用された。クルーズは、当時と同じ感情を呼び起こすためにオリジナルにこだわったとされている。

作曲

「Danger Zone」は変ホ短調で書かれ、4/4拍子、テンポ157BPMの高速な楽曲である。

概要

1980年代のハードロックバンド「Giant」のギタリストであるダン・ハフがギターを担当し、ベースラインはYamaha DX7シンセサイザーで演奏された。終盤にはテナーサックスも加わる。

この曲は1986年7月にビルボード・ホット100で1週間だけ2位を記録した。

ミュージック・ビデオ

1986年5月、シングル発売に合わせてミュージックビデオが公開された。監督は映画『トップガン』と同じくトニー・スコットが務め、ロギンスの歌唱シーンと映画本編の映像を組み合わせた構成となっている。

歌詞の意味

この曲は極限まで速度と緊張が高まる状況へ向かって突き進む感覚を自分がその高揚と危険を積極的に受け入れる姿勢として語っている。エンジンの反応や機体の動きといった物理的な刺激が、そのまま自分の内面の昂ぶりと結びつき、限界ラインへ到達しなければ見えない世界が存在するという確信が示される。

境界線上に身を置くことに強い魅力を感じ、危険そのものが目的地のように扱われている点が特徴的で、制御の限界に触れることで初めて自分の可能性が明らかになるという思想が貫かれている。周囲の世界が夕闇に包まれる描写は、視覚的な緊迫感と同時に、日常から断ち切られた領域へ突入する感覚を補強している。

全体として、自分が高強度の状況を求め続ける性質を率直に描き、その渇望が危険域への直進という行動に転化していく様子が、スピード感と緊張を伴って提示されている。

彼女のうなり声?

この部分はマシンを擬人化している。うなり声はエンジン音、もしくは排気音。

red line(レッドライン)とは?

red line(レッドライン)はスピードメーターのNever Exceed Speed(超過禁止速度)のラインのこと。

danger zone(デンジャー・ゾーン)とは?

danger(デンジャー)」=「危険な」
 「zone(ゾーン)」=「領域」

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