【歌詞和訳】The Beatles – Anna (Go to Him)

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歌詞&翻訳

Anna
アンナ
You come and ask me, girl
今、君は僕のもとにやって来て
To set you free, girl
もう自由にしてって、そう言ってるんだね
You say he loves you more than me
僕よりも彼のほうが愛してくれるって
So I will set you free
なら君を自由にするよ
Go with him (Anna)
彼のところへ行けばいい(アンナ)
Go with him (Anna)
彼のところへ行けばいい(アンナ)

Anna
アンナ
Girl, before you go now
ねえ、行ってしまう前に
I want you to know now
これだけは言っておきたいんだ
That I still love you so
今でも君をすごく愛してるって
But if he loves you more
でも彼のほうが君のことをもっと愛してるなら
Go with him
彼のところへ行けばいい

All of my life
I’ve been searching for a girl
人生をかけてずっと探してたんだ
To love me like I love you
僕が君を愛してるくらい、僕を愛してくれる子を
Oh, now, but every girl I’ve ever had
ああ、でも、今まで好きになったどの子も
Breaks my heart and leaves me sad
僕の心を傷つけて、悲しみだけを残していったんだ
What am I, what am I supposed to do?
僕はどうすれば、どうすればいいんだ?
Oh-oh-oh-oh-oh-oh
あああああああ

Anna
アンナ
Just one more thing, girl
もうひとつだけ、お願いがあるんだ
You give back your ring to me
指輪を返してくれたら
And I will set you free
君を自由にするよ
Go with him
彼のところへ行けばいい

All of my life
I’ve been searching for a girl
人生をかけてずっと探してたんだ
To love me like I love you
僕が君を愛してるくらい、僕を愛してくれる子を
But let me tell you now
でも、これだけは言わせてくれ
But every girl I’ve ever had
今まで好きになったどの子も
Breaks my heart and leaves me sad
僕の心を傷つけて、悲しみだけを残していったんだ
What am I, what am I supposed to do?
僕はどうすれば、どうすればいいんだ?
Oh-oh-oh-oh-oh-oh
あああああああ

Anna
アンナ
Just one more thing, girl
もうひとつだけ、お願いがあるんだ
You give back your ring to me
指輪を返してくれたら
And I will set you free
君を自由にするよ
Go with him (Anna)
彼のところへ行けばいい(アンナ)

Go with him (Anna)
彼のところへ行けばいい(アンナ)
You can go with him, girl (Anna)
行っていいんだよ、ねえ(アンナ)
Go with him
彼のところへ行けばいい

曲情報

 「Anna (Go to Him)」(アンナ・ゴー・トゥ・ヒム)は、アメリカのシンガーソングライター、Arthur Alexander(アーサー・アレクサンダー)が作詞作曲し、最初に録音した楽曲。彼のバージョンはDot Recordsから1962年9月17日にシングルとして発売された。イギリスのロックバンド、The Beatles(ザ・ビートルズ)がカバーし、1963年のデビュー・アルバム『Please Please Me』に収録された。また、スペイン語によるカバーがGrupo Pegasso(グルーポ・ペガッソ)によって1996年のアルバム『Amor Vendido, Vol. 4』に収録され、2019年には英語版も発表された。

背景と歌詞

 アレクサンダーは、この曲の歌詞を、後に妻となる当時の恋人Ann(アン)との関係初期をもとに書いたという。彼女の裕福な家の元恋人が彼女を取り戻そうとした経験がモチーフとなっている。伝記作家Richard Younger(リチャード・ヤンガー)によれば、「結婚生活で不貞を働いたのはアレクサンダーの方だったにもかかわらず、この曲では自らを捨てられた恋人として描いている」という。ヤンガーによると、アレクサンダーは、妻がその元恋人を選ばなかったことを後悔しているように感じたと述べている。なお、彼とアンの結婚は後に離婚に終わっている。

 曲のタイトルとは異なり、歌詞の中では一貫して「go with him(彼と行け)」というフレーズが繰り返され、「go to him(彼のもとへ行け)」とは歌われていない。また、「Ann」ではなく「Anna」とした理由について、アレクサンダーは「Annよりも音の収まりが良かったから」と述べている。

ビートルズのバージョン

 「Anna (Go to Him)」は、John Lennon(ジョン・レノン)のお気に入りの楽曲のひとつであり、ビートルズの初期のレパートリーに取り入れられた。1963年のデビュー・アルバム『Please Please Me』に収録されている。

 アメリカでは、Vee Jay Recordsが1964年1月10日に『Introducing… The Beatles』で、Capitol Recordsが1965年3月22日に『The Early Beatles』でそれぞれこの曲を収録した。また、Vee JayはEP『Souvenir of Their Visit: The Beatles』にも収録している。

録音

 この曲は1963年2月11日に3テイク録音され、テイク3がマスターとなった。2月25日にリミックスが行われた。ジョージ・ハリスンがギターで印象的なフレーズを演奏しており、原曲ではFloyd Cramer(フロイド・クレイマー)がピアノで同様のフレーズを奏でていた。

 ビートルズはこの曲を1963年6月17日にBBCラジオ番組『Pop Go the Beatles』向けに再録音し、同年6月25日に放送された。

評価

 音楽評論家Richie Unterberger(リッチー・アンダーバーガー)はこのビートルズ版を高く評価しており、「Ringo Starr(リンゴ・スター)は原曲にある独特のドラムとハイハットのリズムを忠実に再現しており、レノンのボーカルは特にブリッジの高音域で痛切な苦悩を表現している。バックのハーモニーも原曲以上に効果的だ」と述べている。

 一方でIan MacDonald(イアン・マクドナルド)は、レノンのボーカルについて「若者が大人の歌に必死に取り組んでいるように聞こえる」と評した。なお、Mark Lewisohn(マーク・ルイソン)など多くの資料が指摘するように、レノンはこの録音当日風邪をひいており、声に影響が出ていたという。

歌詞の意味

指輪を返す?

You give back your ring to me
指輪を返してくれたら

 この部分の歌詞は今の日本人の価値観から見ると金銭的な理由に見えてしまうが、1960年代当時のアメリカ南部の恋愛ソングにおいて、婚約指輪やペアリングは関係の証明だったため、「返す」=関係の終わりをはっきりさせる儀式的な行為であった。

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