【歌詞和訳】Simon & Garfunkel – Mrs. Robinson

音源

歌詞&翻訳

And here’s to you, Mrs. Robinson
幸運を願って乾杯をあなたに、ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
きっとあなたが思う以上にイエスはあなたを想っています
Woah, woah, woah
ウォウ、ウォウ、ウォウ
God bless you please, Mrs. Robinson
どうか神の祝福を、ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は祈る者のための場所を用意しています
Hey, hey, hey
ヘイ ヘイ ヘイ
Hey, hey, hey
ヘイ ヘイ ヘイ

We’d like to know a little bit about you for our files
あなたのことを少しだけ知りたいんです
We’d like to help you learn to help yourself
あなたが自分の力で人生を歩めるように、僕らが手を貸したいんです
Look around you, all you see are sympathetic eyes
まわりをご覧ください、誰もが君を優しく見つめていますよ
Stroll around the grounds until you feel at home
この庭を歩き回って、ここを我が家のように感じてください

And here’s to you, Mrs. Robinson
幸運を願って乾杯をあなたに、ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
きっとあなたが思う以上にイエスはあなたを想っています
Woah, woah, woah
ウォウ、ウォウ、ウォウ
God bless you please, Mrs. Robinson
どうか神の祝福を、ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は祈る者のための場所を用意しています
Hey, hey, hey
ヘイ ヘイ ヘイ
Hey, hey, hey
ヘイ ヘイ ヘイ

Hide it in a hiding place where no one ever goes
誰も来ない場所にそっと隠してしまいなさい
Put it in your pantry with your cupcakes
カップケーキと一緒に戸棚にしまっておけばいいんです
It’s a little secret, just the Robinsons’ affair
それは小さな秘密、ロビンソン家だけの話
Most of all, you’ve got to hide it from the kids
何よりも子どもたちには決して見つからないようにしてください

Coo, coo, ca-choo, Mrs. Robinson
クークー・カチュー、ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
きっとあなたが思う以上にイエスはあなたを想っています
Woah, woah, woah
ウォウ、ウォウ、ウォウ
God bless you please, Mrs. Robinson
どうか神の祝福を、ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は祈る者のための場所を用意しています
Hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ

Sitting on a sofa on a Sunday afternoon
日曜日の午後、ソファに腰掛け
Going to the candidates debate
候補者討論会をぼんやりと眺めている
Laugh about it, shout about it
笑い飛ばすか、怒鳴り散らすか
When you’ve got to choose
どちらに転んでも
Every way you look at it, you lose
どの道、負けることには変わりない

Where have you gone, Joe DiMaggio?
ジョー・ディマジオはどこへ行ってしまったの?
A nation turns its lonely eyes to you
この国は寂しそうな眼差しで君を探しているよ
Woo, woo, woo
ウー、ウー、ウー
What’s that you say, Mrs. Robinson?
なんですって?ミセス・ロビンソン
Joltin’ Joe has left and gone away
ジョルトン・ジョーはもう去ってしまったと?
Hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ

曲情報

 「Mrs. Robinson」(ミセス・ロビンソン)は、アメリカのフォークロックデュオ、Simon & Garfunkel(サイモン・アンド・ガーファンクル)が1968年にリリースした楽曲であり、4枚目のスタジオアルバム『Bookends』に収録されている。元々1967年の映画『卒業』のために制作され、一部のフレーズのみが映画で使用された。その後、フルバージョンが1968年4月5日にColumbia Recordsよりシングルとしてリリースされた。プロデューサーはSimon & GarfunkelとRoy Haleeが務め、作詞作曲はポール・サイモンが担当した。映画の監督マイク・ニコルズは、最初に提供された2曲を拒否した後、サイモンが作成中だったこの楽曲の一部を聴き、採用を決定した。『卒業』のサウンドトラックには「Mrs. Robinson」の短縮バージョンが2つ収録されており、同年リリースのEP『Mrs. Robinson』には映画に使用された「April Come She Will」「Scarborough Fair/Canticle」「The Sound of Silence」とともに収録された。

 この楽曲はSimon & Garfunkelにとって2曲目の全米No.1ヒットとなり、Billboard Hot 100の首位を獲得。また、イギリス、アイルランド、スペインなどでもトップ10入りを果たした。1969年にはロック楽曲として初めてグラミー賞「最優秀レコード賞」を受賞し、その後もフランク・シナトラ、The Lemonheads、Bon Joviなど多くのアーティストにカバーされている。2004年には、AFIの「アメリカ映画100年・100曲」で第6位に選出された。

背景

 Simon & Garfunkelは1965〜66年にかけて全米で名声を確立し、ヒットシングルやアルバムを次々と発表していた。一方、映画『卒業』の監督マイク・ニコルズは、撮影期間中ずっと彼らの楽曲を聴き続けており、映画に使用することを決定した。Columbia Recordsの会長クライヴ・デイヴィスは、映画とのタイアップがサウンドトラックの成功に繋がると考え、楽曲提供を強く後押しした。

 当初、ポール・サイモンは映画向けの楽曲提供に消極的だったが、ニコルズのユーモアと脚本に感銘を受け、新たに2曲「Punky’s Dilemma」と「Overs」を書き下ろした。しかし、ニコルズはこれらの楽曲を気に入らず、さらに他の曲の提供を依頼した。その際、Simon & Garfunkelが制作中だった「Mrs. Roosevelt」という楽曲の一部を聴かせたところ、ニコルズはこの楽曲を気に入り、映画用に採用することを決めた。

 最終的な録音は1968年2月2日にニューヨークのColumbia Studio Aで行われた。この楽曲は映画公開から3か月後にシングルとしてリリースされたが、ラジオで頻繁に放送されたことで、映画の宣伝にも貢献した。

歌詞と構成

 「Mrs. Robinson」の歌詞には、野球界のレジェンドであるジョー・ディマジオへの言及が含まれている。この部分はしばしば議論の的となり、サイモン自身も後にディマジオと直接対話した際、「なぜ自分がいなくなったことを歌詞にするのか」と尋ねられた。サイモンは、「あなたのようなアメリカン・ヒーローは少なくなっている、という意味だった」と説明し、ディマジオもこれを受け入れたとされる。

 楽曲のリズムには「クークーカチュー(coo-coo-ca-choo)」というフレーズが登場するが、これはビートルズの「I Am the Walrus」からの影響を受けたものである。

受賞歴

 「Mrs. Robinson」は、1969年の第11回グラミー賞で「最優秀レコード賞」と「最優秀コンテンポラリー・ポップ・パフォーマンス(デュオまたはグループ)」の2部門を受賞した。Simon & Garfunkelは授賞式でのライブパフォーマンスを辞退し、代わりにヤンキー・スタジアムでの映像を収録し、それが放映された。

 映画『卒業』のために書かれた楽曲ではなかったため、「Mrs. Robinson」はアカデミー賞の「最優秀オリジナル歌曲賞」にはノミネートされなかったが、1999年にはColumbia Recordsのオリジナル録音がグラミー殿堂賞に登録された。

歌詞の意味

“Coo, coo, ca-choo” とは?

Coo, coo, ca-choo, Mrs. Robinson
クークー・カチュー、ミセス・ロビンソン

 ”Coo, coo, ca-choo” はビートルズの “I Am the Walrus”(1967年) の歌詞 “Goo Goo G’Joob” から影響を受けた言葉である。これらは意味のない言葉遊びであり、リズムや響きを楽しむために使われている。

“Joltin’ Joe” とは?

Joltin’ Joe has left and gone away
ジョルトン・ジョーはもう去ってしまったと?

 “Joltin’ Joe” は、ジョー・ディマジオ(Joe DiMaggio) のニックネームで、彼の野球でのプレースタイルと活躍に由来しています。


“Joltin’ Joe” の由来

  1. “Joltin'” は “Jolt”(衝撃を与える・揺さぶる) の進行形
    • 「電撃的な」「衝撃的な」といった意味を持つ。
    • ジョー・ディマジオの 力強いスイング驚異的な打撃成績 を表現している。
    • 彼の打撃はまさに 「観客に衝撃を与える」「試合の流れを一変させる」 ものだった。
  2. ニックネームは 1941年の「56試合連続安打」の偉業によって定着
    • 1941年、ディマジオは メジャーリーグ史上最長の「56試合連続安打」 を記録。
    • これは今なお破られていない 伝説の記録 であり、「電撃的な男(Joltin’ Joe)」というニックネームが広まった。
  3. ニックネームは「Joltin’ Joe DiMaggio」という歌にも使われた
    • 1941年、レス・ブラウンと彼のバンド・オブ・リノウン(Les Brown and His Band of Renown) が、“Joltin’ Joe DiMaggio” という曲を発表。
    • これが大ヒットし、ディマジオの愛称として定着した。

全体的な歌詞の意味

 「ミセス・ロビンソン(Mrs. Robinson)」 は、1967年の映画 『卒業(The Graduate)』 のために作られた曲ですが、特定のストーリーを語るわけではなく、象徴的なイメージや社会的なテーマを含んだ歌詞 になっています。


 この曲は 「ミセス・ロビンソン」という架空の人物を通じて、アメリカ社会の変化や喪失感、個人の孤独や偽善を描いた作品 と考えられます。
 以下の 3つの主なテーマ が含まれています。


① ミセス・ロビンソンの孤独と偽善

  • 「ミセス・ロビンソン」とは 映画『卒業』のキャラクター(年上の女性で主人公の愛人) を指していますが、曲の歌詞では必ずしも映画の内容と一致していません。
  • 彼女は 社会的には「良き妻」や「敬虔な女性」のように見えるが、実際には秘密や心の孤独を抱えている
  • “Hide it in a hiding place where no one ever goes”(誰も来ない場所にそれを隠してしまいなさい) という歌詞は、彼女が 何か隠したい秘密を抱えている ことを示唆している。
  • また、「Most of all, you’ve got to hide it from the kids」(何よりも、子どもたちには決して見つからないように) という部分は、表向きの姿と内面のギャップを隠さなければならないことを象徴している。

② アメリカ社会への批判と失われた価値観

  • サイモン&ガーファンクルは 1960年代のアメリカ社会の変化を強く意識していた
  • 伝統的な価値観やモラルが崩れつつある中で、人々は何かを信じたいと思っている。
  • “Jesus loves you more than you will know”(きっとあなたが思う以上にイエスはあなたを想っている) というフレーズは、
    • 一見、敬虔なメッセージのようだが、
    • 皮肉にも「本当にそうだろうか?」と 宗教や道徳観の偽善を問いかけている ようにも読める。

③ 喪失感と過去へのノスタルジー

  • “Where have you gone, Joe DiMaggio?”(ジョー・ディマジオはどこへ行ってしまったの?) という歌詞は、
    かつてのアメリカの象徴的なヒーローが消えたこと を嘆いている。
  • “A nation turns its lonely eyes to you”(この国は孤独な眼差しで彼を探し求めている) というフレーズは、
    • ジョー・ディマジオのような「正統派のヒーロー」がいなくなり、アメリカ社会が混迷している ことを表している。
    • ベトナム戦争や政治的混乱の中で、人々は「失われた理想の時代」を求めているが、それはもう戻ってこない。
    • そのため、ノスタルジーと現実のギャップに対する虚しさや皮肉 が感じられる。
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