【曲解説】The Beatles – Sun King

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曲情報

“Sun King”(サン・キング)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録されている。ジョン・レノンが作詞・作曲し、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。アルバムのB面メドレーの2曲目に位置し、「Because」と同様に、レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンによる豊かな多重録音のボーカルハーモニーが特徴である。

背景

この曲の作業用タイトルは “Here Comes the Sun King” であったが、ジョージ・ハリスンの “Here Comes the Sun” との混同を避けるために短縮された。曲は前曲 “You Never Give Me Your Money” の終盤に挿入された港の環境音から徐々にフェードインし、曲の終わりでは演奏が突然止まり、リンゴ・スターのドラムフィルを挟んで “Mean Mr. Mustard” へと繋がる。

楽曲の終盤では、ロマンス語系言語を意図的に混ぜた歌詞が登場する。1969年のインタビューでレノンは「適当に言葉を並べたんだ。『cuando para mucho』みたいにね。ポールが学校で覚えたスペイン語を少し知っていたから、それを混ぜたりしてね。それから『chicka ferdy』を入れた。これはリバプールの言い回しだけど、特に意味はないよ」と語っている。1987年のハリスンのインタビューでは、フリートウッド・マックの “Albatross” に影響を受けたと述べている。「当時、”Albatross” がリリースされていて、ギターにリバーブがかかっていた。それで『俺たちもフリートウッド・マックみたいにやってみよう』ということで録音を始めたんだ。結局、フリートウッド・マックにはならなかったけどね」と振り返っている。

メンバーと担当楽器

Kevin Howlettによると、以下の通りである。

  • ジョン・レノン – リード、ハーモニー、バッキングボーカル、レスリーエフェクトをかけたエレクトリックギター
  • ポール・マッカートニー – ハーモニー、バッキングボーカル、ベースギター、テープループ
  • ジョージ・ハリスン – ハーモニー、バッキングボーカル、トレモロエフェクトをかけたエレクトリックギター
  • リンゴ・スター – ドラムス、ボンゴ、タンバリン、マラカス
  • ジョージ・マーティン – ローリーオルガン

歌詞の意味

この曲は穏やかな陽だまりのような幸福感を、ゆるやかで夢見心地な雰囲気の中で描いている。ゆっくりと姿を現す“王”のイメージは比喩的で、実際には心がほどけていくような温かさや平和な空気そのものを象徴していて、周囲の人々が笑い合い、のどかな安らぎに包まれていく情景が漂う内容。最後に登場する多国籍な響きを持つ言葉遊びは、意味よりも音の心地よさを楽しむためのもので、柔らかくとろけるようなサウンドの世界に浸る感覚をさらに強めている。陽光に満ちた静かな時間が続くような、幸福の断片をそっと差し出す曲になっている。

最後の部分の意味

曲情報の背景でも述べたが、この歌詞の最後の部分は、実際には意味をなさないスペイン語やイタリア語風の言葉の寄せ集めになっている。

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