動画
歌詞&翻訳
Is it getting better
少しは楽になったのか?
Or do you feel the same?
それともまだ同じ気分か?
Will it make it easier on you
Now you got someone to blame?
今、君には責める相手がいるけど、それで気が楽になるのか?
You say one love, one life
君は言う「ひとつの愛、ひとつの人生
When it’s one need in the night
夜に必要なのはただひとつ」
One love, we get to share it
ひとつの愛、僕らはそれを分かち合うんだ
Leaves you, baby, if you don’t care for it
でも大切にしなければ、愛は君の元を去ってしまう
Did I disappoint you
俺は君を失望させたのか?
Or leave a bad taste in your mouth?
それとも苦い思いをさせたのか?
You act like you never had love
君はまるで愛なんて知らなかったみたいに振る舞う
And you want me to go without
そして俺には愛なしで生きろと言う
Well, it’s too late tonight
To drag the past out into the light
今夜は過去のことを引っ張り出すには遅すぎる
We’re one, but we’re not the same
俺たちはひとつ、でも同じ人間じゃない
We get to carry each other, carry each other
お互いを支え合いながら生きるしかないんだ
One
ひとつ
Have you come here for forgiveness?
君は許しを求めてここに来たのか?
Have you come to raise the dead?
死んだものを蘇らせるためにここに来たのか?
Have you come here to play Jesus
To the lepers in your head?
救いを求める者に手を差し伸べるイエスのように振る舞うためにここに来たのか?
Did I ask too much? More than a lot
俺は求めすぎたのか?そんなにも?
You gave me nothing, now it’s all I got
でも君は何もくれなかった、それだけが今の俺のすべて
We’re one, but we’re not the same
俺たちはひとつ、でも同じ人間じゃない
Well, we hurt each other, then we do it again
傷つけ合い、そしてまた繰り返す
You say love is a temple, love a higher law
君は言う「愛は神殿、愛は最高の掟
Love is a temple, love the higher law
愛は神殿、愛は最高の掟」
You ask me to enter but then you make me crawl
君は神殿に招き入れながら、結局俺を這いつくばらせる
And I can’t be holding on to what you got
When all you got is hurt
君が持っているのがただの痛みだけなら、俺はもうそんなものにはすがれない
One love, one blood
ひとつの愛、ひとつの血
One life, you got to do what you should
ひとつの人生、やるべきことをやるんだ
One life with each other
共に生きるひとつの人生
Sisters, brothers
姉妹として、兄弟として
One life, but we’re not the same
ひとつの人生、でも同じ人間じゃない
We get to carry each other, carry each other
お互いを支え合いながら生きるしかないんだ
One
ひとつ
One
ひとつ
曲情報
U2の「One」(ワン)は、アイルランドのロックバンドU2の楽曲であり、1991年の7枚目のアルバム『Achtung Baby』に収録された3曲目のトラック。1992年2月24日にアルバムから3枚目のシングルとしてリリースされた。ベルリンのハンザ・スタジオでアルバムのレコーディングが行われた際、U2のメンバー間ではバンドのサウンドや楽曲の質をめぐって対立が生じ、解散の危機を迎えるほど緊張状態に陥っていた。しかし、ギタリストのエッジが提示したコード進行をもとに即興で仕上げたこの曲が大きな突破口となり、バンドは再び一体感を取り戻すに至った。ボノが書いた歌詞は、メンバー同士の関係性の亀裂やドイツ再統一などに触発されており、一見すると「不和」を描いているかのようだが、さまざまな解釈が存在している。
この曲はエイズ研究への寄付を目的としたチャリティ・シングルとしてリリースされ、アイルランドのシングルチャートやカナダのRPMチャート、アメリカのビルボード・アルバム・ロック・トラックスとモダン・ロック・トラックスで1位を獲得した。ニュージーランドでは3位、オーストラリアでは4位、イギリスのシングルチャートでは7位、ビルボードHot 100では10位を記録している。プロモーションのため複数のミュージックビデオが制作されたが、バンドが満足できるものに仕上がるまでには時間がかかった。
発表当初から批評家たちに高く評価され、さまざまな「史上最高の楽曲」ランキングに名を連ねるようになった。1992年に初めてライブ演奏されて以降、U2のほとんどのツアーで披露されており、多くのコンサート映像作品にも収録されている。また、ライブパフォーマンスでは人権や社会正義を訴えるメッセージを込めることが多く、ボノが立ち上げた慈善団体「ONEキャンペーン」の名称ともリンクしている。2005年にはR&Bシンガーのメアリー・J. ブライジとのデュエット版が彼女のアルバム『The Breakthrough』に収録され、2023年には『Songs of Surrender』の一環として再録音が行われた。
作詞・レコーディング
1990年10月、U2はドイツ再統一の直前にベルリンに入り、『Achtung Baby』のレコーディングを開始した。新たなヨーロッパの気運に触発されることを期待していたが、実際にはスタジオの雰囲気は暗く、バンド内の意見対立は深刻化していった。アダム・クレイトンとラリー・マレンJr.は従来のU2らしいサウンドを望んでいたのに対し、ボノとエッジはヨーロッパのインダストリアルやダンス・ミュージックから影響を受けた新しい方向性を求めていた。その結果、デモの段階で行き詰まり、メンバーは「本当にバンドを続けられるのか」という危機感を抱くまでになった。
しかし、「Sick Puppy」(後の「Mysterious Ways」の原型)をジャムしていた最中に、エッジが試したコード進行がきっかけで「One」のリフが生まれ、短時間で曲の全体像が完成した。ボノは「メロディも構成も15分ほどでまとまった」と振り返っている。歌詞は、バンド内のぎくしゃくした人間関係やドイツ再統一への思い、そしてヒッピー的な「すべてが一つになる」イメージへの懐疑心などが反映されている。ボノがダライ・ラマからの「ワンネス」フェスへの招待を断る際に書き添えたメッセージ「One―but not the same」が曲のテーマを象徴しているとされる。
この曲が生まれたことでセッションの雰囲気は好転し、バンドは再びアルバム制作に前向きになった。ブライアン・イーノやダニエル・ラノワといった共同プロデューサーらの助言を受け、過度に美しくなりすぎないようにギターの「泣き」のニュアンスを加えたり、アコースティックギターのパートを削除するなどの調整が行われた。
コンポジション
「One」は4分の4拍子、テンポはおよそ91BPMのロック・バラードであり、ヴァースではAm–D5–Fmaj7–G、サビではC–Am–Fmaj7–Cといったコード進行が用いられている。表面的には「不和」や「断絶」を描いた曲のように受け取られることも多いが、ボノは「世界は一つだが、同じではない。好き嫌いに関わらず一緒にやっていかなくてはならない」というメッセージを込めていると説明している。エッジは曲の一面を「ひどく傷ついた人同士の苦い対話」と表現しつつ、「でもサビの『we get to carry each other』に宿る“恵み”こそ重要だ」と語る。なお、歌詞の内容から「結婚式で使いたい」という声も多いが、ボノは「この曲は実際、別れをテーマにしている部分もある」と述べている。
リリース
「One」は『Achtung Baby』からの3枚目のシングルとして1992年2月24日に発売され、収益はエイズ研究のための慈善団体に寄付された。当時、U2のマネージャーだったポール・マクギネスは、「エイズこそが今最も深刻な問題だと考えている。多くの人々の注意をそこへ向けたい」と語っている。Zoo TVツアーでのコンサート会場では安全なセックスを啓発するため、『Achtung Baby』のロゴをあしらったコンドームが販売されるなど、積極的なキャンペーンが行われた。
このシングルはイギリスのシングルチャートで7位、ビルボードHot 100で10位に入り、アルバム・ロック・トラックスやモダン・ロック・トラックスでは1位を獲得した。ジャケットにはデイヴィッド・ヴォイナロヴィッチの作品が採用され、崖から転落するバッファローを写した写真が「自分の意思とは関係なく突き落とされる存在」を象徴しているとされる。
ミュージックビデオ
「One」のミュージックビデオは3種類制作された。1作目はアントン・コービンによるもので、ベルリンの街並みやハンザ・スタジオで演奏するU2の姿が映し出されるが、メンバーがドラァグ姿を披露するシーンもあり、エイズ慈善シングルとの関連から誤解を招く可能性があるとしてお蔵入りに近い扱いとなった。
2作目はマーク・ペリントンが監督を務め、花の開花やバッファローが走るスローモーション映像を用いてジャケット写真「Falling Buffalo」のイメージと結びつける演出がされているが、これもシングルとしての宣伝には使われなかった。最終的にフィル・ジョアノーが監督を担当した3作目のビデオが、マンハッタンのナイトクラブでボノがチェルートをくわえながらビールを飲む姿とコンサート映像を交互に映し出す構成で、一般的なプロモーションビデオとして広く知られるようになった。