【歌詞和訳】Sting – Ghost Story

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歌詞&翻訳

I watch the western sky
西の空を見つめると
The sun is sinking
夕陽が沈み
The geese are flying south
雁が南へ飛んで行く
It sets me thinking
その光景に考えさせられる
I did not miss you much
君がいなくてもそんなに悲しくなかったし
I did not suffer
苦しむこともなかった
What did not kill me
僕を打ちのめせなかったものは
Just made me tougher
ただ僕をより強くしただけだった

I feel the winter come
冬の訪れを感じる
His icy sinews
冬の冷たさが張り詰める
Now in the firelight
今、暖炉の灯りの中で
The case continues
裁判は続く
Another night in court
また夜の法廷で
The same old trial
いつもの裁き
The same old questions asked
同じ問いが繰り返され
The same denial
同じ否認をする

The shadows closing round
Like jury members
陪審員のように影が僕を囲む
I look for answers in
The fire’s embers
炎の残り火に答えを探す
Why was I missing then
That whole December?
どうしてあの12月、僕は姿を消したんだ?
I give my usual line
僕は決まり文句を繰り返す
I don’t remember
「覚えていない」と

Another winter comes
また冬が訪れ
His icy fingers creep
冬の冷たい指が
Into these bones of mine
骨の髄まで染み込んでくる
These memories never sleep
この記憶は眠らない
And all these differences
そして、二人の間に起こったすれ違いのすべて
A cloak I borrow
僕が借りた外套
We kept our distances
僕らは距離を置き続けたのに
Why should it follow that
I must have loved you?
どうしてそれが愛の証明になるのだろう?

What is a force that binds the stars?
星を結ぶ力とは何?
I wore this mask to hide my scars
この傷を隠すために、僕は仮面をかぶっていた
What is the power that pulls the tide?
潮を引き寄せる力とは何?
I never could find a place to hide
隠れる場所など、どこにもなかった
What moves the Earth around the sun?
何が地球を太陽の周りで動かしているのか
What could I do but run and run and run?
ただ逃げ続けること以外に何ができた?
Afraid to love, afraid to fail
愛することを恐れ、失敗することも恐れ
A mast without a sail
帆のないマストのように

The moon’s a fingernail
月は爪のように細い三日月の形で
And slowly sinking
ゆっくりと沈んでいく
Another day begins
新しい朝が始まり
And now I’m thinking
そして今、こう思う
That this is indifference
この無関心こそが
Was my invention
僕の作り事だった
When everything I did
Sought your attention
本当はすべて、君の気を引こうとしてやっていたのに

You were my compass star
君こそが僕の羅針盤で
You were my measure
君こそが測量機だった
You were a pirate’s map
Of buried treasure
君こそが海賊が追う宝の地図だった
If this was all correct
もしこれらすべてが真実だったのなら
The last thing I’d expect
こんなことはありえないと思っていた
The prosecution rests
検察は休廷している
It’s time that I confessed
さあ、僕が告白する時が来た
I must have loved you
僕は君を愛していたに違いない
I must have loved you
僕は君を愛していたに違いない

曲情報

 「Ghost Story」(ゴースト・ストーリー)は、イギリスのミュージシャン、スティングの楽曲。この曲は6枚目のソロ・スタジオ・アルバム『ブラン・ニュー・デイ』に収録され、1999年9月27日にA&Mレコードからリリースされた。アルバムはビルボード200で最高9位を記録し、米国で350万枚以上を売り上げた。発売後、『ブラン・ニュー・デイ』は批評的にも商業的にも成功し、このアルバムにより、スティングは最優秀ポップ・ボーカル・アルバムと最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンスのグラミー賞を受賞した。

歌詞の意味

「I must have loved you」の意味

I must have loved you
僕は君を愛していたに違いない

 日本版CD付属の訳ではこの「I must have loved you」というフレーズを「僕は君を愛するべきだった」と訳しているが、「I must have loved you」はこんな意味にはならない。

“must have + 過去分詞” の意味

 英語の “must have + 過去分詞” は、過去の事実や可能性についての 「〜だったに違いない」 という確信を表す表現である。

  • : He must have left already.
    → 「彼はすでに出発したに違いない」
  • I must have loved you
    → 「僕は君を愛していたに違いない」

 このフレーズは、過去の出来事を振り返りながら、「確かに、自分は君を愛していたんだ」と気づく場面で使われる。

「愛すべきだった」と言いたいときは?

 「愛すべきだった」と言いたい場合は、“should have loved you” になる。これは、過去に「すべきだったのにしなかった」という後悔を表す。

  • : I should have called her.
    → 「彼女に電話すべきだった(のにしなかった)」

 つまり、“I must have loved you” は「君を愛していたに違いない」や「僕は君を愛していたんだ」という意味であり、「愛すべきだった」という意味ではない。

「The last thing I’d expect」の意味

The last thing I’d expect
こんなことはありえないと思っていた

 日本版CD付属の訳ではこの「The last thing I’d expect」というフレーズを「最後に僕が期待するもの」と訳しているが、これは直訳に近く、読み手に誤解を与える表現である。このフレーズの実際の意味は、「最も予想外なこと」という意味になる。つまり、最初に「expect(予期する、期待する)」するものが最も可能性が高いと思っていたことで、しかし、それが外れ、次々と選択肢が消えていく中で、最後に残ったものは「最も予期していなかったこと」となる。したがって、「最後に僕が期待するもの」という訳ではなく、「こんなことはありえないと思っていた」「まさかそんなことが起こるなんて」というふうに訳す方がより正確に意味を伝えられる。

「A cloak I borrow」の意味

And all these differences
そして、二人の間に起こったすれ違いのすべて
A cloak I borrow
僕が借りた外套

 この部分は主人公が過去を回想しながら、記憶の断片の中で借りた外套のことを思い出しているように見える描写だが、おそらく「A cloak I borrow」は以下の部分と対応している。

That this is indifference
この無関心こそが
Was my invention
僕の作り事だった
When everything I did
Sought your attention
本当はすべて、君の気を引こうとしてやっていたのに

 つまり「借りた外套」とは、本来の自分ではない自分を演じていたせいですれ違いを起こした原因として使われていると考えられる。つまり、「二人の間に起こったすれ違いのすべては僕が一時的に借りた本来の自分を覆い隠すものをまとっていたせいだった」と読める。

 「A cloak I borrow」の歌詞が出てくる時点では、「all these differences」と共にただのフレーズの羅列になっており、リスナーにその意味で読ませるようにはできていないが、後半の歌詞とつなげることで理解できる構造になっている。

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