【歌詞和訳】The Beatles – You Never Give Me Your Money

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歌詞&翻訳

You never give me your money
君は決して僕に本物の金を渡さない
You only give me your funny paper
信用できない紙きれを渡すだけ
And in the middle of negotiations
交渉の途中で
You break down
君は取り乱す

I never give you my number
僕は決して君に電話番号を教えない
I only give you my situation
ただ状況を伝えるだけ
And in the middle of investigation
調査の途中で
I break down
僕は気持ちが折れる

Out of college, money spent
大学を出て、金は使い果たし
See no future, pay no rent
未来も見えず、家賃も払えない
All the money’s gone, nowhere to go
金はすべて消え、行くあてもない
Any jobber got the sack
誰もがクビを切られ
Monday morning, turning back
月曜の朝、また振り出しに戻る
Yellow lorry slow, nowhere to go
黄色いトラックがのろのろと進む、行くあてもなく
But oh, that magic feeling, nowhere to go
でも、ああ、あの魔法のような感覚、行くあてもなく
Oh, that magic feeling, nowhere to go
ああ、あの魔法のような感覚、行くあてもなく
Nowhere to go
行くあてもない

Ahhh [x4]

One sweet dream
ひとつの甘い夢
Pick up the bags, get in the limousine
荷物をまとめて、リムジンに乗り込め
Soon we’ll be away from here
すぐにここから離れられる
Step on the gas and wipe that tear away
アクセルを踏んで、涙を振り払え
One sweet dream came true today
ひとつの甘い夢が今日叶った
Came true today
今日叶った
Came true today
今日叶った
Yes, it did
そうさ、本当に

One, two, three, four, five, six, seven
All good children go to Heaven [x9]
1、2、3、4、5、6、7
良い子はみんな天国へ行く [x9]

曲情報

 “You Never Give Me Your Money”(ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー)は、イギリスのロックバンド、ビートルズの楽曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録されている。ポール・マッカートニーが作詞・作曲し、レノン=マッカートニー名義でクレジットされている。バンドが直面していた個人的な問題をテーマにした楽曲であり、アルバムのB面メドレーの最初の曲として配置されている。1969年5月から8月にかけて段階的に録音された。

 この曲は、マッカートニーとプロデューサーのジョージ・マーティンがビートルズのキャリアの締めくくりとして構想したメドレーの最初に録音された楽曲である。基本的なトラックはロンドンのオリンピック・サウンド・スタジオで録音され、その後のオーバーダブ作業はEMIスタジオで行われた。楽曲は、ピアノ・バラードから始まり、最後のギター・アルペジオまで、さまざまな音楽的要素が組み合わされた組曲のような構成を持つ。

背景

 この楽曲は、1969年3月にマッカートニーが妻リンダとニューヨークで過ごしていた際に作曲された。この時期は『Get Back/Let It Be』のセッションが終わった直後であり、バンドのマネジメントを巡る問題が深刻化していた。レノンとマッカートニーは、彼らの楽曲の著作権を管理する会社「Northern Songs」の支配権を失う危機に直面していた。

 マッカートニーは、1967年にマネージャーのブライアン・エプスタインが亡くなった後、バンドの方向性を主導していたが、次第にグループの結束が崩れつつあることを実感していた。特に、他のメンバーが財政問題の解決をアレン・クラインに委ねたことに不満を抱いており、この曲はクラインに対する不信感を表したものだとされている。マッカートニーは後に「この曲は、基本的に相手を信用できないという歌だ」と述べている。

 歌詞の「One sweet dream, pack up the bags, get in the limousine(甘い夢、荷物をまとめてリムジンに乗る)」という部分は、リンダとの田舎へのドライブを反映しているが、ビートルズのツアー時代(1966年に終了)へのノスタルジーも込められているとする見解もある。

録音

 この楽曲の基本トラックは、1969年5月6日にロンドンのオリンピック・サウンド・スタジオで録音された。このセッションは午後3時に始まり、翌朝4時まで続いた。マッカートニーがリードボーカルとピアノを担当し、レノンがエピフォン・カジノ・ギター、ハリスンがフェンダー・テレキャスター(レスリー・スピーカーを通して使用)、スターがドラムを演奏した。バンドは36テイクを録音し、テイク30が最良と判断されてステレオミックスが作成された。

 当初、この曲は自由なジャム・セッションとして展開し、後半はロックンロール調のインストゥルメンタルへと発展していたが、最終的には異なる構成が採用された。

 その後の録音作業はEMIスタジオで行われ、7月1日にマッカートニーがリードボーカルをオーバーダブした。7月15日にはさらにボーカルと効果音が追加され、7月30日にはメドレー用のラフミックスが作成された。「You Never Give Me Your Money」と次曲「Sun King」のクロスフェード処理には試行錯誤が必要であり、最終的にはオルガンの音を使用して楽曲同士をスムーズに接続した。

 7月31日、マッカートニーはベースと追加のピアノオーバーダブを録音し、元々のピアノ演奏の一部をホンキートンク風のピアノで置き換えた。

 最終的な録音作業は8月5日に行われ、マッカートニーはベルや鳥の鳴き声、泡の音、コオロギの音などのテープループを作成した。ジョージ・マーティンは8月13日にステレオミックスを行い、11回の試行を経てクロスフェード部分を完成させた。その後、8月21日に再度ミキシングが行われ、最終的なマスターが完成した。

楽曲の構造

 楽曲は、ピアノ・バラードの静かな序盤から始まり、ブギウギ調のピアノ、アルペジオ・ギター、ナーサリー・ライム風の要素を組み合わせた構成となっている。音楽評論家のイアン・マクドナルドは、この曲のギターアルペジオが「I Want You (She’s So Heavy)」や「Here Comes the Sun」の中間部分の影響を受けている可能性を指摘している。また、アルバム『The Beatles』(通称ホワイト・アルバム)の「Happiness Is a Warm Gun」のように、無関係な楽曲断片を組み合わせる手法が用いられているとも分析している。

影響と遺産

 「You Never Give Me Your Money」のメロディーやモチーフは、アルバム内の「Golden Slumbers」「Carry That Weight」にも再利用され、メドレー全体の統一感を生み出している。また、1970年の映画『Let It Be』では、ビートルズがリハーサル中にこの楽曲を演奏する様子が収録されている。

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