【歌詞和訳】Sting – We Work The Black Seam

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歌詞&翻訳

This place has changed for good
この場所はもう二度と元には戻らない
Your economic theory said it would
お前たちの経済理論の通りになった
It’s hard for us to understand
だが俺たちは簡単には納得できない
We can’t give up our jobs the way we should
仕事を手放すわけにはいかないからな

Our blood has stained the coal
俺たちの血が石炭を染めてきた
We tunneled deep inside the nation’s soul
国の魂の奥深くまで坑道を掘ってきた
We matter more than pounds and pence
俺たちは金やペンス以上の価値がある
Your economic theory makes no sense
お前たちの経済理論には意味がない

One day in a nuclear age
いつか核の時代になれば
They may understand our rage
彼らも俺たちの怒りを理解するかもしれない
They build machines that they can’t control
自ら制御できない機械を作り
And bury the waste in a great big hole
巨大な穴に廃棄物を埋めていく
Power was to become cheap and clean
電力は安く、クリーンになるはずだった
Grimy faces were never seen
もう煤にまみれた顔なんて見ることはなくなるはずだった
But deadly for twelve thousand years
だが、一万二千年もの間、死をもたらすのが
Is carbon fourteen
炭素14だ
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける

The seam lies underground
鉱脈は地下深くに眠る
Three million years of pressure packed it down
三百万年の圧力に押し固められ
We walk through ancient forest lands
俺たちは太古の森を歩き
And light a thousand cities with our hands
この手で千の都市に灯りをともす
Your dark satanic mills
お前たちの暗黒の工場が
Have made redundant all our mining skills
俺たち炭鉱夫の技術を時代遅れにした
You can’t exchange a six inch band
だが六インチの鋼の帯と
For all the poisoned streams in Cumberland
カンバーランドの汚染された川を交換することなどできない

One day in a nuclear age
いつか核の時代になれば
They may understand our rage
彼らも俺たちの怒りを理解するかもしれない
They build machines that they can’t control
自ら制御できない機械を作り
And bury the waste in a great big hole
巨大な穴に廃棄物を埋めていく
Power was to become cheap and clean
電力は安く、クリーンになるはずだった
Grimy faces were never seen
もう煤にまみれた顔なんて見ることはなくなるはずだった
But deadly for twelve thousand years
だが、一万二千年もの間、死をもたらすのが
Is carbon fourteen
炭素14だ
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける

And should the children weep
そして、もし子供たちが涙を流しても
The turning world will sing their souls to sleep
回り続ける世界が、彼らの魂を子守唄のように包み込むだろう
When you have sunk without a trace
お前たちが跡形もなく沈むとき
The universe will suck me into place
宇宙は俺をしかるべき場所へと引き寄せる

One day in a nuclear age
いつか核の時代になれば
They may understand our rage
彼らも俺たちの怒りを理解するかもしれない
They build machines that they can’t control
自ら制御できない機械を作り
And bury the waste in a great big hole
巨大な穴に廃棄物を埋めていく
Power was to become cheap and clean
電力は安く、クリーンになるはずだった
Grimy faces were never seen
もう煤にまみれた顔なんて見ることはなくなるはずだった
But deadly for twelve thousand years
だが、一万二千年もの間、死をもたらすのが
Is carbon fourteen
炭素14だ
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける
We work the black seam together
俺たちは共に黒い鉱脈を掘り続ける

曲情報

 We Work the Black Seam(ウィ・ワーク・ザ・ブラック・シーム)は、イギリスのミュージシャン、スティングが1985年に発表したソロ・デビュー・アルバム『The Dream of the Blue Turtles』(ザ・ドリーム・オブ・ザ・ブルー・タートルズ)に収録されたプロテスト・ソングであり、アルバム内で最も長い楽曲である。この曲の歌詞は、アルバム発売の前年にストライキを行ったイギリスの炭鉱労働者の立場を表明し、マーガレット・サッチャー首相率いる保守党政府に向けられたメッセージとなっている。炭鉱労働者が自らの仕事に持つ深い誇りや、その経済・文化的意義を表現するとともに、ウィリアム・ブレイクの詩『And did those feet in ancient time』に言及しながら、サッチャーの経済政策、特にエネルギー政策の核エネルギーへの転換を批判している。

背景

 スティングは自身の故郷であるニューカッスル近郊のノーサンバーランドでの経験から、この曲を書くに至った。彼は、ストライキ中に炭鉱労働者の主張が十分に説明されず、また原子力発電の危険性についての議論が行われなかったことに疑問を抱いていた。

 スティングの父親は造船業に従事しており、かつてイギリス経済を支えたが20世紀後半には衰退した産業の一つであった。また、スティングはこの曲のメロディを、1970年代半ばに所属していたジャズ・バンドLast Exit(ラスト・イグジット)で共作・録音した楽曲から引用している。

 この曲はドイツ、オーストラリア、ニュージーランドでシングルとしてリリースされ、翌年にはライブ・バージョンが『Bring on the Night』およびそのサウンドトラック・アルバムのために撮影された。スティングは1993年のアルバム『Ten Summoner’s Tales』で新たなアレンジで再録音し、2010年の『Symphonicities』では交響楽団向けに編曲した。

批評と評価

 批評家はこの楽曲の音楽的構成を概ね高く評価した。特に、執拗に繰り返されるシンセサイザーのリフと一定したパーカッションのリズムが、機械的な側面とスティングのヴォーカルやブランフォード・マルサリスのソプラノ・サックスの旋律による人間的な側面との対比を生み出していると指摘された。

 一方で、歌詞に関しては賛否が分かれた。特に「炭素14(Carbon-14)は危険な放射性物質である」という歌詞について、科学者からは「炭素14は自然界に広く存在するもので、通常の量では無害であり、むしろ放射性年代測定に利用される」との指摘がなされた。

 三十年後のインタビューで、スティングは気候変動の影響を考慮し、原子力エネルギーを以前より肯定的に捉えるようになったと発言している。

経済・政治・社会的背景

 1979年のイギリス総選挙で保守党が勝利し、マーガレット・サッチャーが首相に就任した際、彼女はイギリスの原子力発電能力の拡充を掲げた。サッチャーは1973年のオイルショックを受けてフランスが実施したメスメル計画に影響を受け、イギリスでも15ギガワットの原子力発電能力を追加する計画を打ち出した。

 また、政治的要因も原子力政策の推進を後押しした。前回の保守党政権は、全国的な炭鉱ストライキの影響で敗北し、労働党が政権を握る要因となった。そのため、新たな保守党政府は、炭鉱労働組合(NUM)が経済に対して持つ影響力を弱める必要があると考えていた。

 1984年、政府は南ヨークシャーの炭鉱での労働停止を受けて全国規模のストライキが発生。NUMの指導者アーサー・スカーギルの呼びかけにもかかわらず、全国的な投票が行われなかったため、すべての地域が参加したわけではなかった。このストライキ中、石炭の使用は3分の1に減少し、原子力発電がその不足分を補った。約1年後、炭鉱労働者側の大きな成果もなくストライキは終結し、その後、多くの炭鉱が閉鎖された。

作曲と音楽的特徴

 「We Work the Black Seam」は、スティングが過去に書いたメロディをもとに、1984年の炭鉱ストライキ中に歌詞をつけた楽曲である。レコーディングはバルバドスのEddy GrantのBlue Waveスタジオ、およびカナダのLe Studioで行われた。

 楽曲は4/4拍子で、テンポは120BPM。イントロはAマイナーのコード進行(Am-C-Em7)で始まり、サビではFメジャーに転調し(F-C-D-a)、サクソフォンのカウンターメロディが挿入される。

 また、オープン・フォースやフィフスの和音構成はイギリスのフォーク音楽の要素を取り入れたものであり、パーカッションのパターンが楽曲全体を通して一定であることが、工場の機械的な労働を連想させる。サクソフォンの旋律やコーラスのブラスセクションは、炭鉱コミュニティの伝統的なブラスバンドを想起させる。

リリース

 この楽曲は『The Dream of the Blue Turtles』のアナログ盤・カセット盤ではB面の最初に収録され、アルバム全体の6曲目にあたる。1986年にドイツ、オーストラリア、ニュージーランドでシングルとしてリリースされ、B面にはアルバムのタイトル曲「The Dream of the Blue Turtles」が収録された。

影響

 「We Work the Black Seam」はスティングの音楽的・政治的スタンスを反映した楽曲として評価され、彼の環境問題に関する最初のプロテスト・ソングの一つと考えられている。

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