動画

Abbey Road
The Beatles
曲情報
“Golden Slumbers”(ゴールデン・スランバーズ)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録されている。ポール・マッカートニーが作詞・作曲し、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。アルバムB面のメドレーの6曲目に位置し、続く「Carry That Weight」と共に録音されており、アルバムのクライマックスへと向かう楽曲の流れを形成している。両曲とも、プロデューサーのジョージ・マーティンによる弦楽と金管のアレンジが施されている。
背景
“Golden Slumbers” は、劇作家トーマス・デッカーの戯曲『Patient Grissel』に登場する子守唄 “Cradle Song” に基づいている。マッカートニーは、リバプールの父親の家で、義理の妹ルースがピアノの上に置いていた楽譜を見つけた。彼は楽譜を読むことができなかったため、自分自身でメロディーを作り上げたという。
マッカートニーは、オリジナルの詩の最初の一節を若干の変更を加えた形で使用し、そこに新たな歌詞を追加した。なお、1885年に出版された『St Nicholas Songs』には、W・J・ヘンダーソンが “Cradle Song” に作曲した楽曲 “Golden Slumbers Kiss Your Eyes” が収録されている。『Abbey Road』にはデッカーの詩や楽曲のクレジットは記載されていないが、この詩は1918年にはピーター・ウォーロックによって、またチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードやアルフレード・カゼッラによっても作曲されている。
録音
マッカートニーがリードボーカルを担当し、冒頭は子守唄らしい静かなトーンで始まり、ピアノ、ベースギター、弦楽が伴奏を務める。しかし、「Golden slumbers fill your eyes」のフレーズからはドラムが加わり、マッカートニーのボーカルも力強いものへと変化する。この変化についてマッカートニーは「テーマがとても優しいものだったからこそ、ボーカルを強くしようと意識した。その結果、かなり満足のいく仕上がりになった」と語っている。
“Golden Slumbers” と “Carry That Weight” のメインセッションは1969年7月2日に行われた。この時、レノンは7月1日にスコットランドで交通事故に遭い、6日まで入院していたため、このセッションには参加していない。
7月31日にはドラム、ティンパニ、追加のボーカルがオーバーダブされ、この日にはアルバムB面のメドレー全体の初めての試作編集も行われた。レノンはこのセッションには参加していた。
8月15日には、”Golden Slumbers” を含む『Abbey Road』の6曲に対して、30人のオーケストラによる弦楽と金管のオーバーダブが施された。
なお、スコットランドのバンド White Trash は、”Golden Slumbers/Carry That Weight” を『Abbey Road』のリリース前にアップル・レコードからシングルとして発売している。
メンバーと担当楽器
Ian MacDonaldによると、以下の通りである。
- ポール・マッカートニー – リードボーカル、ピアノ
- ジョージ・ハリスン – 6弦ベースギター
- リンゴ・スター – ドラムス、ティンパニ
追加ミュージシャン
- 無名のセッションミュージシャン – ヴァイオリン12本、ヴィオラ4本、チェロ4本、コントラバス、ホルン4本、トランペット3本、トロンボーン、バストロンボーン
- ジョージ・マーティン – オーケストラ・アレンジ
歌詞の意味
この曲は帰りたい場所や失われた安らぎを思いながら、大切な人をそっと包み込むように慰める子守歌として描かれている。もう戻れない道を静かに見つめつつ、眠りにつく相手には涙を流さず穏やかでいてほしいという優しい願いが込められていて、過去への郷愁と深い愛情が柔らかい調べに溶け合う。黄金の眠りがまぶたを閉じ、朝になればまた微笑みが訪れるという希望が静かに寄り添い、不安を抱える心をそっと導くような温かいまなざしが流れる曲になっている。

