【歌詞和訳】Sting – Children’s Crusade

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歌詞&翻訳

Young men, soldiers, nineteen fourteen
若き兵士たち、一九一四年
Marching through countries they’d never seen
見知らぬ国を行進する
Virgins with rifles, a game of charades
銃を持った戦争を知らない若者たち、まるで茶番劇のような戦争
All for a Children’s Crusade
すべては「子供十字軍」の名のもとに
Pawns in the game are not victims of chance
使い捨ての駒となった彼らは偶然の犠牲者ではない
Strewn on the fields of Belgium and France
ベルギーとフランスの野に散らばる
Poppies for young men, death’s bitter trade
若者のためのポピー、死の冷酷な取引
All of those young lives betrayed
すべての若き命が裏切られた

The children of England
イギリスの若者たちは
Would never be slaves
決して奴隷にはならないはずだった
They’re trapped on the wire
彼らは鉄条網に囚われ
And dying in waves
次々と命を落としていく
The flower of England
イギリスの若き花々は
Face down in the mud
泥の中にうつ伏せに倒れる
And stained in the blood
Of a whole generation
そして一つの世代全体が戦争によって血に染まった

Corpulent generals safe behind lines
肥えた将軍たちは安全な後方で
History’s lessons drowned in red wine
歴史の教訓は赤ワインに溺れ、忘れ去られた
Poppies for young men, death’s bitter trade
若者のためのポピー、死の冷酷な取引
All of those young lives betrayed
すべての若き命が裏切られた
All for a Children’s Crusade
すべては「子供十字軍」の名のもとに

The children of England
イギリスの若者たちは
Would never be slaves
決して奴隷にはならないはずだった
They’re trapped on the wire
彼らは鉄条網に囚われ
And dying in waves
次々と命を落としていく
The flower of England
イギリスの若き花々は
Face down in the mud
泥の中にうつ伏せに倒れる
And stained in the blood
Of a whole generation
そして一つの世代全体が戦争によって血に染まった

The children of England
イギリスの若者たちは
Would never be slaves
決して奴隷にはならないはずだった
They’re trapped on the wire
彼らは鉄条網に囚われ
And dying in waves
次々と命を落としていく
The flower of England
イギリスの若き花々は
Face down in the mud
泥の中にうつ伏せに倒れる
And stained in the blood
Of a whole generation
そして一つの世代全体が戦争によって血に染まった

Midnight in Soho, nineteen eighty-four
ソーホーの真夜中、一九八四年
Fixing in doorways, opium slaves
建物の隙間でヘロインを打つ、薬物に囚われた若者たち
Poppies for young men, such bitter trade
若者のためのポピー、なんと苦い取引か
All of those young lives betrayed
すべての若き命が裏切られた
All for a Children’s Crusade
すべては「子供十字軍」の名のもとに

曲情報

 「Children’s Crusade」(チルドレンズ・クルセイド)は、イギリスのミュージシャン、スティングの曲。この曲は1985年6月17日にリリースされたデビュー・ソロ・アルバム『The Dream of the Blue Turtles』(ザ・ドリーム・オブ・ザ・ブルー・タートルズ)に収録された。

『Children’s Crusade』のテーマと歴史的背景

 この曲は、二つの歴史的な出来事と1985年当時のロンドン・ソーホーの薬物依存者を結びつけ、”失われた世代” というテーマを浮き彫りにしている。スティングはライブアルバム『Bring on the Night』のライナーノーツで、この曲が11世紀から第一次世界大戦、そして1985年(当時の現代)までの異なる時代を扱っていると指摘している。

1212年の「子供十字軍」

 「Children’s Crusade(子供十字軍)」とは、1212年にドイツとフランスから何千人もの子供たち(中には6歳ほどの子供もいた)が聖地を目指し、信仰の力だけでトルコ人からエルサレムを奪還しようとした運動のことを指す。

 二つのグループがあり、一つは12歳のフランス人羊飼いの少年ステファン、もう一つは少し年上のドイツ人少年ニコラスが率いていた。しかし、悲劇的なことに、何千人もの子供たちがヨーロッパを横断する途中で病気や飢えによって命を落とした。

 一部はイタリアのジェノヴァに到達したが、船には乗らなかった。
約30,000人はフランスのマルセイユにたどり着き、無料で船に乗せてもらえると言われたが、実際には腐った古い船に詰め込まれ、エジプトへ送られ、奴隷として売られてしまった。この子供十字軍のうちエルサレムに到達した者は一人もいなかった。

第一次世界大戦と「失われた世代」

 歌詞の大部分は、1914年から1918年にかけての第一次世界大戦におけるイギリスの若者たちの凄惨な死を扱っている。当時のイギリスの若者たちは、ベルギーやフランスの戦場で大量に虐殺された。

 スティングは1985年のインタビュー・ディスクの中で、次のように語っている。

 「Children’s Crusade」は、かなり苦々しい曲だ。

 もともとの子供十字軍は11世紀に起こったものだが、当時の修道士二人がヨーロッパの街の子供たちを集め、彼らに「お前たちはキリストのためにパレスチナで戦う軍隊になるんだ」と教え込み、サラセン人と戦わせようとしたんだ。でも、その本当の目的は、子供たちをアフリカで奴隷として売ることだった。結局、何千人もの子供たちが奴隷として売り払われた。これは、”若者の理想の悪用と愚弄”を象徴する、非常に皮肉な出来事だった

 このことを考えているうちに、これは歴史上で唯一の “子供十字軍” ではないと気づいたんだ。むしろ、何度も繰り返されてきたんだって。それで、他の例を探してみた。

 そして、この曲の中で挙げた例の一つが第一次世界大戦だ。この戦争では、何百万人もの若者、ドイツ人、フランス人、イギリス人が、今でも理解できない理由のために殺された。一つの世代全体が、愚かで皮肉な理由によって抹殺されたんだ。

 そして、現代(1985年)における”子供十字軍”の例を探してみた。俺が思うに、それはヘロイン産業だ。ビジネスマンたちは莫大な利益を得るために、ヘロインを売り、それを扱えない人々に広めている。

 例えば、イギリスでは、大麻を買うよりもヘロインを買う方が安い。学校の校門の前で、子供たちに無料でヘロインを配って、中毒にさせている。あるいは、大麻を買ったら、その中にヘロインが混ぜられていて、気づかないうちに依存させられる。

 これもまた”子供十字軍”だ。11世紀に奴隷を売っていた連中、第一次世界大戦で若者を戦争に駆り出した連中と、今ヘロインを売っている連中は、結局、同じ連中なんだ。この曲はそんな奴らに地獄へ落ちろと言っているんだよ。

歌詞の意味

“Poppies”(ポピー)の意味

戦没者の象徴(Remembrance Poppies)

 ポピー(ケシの花)は、第一次世界大戦の戦没者を追悼する花として広く知られている。このイメージは、ジョン・マクレーの詩「フランダースの野に」に由来する。

第一次世界大戦の戦場だったベルギー・フランスのフランドル地方では、多くの兵士が戦死した。その血が染み込んだ荒れ果てた大地に、真っ赤なポピーが咲き誇ったことが、戦没者の象徴となった。

 歌詞では、

“Poppies for young men, death’s bitter trade”
(若者たちのためのポピー、死の冷酷な取引)

 とあるように、戦争で犠牲になった若者たちを悼む花として使われている。

 ポピーは「戦争の犠牲者を追悼する花」としての意味を持つ。

アヘン(ヘロイン)の象徴

 ポピーからはアヘン(Opium)が採取され、さらに精製するとヘロインになる。

 この歌詞では、第一次世界大戦で犠牲になった若者たちと、1980年代のロンドン・ソーホーで麻薬に溺れる若者たちを対比させている。

 過去には戦争が若者の命を奪い、現代では麻薬が若者の人生を蝕んでいる。

 歌詞の後半では、

“Midnight in Soho, Nineteen Eighty-four”
(ソーホーの真夜中、一九八四年)

 とあり、これは当時のロンドンのドラッグ問題に言及している。

 ポピーは「ヘロイン=若者を破滅させるもの」という意味も持っている。

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