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曲情報
「Magical Mystery Tour」(マジカル・ミステリー・ツアー)は、イギリスのロックバンド、ビートルズが1967年12月に発表した同名テレビ映画のタイトル曲である。イギリスなど多くの国では2枚組EPとして、アメリカではキャピトル・レコードによってアルバムとして発売されたサウンドトラックに収録された。この楽曲は主にポール・マッカートニーによって書かれ、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。
「Magical Mystery Tour」は、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の制作を終えた直後、映画制作が決定する前の1967年4月から5月にかけて録音された。この曲は、『サージェント・ペパーズ〜』のオープニング曲のように聴衆を作品世界に導く導入曲としての役割を持ち、司会者の呼びかけやトランペットのファンファーレ、交通音などが取り入れられている。
歌詞は映画の内容を簡潔に説明しており、ビートルズが若い頃にイギリスで人気だったチャラバン(観光バス)によるミステリーツアーをモチーフとしている。マッカートニーは、「現実のものよりも少しシュールにすることで魔法のような要素を加えた」と語っており、当時のサイケデリックな文化の影響を受けたフェアグラウンド的な雰囲気が色濃く出ている。
また、当時ビートルズがLSDなどの薬物を使用していた時期であることから、歌詞にはドラッグの暗示が含まれているとも解釈されている。マッカートニー自身も「Magical Mystery Tour」というフレーズは薬物によるトリップの比喩であり、「死にたがって君を連れて行こうとしている」という表現には『チベット死者の書』の影響もあると語っている。
このように、「Magical Mystery Tour」はビートルズのサイケデリック期を象徴する作品のひとつであり、バンドが映像作品と音楽を融合させて新たな表現を模索していた時期の創作意欲を示している。
歌詞の意味
この曲はどこへ向かうのかもわからない不思議な旅へ、聴く者を勢いよく巻き込んでいく高揚感に満ちている。呼びかけのように繰り返される“乗り込め”という声は、日常から抜け出して未知の体験に飛び込めという合図で、何が起きるのか分からないワクワクがそのまま音になっている内容。必要なものはすべて揃っていて、満足も保証されているという半ば冗談めいた宣伝が、怪しい旅の魅力をさらに増幅させ、現実と幻想の境目が曖昧な世界へ引き込む。
物語らしさより“体験そのもの”を重視し、派手でサイケデリックな空気が全体を包み込んで、いつの間にか奇妙で楽しい冒険の乗客になってしまう。破天荒でカラフルな旅へ誘うような、遊び心と謎めいた魅力に満ちた曲になっている。


