【曲解説】The Beatles – Hello Goodbye

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曲情報

「Hello, Goodbye」(ハロー・グッバイ)は、イギリスのロックバンド、ビートルズが1967年11月に発表したシングル曲で、ポール・マッカートニーによって書かれ、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。B面にはジョン・レノン作の「I Am the Walrus」が収録された。本作はマネージャーのブライアン・エプスタインが亡くなってから初めてのリリースであり、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、カナダ、オーストラリアなど、世界各国でチャート1位を記録するなど大きな成功を収めた。

マッカートニーによれば、この曲の歌詞は「二項対立」をテーマにしており、黒と白、イエスとノー、止まると進む、こんにちはとさようならといった対になる語が登場する。作曲のきっかけは、当時ビートルズのマネージャーであったエプスタインの助手アリスター・テイラーがマッカートニーに「どうやって曲を書くのか」と尋ねたことで、マッカートニーはハーモニウムを弾きながら彼に反対語を答えさせ、それを歌詞にしていったという。

曲の終盤には即興的に演奏されたコーダ(アウトロ)が含まれており、「Helaheba-hello-a」という掛け声と共にフェードアウトしていく。レノンはこの曲にあまり乗り気ではなく、「I Am the Walrus」をA面にすることを主張したが、最終的には商業的な理由から「Hello, Goodbye」が採用された。

この曲のプロモーション映像は3本制作され、アメリカでは『エド・サリヴァン・ショー』で放送されたが、イギリスではリップシンク(口パク)を禁止するテレビ放送規則のため放映されなかった。

「Hello, Goodbye」は当初から批評家の評価が分かれる曲でもあり、「典型的なポップソング」として賞賛される一方で、「革新性に欠ける」とも評された。アメリカ版『マジカル・ミステリー・ツアー』アルバムには収録されており、その後もベスト盤『1967–1970』や『1』などに収録されている。また、2002年の「Driving World Tour」以降、マッカートニーのソロライブでもたびたび演奏されている。

このように、「Hello, Goodbye」はマッカートニーの陽気で親しみやすい作風を象徴する楽曲であり、ビートルズ後期の作品群における重要なポップアンセムとして評価されている。

歌詞の意味

この曲は噛み合わないやり取りをポップに転がしながら、相反する言葉のぶつかり合いを軽やかなユーモアとして描いている。相手が別れを告げても、主人公はそのたびに明るく挨拶を返してしまうような、すれ違いだらけの関係が中心にあって、深刻さよりも可笑しみが勝つ軽やかな温度が漂う。相手の言葉にぴったり寄り添えないもどかしさと、それでも前向きに関わろうとする無邪気さが交差し、まるで会話のリズム自体を楽しんでいるかのような高揚感が続く。別れと出会いの言葉がポップに跳ねる中で、すれ違ってもどこか愛らしい、軽快なコミュニケーションの勢いがそのまま音になった曲になっている。

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