【曲解説】The Beach Boys – I Get Around

動画

曲情報

「I Get Around」(アイ・ゲット・アラウンド)は、アメリカのロックバンド、ビーチ・ボーイズの楽曲で、1964年のアルバム『All Summer Long』の冒頭を飾る曲である。ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴによって書かれた自伝的な歌詞は、バンドが名声と成功を得たことへの反応や、現状への退屈、そして「イケてる若者がいる場所」へ行きたいという欲求を描いている。1964年5月に「Don’t Worry Baby」をB面にしたシングルとしてリリースされた。

イギリスからのブリティッシュ・インヴェイジョンが進行中だった当時、アメリカにおいてこの曲は最大級のヒットとなり、ビーチ・ボーイズにとって初の全米1位シングルとなった。これにより、ブライアン・ウィルソンとビートルズとの非公式なライバル関係が始まったとも言われている。また、カナダでも1位を獲得し、イギリス、ニュージーランド、スウェーデンでもトップ10入りを果たした。2017年にはグラミーの殿堂入りを果たしている。

背景

「I Get Around」はブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作である。当初はウィルソン単独の作曲とされていたが、1990年代にラヴがウィルソンを訴えたことで、ビーチ・ボーイズの35曲について共作者としての権利が認められ、その中には本作も含まれている。裁判の中でウィルソンは、「僕が書いた。ただし“ラウンド・ラウンド”のイントロはマイクが書いた可能性がある」と証言している。

歌詞

伝記作家ジョン・ステッビンズによれば、この曲はブライアンの弟デニスの体験を元にしているという。ウィルソンのオリジナルの第1ヴァースには、「Well there’s a million little girls just waitin’ around / But there’s only so much to do in a little town / I get around from town to town(何百万もの女の子が待ってるけど/この小さな町でできることは限られてる/僕は町から町へと移動する)」という歌詞があった。しかし、ラヴはこれを「女々しい歌詞だ」として書き換えた。

ラヴは後にこう述べている。「ブライアンの歌詞をいじって、退屈な町で車を走らせている少年の話から、僕たち自身の体験にした。突然の名声と多少の富、全米を飛び回る生活。でも、それで幸せになれたのか?もしかすると、もっと違う場所を探す必要があったのかもしれない」

第1ヴァースでは、「いつもの道を車で流すのには飽きた」「もっとイケてる若者がいる場所へ行きたい」と語る語り手が、自分たちの有名さに言及し、「ワルたちも僕たちを知ってるけど、手出しはしない」と誇らしげに語る。「I get around(俺はよく動き回ってる)」というサビのフレーズは、「世の中のことをよくわかってる」といった意味を含んでいる。

第2ヴァースでは「僕の車が一番速い」と豪語し、「いつも女の子をものにしてる」と自信満々に語る。伝記作家マーク・ディロンは、この歌詞を「現代のラッパーの自慢話のようだ」と評している。

プロデューサーのダニエル・ラノワはこの曲について次のように語った。「これはいわゆる“スナップショット・ソング”だ。ある瞬間や感情を切り取ったポラロイドのようなもの。ブライアンは、台頭する文化の具体的なディテールを書くことで聴き手を引き込む。一つの哲学的な瞬間、一つの感情から始めるのが最も力強いやり方なんだ。もっとスケールの大きい歌も書けるだろうけど、小さな視点から描くことで大きなテーマに触れている。面白いことに、彼自身が実際にすべての体験をしていたわけじゃない。けれど、彼はそれらを目撃していたんだ」

歌詞の意味

I’m making real good breadの意味は?

このフレーズの「bread」は、パンそのものではなく、スラングで「お金」を意味している。英語のスラングでは、食べ物に関連する言葉が「お金」を指すことがよくある。「dough(生地)」や「cheddar(チェダー)」も同様である。

つまり、「I’m making real good bread」は「僕は本当に稼いでるんだ」という意味になる。

その他の映像

エド・サリヴァン・ショーでのパフォーマンス

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