【曲解説】R.E.M. – I’ll Take the Rain

動画

曲情報

「I’ll Take the Rain」(アイル・テイク・ザ・レイン)は、アメリカのロックバンドR.E.M.の12枚目のスタジオ・アルバム『Reveal』(2001年)からの3枚目にして最後のシングルである。2001年11月19日にリリースされ、全英シングルチャートで44位を記録したが、それ以外の地域ではチャート入りしなかった。この楽曲はリミックス・アルバム『r.e.m.IX』に収録され、また2001年のMTVアンプラグドでも演奏された。

ミュージック・ビデオ

シングルのミュージック・ビデオはデヴィッド・ウィアーが監督を務め、バンドにとって初の全編アニメーション作品となった。楽曲のペースに合わせた陰鬱な雰囲気の映像で、王冠をかぶった犬と生きている木製の荷車(シングルのカバーにも描かれている)が島を探検する様子が描かれている。

歌詞の意味

この曲は、季節の移ろいを通して、愛が変わっていく痛みと、それでもその経験を受け入れようとする心の成長を描いてる。降り続く雨や強い風は、かつての温かさが遠ざかっていく現実を象徴していて、思い出の中の夏のような柔らかい時間はもう戻らない。それでも相手との関係が残した痕跡は消えず、約束や想いが胸の奥に刻まれている。

主人公は、以前は軽やかに生きられるはずだと信じていたけれど、いま目の前にあるのは思うように進まない関係の重さで、その重ささえも受け入れようとしている。雨を受け入れるという言葉には、失われたものへの未練や、痛みを含んだ現実を引き受ける覚悟がにじんでいる。

物語が進むにつれ、相手が陽の当たる時期には優しく、寒さが訪れると心を閉ざしてしまうような不均衡さが浮かび上がる。主人公は、相手が心を開くことを願いながらも叶わないまま、冬の訪れを自分の内側にも受け入れていく。そして最後には、ひとりで歩くことを選びつつも、その選択を前向きな変化として捉えようとする姿勢が強くなる。雨を受け入れるという反復は、喪失と再生を抱えながら、新しい自分へ向かおうとする静かな決意を象徴している曲。