【曲解説】R.E.M. – Orange Crush

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曲情報

「Orange Crush」(オレンジ・クラッシュ)は、アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、R.E.M.の楽曲である。1988年にバンドの6枚目のスタジオ・アルバム『Green』からの最初のシングルとしてリリースされた。アメリカでは商業的に発売されなかったが、プロモーション・シングルとしてMainstream Rock TracksとModern Rock Tracksの両チャートで1位を獲得した(当時はU2を抜いて最長の8週間1位を保持する記録を持っていた)。全英シングルチャートでは最高28位を記録し、当時のバンドにとってイギリスでの最高順位となった。バンドはこの曲をプロモーションのために『Top of the Pops』に初出演した。

この楽曲のミュージック・ビデオはマット・マーハリンが監督し、バンドにとって初のVMA「Best Post-Modern Video」を受賞した。「Orange Crush」は同部門で最初に受賞した楽曲でもある。ビデオは完全にモノクロで撮影されており、バンドのメンバーは一切登場しない。

この曲は2003年にリリースされたR.E.M.のワーナー・ブラザース・レコード時代のコンピレーション・アルバム『In Time: The Best of R.E.M. 1988–2003』に収録されており、2005年にダブリンで録音されたライヴ・アルバム『R.E.M. Live』にも収録されている。

曲名は、モンサント社とダウ・ケミカル社がアメリカ国防総省のために製造し、ベトナム戦争で使用された枯葉剤「エージェント・オレンジ」を指している。

『Green』ワールド・ツアーの間、マイケル・スタイプは「Be all you can be… in the Army(できることをすべてやれ…陸軍で)」というアメリカ陸軍のリクルート用スローガンを歌って曲を始めた。スタイプの父はベトナム戦争に従軍していた。

歌詞の意味

オレンジ・クラッシュ(orange crush)とは?

オレンジ・クラッシュ(Orange Crush)とは、ベトナム戦争で使用された枯葉剤「エージェント・オレンジ(Agent Orange)」を暗示する言葉遊び。表向きは清涼飲料の名前だが、歌詞では従軍兵士の体験や化学兵器の記憶を重ね合わせた象徴として使われている。

ちなみにこのフレーズにおける「spine」とは、直訳では「背骨」のこと。スラングとしては「勇気」「気骨」「根性」を意味する。
「I’ve got my spine, I’ve got my orange crush」(俺には根性がある 俺には“オレンジ・クラッシュ”がある)と言うことで、兵士としての胆力と枯葉剤を並列させ、戦場を生き抜くための拠り所を示している。

whirlybird(ワーリーバード)とは?

whirlybirdとは、俗語で「ヘリコプター」のこと。特に軍用ヘリを指すことが多い。歌詞に登場する「whirlybird」は、ベトナム戦争の戦場で兵士を運ぶ輸送ヘリや攻撃ヘリを連想させる。

overとは?

軍事用語で「over」は無線交信や頭上を飛ぶ動作を示す。「俺の頭上を飛べ いや俺の頭上はやめろ」というフレーズは、頭上をかすめるヘリや爆撃機を連想させ、戦場の混乱を表現していると解釈できる。

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