動画
ミュージックビデオ
オーディオ
曲情報
「Blinding Lights」(ブラインディング・ライツ)は、カナダのシンガーソングライターThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)が2020年にリリースした4枚目のスタジオアルバム『After Hours』に収録された楽曲である。本楽曲はXOおよびRepublic Recordsを通じて2019年11月29日にアルバムのセカンドシングルとしてリリースされた。シンセポップ、エレクトロポップ、ニューウェーブ、シンセウェーブの要素を含む本楽曲は、パートナーの重要性や夜に彼女に会いたいという願望を歌っている。作詞作曲はThe Weeknd、Max Martin、Oscar Holter、Belly、DaHealaによるもので、プロデュースはThe Weeknd、Max Martin、Oscar Holterが担当した。
「Blinding Lights」はリリース直後から音楽評論家たちによる絶賛を受け、その80年代風のサウンドや美学が特に注目された。商業的にも大成功を収め、40か国以上の音楽チャートで1位を獲得し、The Weekndにとって最も成功したシングルとなった。アメリカではBillboard Hot 100で通算4週間にわたって1位を獲得し、彼にとって5曲目の全米1位シングルとなった。本楽曲は、Billboard Hot 100でトップ5およびトップ10に最も長くランクインした曲となり、1年間連続でトップ10にとどまった初の楽曲でもある。合計90週間チャート入りし、2021年11月23日にはBillboard Hot 100史上最も成功した楽曲と認定された。また、RIAA(アメリカレコード協会)によりダイヤモンド認定を受け、BPI(英国レコード産業協会)から7×プラチナ認定を受けている。国際レコード産業連盟(IFPI)によれば、2020年の世界で最も売れた楽曲であり、2020年以降、ストリーミング換算で最も売れた楽曲でもある。Spotifyでは史上最もストリーミングされた楽曲であり、40億回再生を超えた最初の楽曲となった。
Anton Tammiが監督した本楽曲のミュージックビデオは、夜間に4日間にわたって撮影された。映画『ラスベガスをやっつけろ』『ジョーカー』『カジノ』からインスピレーションを得た映像では、ウィークエンドが暴力を受けた後、街を疾走する姿が描かれている。「Blinding Lights」は『The Late Show with Stephen Colbert』『Jimmy Kimmel Live!』『Saturday Night Live』などのテレビ番組で披露されたほか、スーパーボウルLVのハーフタイムショーのセットリストにも含まれ、After Hours til Dawn Tourでも披露された。本楽曲は2021年のiHeartRadio Music AwardsおよびJuno Awardsで「Song of the Year」を受賞するなど、多くの賞を獲得した。
背景と制作
2018年11月、The Weekndはライブパフォーマンス中に4枚目のスタジオアルバム「Chapter VI」の制作を進めていることを発表した。
5か月間のSNS沈黙を経て、2019年11月20日にInstagramに復帰し、6日後の11月26日に新たな投稿を行った。同年11月24日、ドイツのテレビでMercedes-BenzのCMが放映され、その中で「Blinding Lights」の一部が初公開された。CMではThe WeekndがMercedes-Benz EQC SUVを運転し、「新曲を再生して」とシステムに指示する内容になっていた。11月29日にはCMのフルバージョンと共に本楽曲が正式にリリースされた。その後、彼はSNSで「今夜から新しい精神崩壊的な章を始める!」と発表し、本格的な音楽活動の再開を告知した。
歌詞と楽曲構成
楽曲全体を通じて、The Weekndは恋人との関係の再燃や相手の存在の重要性について歌っている。歌詞の中で彼はラスベガスを「Sin City」(罪の街)と呼んでおり、この地が楽曲のテーマに影響を与えていることがうかがえる。The Weeknd自身は楽曲について、「夜に誰かに会いたくて、酔った状態でその人のもとへ車を走らせる。街灯の明かりに目がくらむような感覚がある。でも、どんなことがあってもその人に会いに行こうとする」と説明している。
楽曲はスケールを上下するヴァース(Aメロ)から始まり、緊張感のあるコーラスへと展開する。The Weekndと長年のコラボレーターであるプロデューサーのMax Martinは、「ポップ音楽の計算されたメロディの極致」とも評される楽曲を生み出した。本楽曲のドリアンモード構成は、夢幻的で幸福感に満ちた雰囲気を持ちながらも、最終的にはマイナーコードで締めくくられる。
Billboardのライター、Frank DiGiacomoは本楽曲について、「オープニングのドラムビートは、まるでマイケル・ジャクソンの『Beat It』のようだ。シンセサウンドは、ロッド・スチュワートの『Young Turks』やA Flock of Seagullsのサウンドを思わせる。そして、B級ホラー映画のようなオルガンはRockwellの『Somebody’s Watching Me』を彷彿とさせる」と評している。
ジャンル的にはニューウェーブ、シンセポップ、シンセウェーブ、エレクトロポップに分類される。オーディオエンジニアのŞerban Gheneaは本楽曲について「80年代のレトロな雰囲気と現代的なサウンドの融合に成功している。年配のリスナーは懐かしさを感じ、若い世代はこれまでにない新鮮な音楽として楽しんでいる」と語っている。
歌詞の意味
この曲は孤独と依存的な渇望を抱える語り手が、相手の不在によって感覚さえ曖昧になるほどの動揺を経験する姿を描く内容とされる。冷たく空虚な都市の風景は内面の空洞を象徴し、相手の存在だけが不安定な自己を支える拠りどころとして提示される。夜の逃避行のような描写は焦燥と切迫感を強め、光に目を奪われる感覚は混乱と陶酔が同時に押し寄せる心理状態を示す。語り手は距離を埋めようとしながらも直接言葉にできない弱さを抱えつつ、相手を失わまいとする強い意思を明らかにし、依存と渇望の循環に巻き込まれた関係性が中心的主題として描かれている。
Sin city(罪の街)とは?
Sin city(シン・シティ)とはラスベガスの俗称。
タイトル「Blinding Lights」(ブラインディング・ライツ)の意味は?
夜に酔った状態で車を走らせているときに、街頭の灯りに目がくらむような感覚があるということ。特にこの曲の舞台になっているラスベガスは派手なネオンやギラギラした街の光に溢れた場所である。


