【曲解説】Talking Heads – Once in a Lifetime

動画

曲情報

「Once in a Lifetime」(ワンス・イン・ア・ライフタイム)はアメリカのニュー・ウェイヴ・バンド、Talking Heads(トーキング・ヘッズ)がブライアン・イーノと共同制作した楽曲。1981年1月、4作目のスタジオ・アルバム『Remain in Light』(1980年)からの先行シングルとしてサイアー・レコードより発売された。

イーノとバンドは、フェラ・クティなどアフロビートの影響を受けた長時間のジャム・セッションを基に楽曲を構築。デヴィッド・バーンのボーカルは説教を行う牧師に着想を得ており、歌詞は実存的危機や無意識をテーマにしている。ミュージック・ビデオはバーンとトニー・バジルが監督し、宗教的儀式の映像に合わせてバーンが奇妙な動きを見せる内容となっている。

2023年にはイギリスでプラチナ認定を受けた。1984年のコンサート映画『Stop Making Sense』からのライブ版は1986年にビルボード・ホット100にランクイン。NPRは20世紀のアメリカ音楽100選に、ロックの殿堂は「ロックを形作った500曲」に選出。『ローリング・ストーン』誌は2021年版「史上最高の500曲」で28位に、ミュージック・ビデオを81位に位置付けた。

制作

アルバム『Remain in Light』の他曲と同様に、ジャムを録音し、その中から良い部分を抽出して繰り返し演奏する方法で制作。ロバート・パーマーがギターとパーカッションで参加。初期にはコード進行がなく「トランス」的な構成に苦戦したが、イーノがメロディを口ずさみ、ジェリー・ハリスンがシンセ・アルペジオとヴェルヴェット・アンダーグラウンド風のオルガンを加えて完成した。

ティナ・ウェイマスは、クリス・フランツの掛け声をもとにベースラインを作成。イーノは1拍目の音を省くよう提案し再録音させた。

歌詞

説教のようなコール&レスポンス形式で、美しい家、美しい妻、大きな車を持つ生活を描きつつ、その現実性や経緯を疑問視する。バーンは「無意識のまま人生を進めてしまうこと」をテーマと語った。

ミュージック・ビデオ

バーンがスーツと蝶ネクタイ姿で白い部屋に立ち、宗教儀式の映像と合成された背景の中で痙攣的な動きを見せる。トニー・バジルがアーカイブ映像を元に振付を支援。低予算で制作されたが独特の存在感を放った。

リリースと評価

1981年にオランダで24位、イギリスで14位を記録し、後に複数の認定を受けた。1984年にはクラブ向け12インチ盤、1986年にはライブ版が発売。多くの批評家が本曲をポップ史における特異な傑作と評価している。

歌詞の意味

この曲は気づけば自分がどこにいて何をしているのか分からなくなるような人生の断絶的な瞬間をテーマにしている。突然手にした家や家族、日常の安定が自分の歩んだはずの道と結びつかず、主体は「どうしてこうなったのか」と自問を繰り返す。時間は淡々と流れ、地下を走る水のイメージによって、目に見えない力が人生を押し流していく感覚が示されている。

反復される言葉は変化しているようで同じ場所に留まっているという矛盾を際立たせ、主体が状況を制御できないまま日々が過ぎていく構図を形作る。終盤では、自分の選択への戸惑いや後悔が浮上し、時間や環境に押し流される生の不可解さが強調されている。全体として、日常の途切れ目に訪れる自己のあいまいさと、不条理な時間の流れが静かに示されている。

shotgun shack とは?

shotgun shack」とは、ショットガンをドアに向けて発砲した際に、その住居内のすべての人が銃撃を浴びるほど小さいと定義される平屋のこと。通常は「shotgun house」の形で使われるが、この歌詞ではより粗末なニュアンスを出すために「shack」(小屋、あばら家)に置き換えられている。

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