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曲情報
「I Was Made for Lovin’ You」(アイ・ワズ・メイド・フォー・ラヴィン・ユー)は、アメリカのロックバンド、Kiss(キッス)の楽曲で、1979年に7枚目のスタジオ・アルバム『Dynasty(ダイナスティ)』からのリードシングルとして発売された。シングルはポップ・チャートで大ヒットを記録し、1979年8月16日にアメリカでゴールド認定を受け、複数の国でプラチナ認定を獲得した。以来、この曲はライブでの定番曲となり、多くのライブ・アルバムやベスト盤にも収録されている。
歴史
「I Was Made for Lovin’ You」は、Kissのライブ・パフォーマンスにおける定番曲として知られている。メルボルンで行われたバンドの結成30周年記念公演では、メルボルン交響楽団がタキシードにKiss風メイクを施して共演した。デズモンド・チャイルドは当時について「ポールは良いディスコソングを書きたがっていて、私が手伝うことにした。ポールが歌詞とコードを書き始め、私がギターで弾きながら『これをもう少し良くして、本当にいい曲にしよう』と言った」と語っている。
「I Was Made for Lovin’ You」は、1970年代後半のアメリカで流行していたディスコスタイルの影響を強く受けている。伝説によれば、当時バンドとプロデューサーの間には商業的なサウンドへの転換をめぐる対立があったとされる。バンドは「ディスコのヒット曲など誰でも短時間で書ける」と主張し、賭けのような形で短時間でデモを完成させたとされる。この逸話は真偽不明だが、作詞・作曲を担当したポール・スタンレーは、ヒットディスコソングをどれほど容易に作れるかを示す意図があったと語っている。チャイルドによると、彼とスタンレーはSIRスタジオで1時間ほどでヴァースを書き上げ、モータウン風のコーラス部分はチャイルドが帰った後にスタンレーとヴィニー・ポンシアが仕上げたという。ジーン・シモンズは2018年のインタビューで、自分のボーカルパートが気に入らなかったため、この曲をずっと嫌っていたと明かしている。
ピーター・クリスはビデオやアルバムジャケットには登場しているが、実際にはこの曲で演奏していない。『Dynasty』の多くの楽曲と同様、プロデューサーのポンシアがクリスを不適格と判断し、セッションドラマーのアントン・フィグが代わりを務めた。楽曲制作時の音源では、スタンレーがクリスの名前を数回口にしており、アレンジ段階には彼が同席していたことが示唆されている。スタンレーがリズムギターを担当し、エース・フレーリーがギターソロを演奏した。ジーン・シモンズがベースを弾いていないという噂もあったが、ヴィニー・ポンシアらの証言により、実際にシモンズが演奏していたことが確認されている。『Dynasty』のプロモーションでは、「The Return of Kiss(キッスの帰還)」というキャッチコピーが使用された。
歌詞の意味
この曲は、相手との強烈な相性と、止められないほどの愛情と欲望をまっすぐに歌ったラブソング。
夜という親密な空気の中で、相手のためにすべてを捧げたいという気持ちが溢れており、「自分はあなたのために生まれてきた」「あなたも自分のために生まれた」という、運命的で情熱的な結びつきが繰り返し語られる。
主人公は相手の目の中に魔法のような魅力を感じ、その存在が自分を熱く突き動かすことを素直に認めている。お互いの欲望と期待が高まっていく夜の時間が描かれ、それが現実になる瞬間を心から望んでいる。
サビでは、互いに惹かれ合う必然性を強調し、どれだけ触れ合っても満足できないという強い渇望がストレートに表現されている。“Can you get enough of me?”という問いかけは、相手にも同じ熱量で自分を求めてほしいという願望でもある。
全体として、シンプルで力強い言葉を積み重ねながら、恋愛の高揚、身体的な引力、相性の完璧さを賛美する曲になっている。反復されるメロディとフレーズは、互いへの止まらない欲望そのものを象徴している。


