【曲解説】O-Zone – Dragostea Din Tei | 恋のマイアヒ

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Dragostea din tei(ルーマニア語発音: [ˈdraɡoste̯a din ˈtej] ドラゴスタ・ディン・テイ、意味: 「菩提樹の愛」、邦題:恋のマイアヒ)は、モルドバのグループO-Zone(オゾン)によって録音され、2003年7月頃にルーマニアでMedia Servicesよりリリースされた楽曲である。O-Zoneの3枚目のスタジオアルバム『DiscO-Zone』(2003年)からのリードシングルとして発表された。

この曲は、O-Zoneの創設者ダン・バランが作詞作曲し、ボグダン・ポポイアグがプロデュースを担当した。しかし、ポポイアグは自身の作詞作曲の貢献がクレジットされなかったとして、後に法的措置を試みたが、結果は不成功に終わった。楽曲は1980年代風のダンス・ポップ、シンセ・ポップ、ユーロディスコ、ユーロポップの要素を持つ。ルーマニア語で歌われ、歌詞は菩提樹の下での性交を描いたものとされるが、批評家の間ではその意味が曖昧であると指摘され、電話での恋人との会話を歌っているとも解釈されている。特徴的なヨーデルのような歌唱も含まれる。

評価と商業的成功

「Dragostea din tei」は、そのキャッチーなメロディが国際的に評価され、ルーマニア語という言語の壁を超えて広く受け入れられた。2005年のドイツのEcho Music Prizeにおいて「年間最優秀シングル賞」を受賞した。商業的には、2003年末にルーマニア・トップ100で1位を獲得し、その後2004年から2005年にかけて世界的に成功を収めた。オーストリア、ベルギー(ワロン地域)、デンマーク、ヨーロッパ全体、フランス、ドイツ、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スイスなどで1位を記録し、ルーマニア語の楽曲としては前例のない成功を遂げた。フランスではSNEPによりダイヤモンド認定を受け、日本ではRIAJにより400万ユニットの売上を達成した。2007年10月時点で累計1200万枚を超える売上を記録し、歴史上最も売れたシングルの一つとなっている。

カバーとインターネットでの影響

「Dragostea din tei」の国際的な成功には、イタリア在住のルーマニア人歌手Haiduciiが2003年12月に発表したカバーバージョンの影響があるとされる。このカバーはイタリアのUniversoレーベルからリリースされ、2004年初頭にイタリアのシングルチャートで1位を獲得し、その後オーストリアやスウェーデンでも1位を記録した。Haiduciiのバージョンは、一部の国でO-Zoneのオリジナル版と競合し、またオリジナルより先にチャート入りした地域もあった。バランは、このカバーが自身の許可なしにリリースされたと主張し、論争を引き起こした。

オリジナル版は、日本のアニメーションビデオによってインターネット上で人気を博し、それを受けてアメリカのブロガー、ゲイリー・ブロルスマが2004年12月に「Numa Numa Dance」という動画を制作。この動画では、彼がコンピューターの前で「Dragostea din tei」に合わせて踊る様子が映されており、瞬く間にバイラルヒットとなった。この動画は史上最も視聴されたインターネット動画の一つとなり、楽曲のミーム化を決定づけた。

ミュージックビデオとパフォーマンス

オリジナルの「Dragostea din tei」には、ドミトリ・ヴォロシンが監督を務めたミュージックビデオが存在する。ビデオでは、O-Zoneのメンバーが飛行機のコックピットや翼の上で踊る姿が描かれている。また、ヨーロッパ、ロシア、日本などでライブパフォーマンスも行われた。

アメリカでは、ダン・バランが「Ma Ya Hi」という英語版を発表し、アメリカ人アーティストのルーカス・プラタとコラボレーション。NBCの「Today」に出演し、同曲を披露した。

その後の影響

「Dragostea din tei」は、後の音楽やメディアにも大きな影響を与えた。2008年には、アメリカのラッパーT.I.とバルバドスの歌手リアーナが「Live Your Life」においてこの曲をサンプリングし、アメリカとイギリスのチャートで1位を獲得した。また、2024年にはフランスのDJデヴィッド・ゲッタとアメリカのバンドOneRepublicが「I Don’t Wanna Wait」でインターポレーションを用いた。さらに、この楽曲は2005年の映画『チキン・リトル』や2011年の『ハッピー・フィート2』など、複数の映画で使用されている。

歌詞の意味

この曲は恋人が離れてしまうことで世界の色が失われていく感覚を、軽快でキャッチーなフレーズと絵を描くイメージで表現している。主人公は自分の想いを絵として残そうとし、愛の言葉さえ色として塗り込めていくことで相手への気持ちをつなぎ留めようとしている。相手がそばにいないと景色が灰色になってしまうという喪失感と、それでも愛を形にしようとする切なさが、明るいメロディとの対比でより際立っている。陽気な音に隠れながらも、愛を失う怖さと相手にいてほしいという願いが繰り返し強調される曲になっている。

タイトル「Dragostea din tei」の意味

「Dragostea din tei」「菩提樹の下での恋」
 菩提樹(リンデン)はヨーロッパの文化や文学で ロマンチックな愛の象徴 としてよく登場する木であるため、この歌詞の文脈にもぴったり合っている。

「マイヤヒー、マイヤフー」の意味

Ma-i-a hi, ma-i-a hu(マイヤヒー、マイヤフー)」の部分は、特に意味のないスキャット(意味のない言葉を使うジャズ歌唱の一種)になっている。

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