【曲解説】Queen – Don’t Stop Me Now

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曲情報

「Don’t Stop Me Now」(ドント・ストップ・ミー・ナウ)は、イギリスのロックバンド、クイーンの楽曲であり、1978年のアルバム『Jazz』に収録され、1979年1月26日にシングルとしてリリースされた。フレディ・マーキュリーが作詞作曲を手がけ、1978年8月にフランスのSuper Bear Studios(ベル=レ=アルプ)で録音された。アルバムの12曲目に収録されている。

この曲は1981年のコンピレーション・アルバム『Greatest Hits』にも収録された。2011年6月、クイーンのデビュー40周年を記念したリマスター版『Jazz』のボーナスEPには、ギターが強調された別バージョンが収録された。映画、CM、テレビ番組などで頻繁に使用され、発売から数十年後も高い人気を誇る。Billboardのボビー・オリヴィエは、2004年のカルト的ゾンビ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』での使用が再評価のきっかけになったと述べている。2014年にはRolling Stone誌の読者投票でクイーンの楽曲の中で3位に選ばれた。

背景

この楽曲はアルバム『Jazz』の制作中にフレディ・マーキュリーによって作曲された。バンドメンバーは「どんどん楽しみ方を知っていくようになっていた」と語り、その気分が歌詞に反映されている。楽曲はマーキュリーのピアノを基盤とし、ジョン・ディーコンのベースとロジャー・テイラーのドラムがバックトラックを形成。サビではクイーンの特徴的な多重録音コーラスが用いられている。

2018年の映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックには、ギターアレンジが強調された「Don’t Stop Me Now… Revisited」というバージョンが収録された。

評価

シングルはイギリスで9位を記録したが、アメリカでは最高86位と振るわなかった。しかし、アルバムがトップ10入りしたこともあり、アメリカのアルバム志向ロック局では一定のエアプレイを獲得。その後、広告、映画、テレビ番組、カバーなどを通じて人気が再燃し、クイーンの代表曲の一つとなった。2014年のRolling Stone読者投票では、クイーンの楽曲の中で3位にランクインした。

2019年3月、Billboardは「The Evolution of Queen’s ‘Don’t Stop Me Now’」と題した記事で、本楽曲が近年特に人気を博していると分析。Spotifyでは5億回以上再生されており、Rolling Stones、U2、Led Zeppelinのどの楽曲よりも再生回数が多いことを指摘した。

The Guardianのアレクシス・ペトリディスは「驚異的な楽曲であり、クイーンの最高傑作かもしれない」と評価。Stylus Magazineのマイク・オームはアルバムの「最も華やかでエネルギッシュなシングル」として7位にランク付けた。Billboardは「ブライアン・メイのギターソロが際立ち、前シングル『Bicycle Race』や『Fat Bottomed Girls』よりもシンプルだが、マーキュリーの圧倒的なボーカルが健在」と評した。

Cash Boxは「マーキュリーの劇的なボーカルと多彩なアレンジ、美しいコーラスとメイのギターワークが特徴」とコメントし、Record Worldは「テンポの速い楽曲であり、マーキュリーのリードボーカルとメイのギターが際立つ」と評価した。イギリスのテレビ番組『Top Gear』では「史上最高のドライビング・ソング」に選出された。

批判

楽曲のテーマについて、ブライアン・メイは当初懐疑的であった。彼はマーキュリーの享楽的なライフスタイルを称賛するような内容に不安を抱いており、「フレディが薬物を使用し、多くの男性と関係を持っていた時期についての歌」と述べている。しかし、後に結婚式やパーティー、葬儀でも演奏される曲になったことを受け、「今では純粋な喜びを象徴する曲だと考えるようになった」と語っている。

ミュージックビデオ

ミュージックビデオはJ・クリーベンシュタインが監督し、1979年1月26日にベルギー・ブリュッセルのForest Nationalで撮影された。2008年8月1日にクイーンの公式YouTubeチャンネルにアップロードされている。

歌詞の意味

この曲は勢いそのままに突き進む解放感と高揚を全面に押し出した内容になっている。主人公は自分を止めようとする力を完全に振り切り、スピードやエネルギーの比喩を重ねながら、圧倒的な生の実感を抱えて走り続ける姿を示す。重力や常識といった制約から離れ、ただ歓喜のままに進む感覚が曲全体を貫き、瞬間の熱量だけが真実であるかのような世界が描かれている。

Lady Godiva(レディ・ゴディバ)とは?

Lady Godiva(レディ・ゴディバ)とは、11世紀のイングランドに実在した貴族の女性で、「裸で馬に乗った伝説」で有名な人物。

伝説によると、ゴディバは領主である夫に「民衆の重税を軽減してほしい」と懇願した。しかし夫は「お前が裸で馬に乗って街を回れば考えてやろう」と冷たく答えた。ゴディバは本当に裸で馬に乗り、街を回ったが、民衆は彼女の勇気を称え、誰も彼女を見ようとはしなかったと言われている。

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