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歌詞&翻訳
One, two, three, four
ワン、ツー、スリー、フォー
One, two (One, two, three, four!)
ワン、ツー(ワン、ツー、スリー、フォー!)
Let me tell you how it will be
どうなるか教えてあげよう
There’s one for you, nineteen for me
君の取り分は5%で、僕が95%
‘Cause I’m the taxman
だって僕は税金取り
Yeah, I’m the taxman
そう、僕がタックスマンさ
Should five percent appear too small
もし5%が少なく見えても
Be thankful, I don’t take it all
感謝してよ 全部取らないだけマシだって
‘Cause I’m the taxman
だって僕は税金取り
Yeah, I’m the taxman
そう、僕がタックスマンさ
(If you drive a car, car) I’ll tax the street
(車を運転すれば)道路に税金
(If you try to sit, sit) I’ll tax your seat
(座ろうとすれば)その席にも税金
(If you get too cold, cold) I’ll tax the heat
(寒すぎるって感じたら)暖房に税金
(If you take a walk, walk) I’ll tax your feet
(散歩すれば)足にも税金
Taxman!
タックスマン!
‘Cause I’m the taxman
だって僕は税金取り
Yeah, I’m the taxman
そう、僕がタックスマンさ
Don’t ask me what I want it for
何のために必要かなんて聞かないで
(Haha, Mr. Wilson)
(ハハ、ウィルソンさん)
If you don’t want to pay some more
もっと払わせられたくなかったらね
(Haha, Mr. Heath)
(ハハ、ヒースさん)
‘Cause I’m the taxman
だって僕は税金取り
Yeah, I’m the taxman
そう、僕がタックスマンさ
Now my advice for those who die
じゃあ死ぬ人へのアドバイスだよ
(Taxman!)
(タックスマン!)
Declare the pennies on your eyes
目の上のコインも申告してね
(Taxman!)
(タックスマン!)
‘Cause I’m the taxman
だって僕は税金取り
Yeah, I’m the taxman
そう、僕がタックスマンさ
And you’re working for no one but me (Taxman!)
君が働いてるのは、他の誰のためでもない、僕のためなんだ(タックスマン!)
曲情報
Taxman(タックスマン)は、イギリスのロックバンド、ビートルズによる楽曲で、1966年のアルバム『Revolver』に収録されている。作詞作曲はジョージ・ハリスンで、一部歌詞はジョン・レノンが補助した。この曲は、当時のイギリスにおける累進課税制度への抗議として書かれたもので、労働党政権(首相ハロルド・ウィルソン)下でビートルズが最大95%の超過課税(スーパータックス)を課されていたことが背景にある。アルバムのオープニング・トラックとして採用され、レノン=マッカートニーの支配的な作曲コンビに対抗する形で、ハリスンのソングライターとしての台頭に貢献した。ビートルズとしては初の時事的内容を扱った楽曲であり、初の政治的メッセージを含んだ作品でもある。
ビートルズが「Taxman」の録音を開始したのは1966年4月で、ハロルド・ウィルソンが総選挙で大勝した直後だった。この曲の創作と同時期に、ハリスンはバンドメンバーの納税義務が破産の危機につながる可能性があると知り、政府が彼らの収入を軍需産業の資金に充てていることに強く反発した。1960年代のソウルやR&Bの音楽スタイルを取り入れたこの曲では、税務官が執拗に税を徴収する様子が描かれており、ハロルド・ウィルソンと保守党党首のエドワード・ヒースの名が直接言及されている。レコーディングには、ポール・マッカートニーによるインド音楽風のギターソロ(要出典)が含まれている。
「Taxman」は、ブリティッシュ・サイケデリアやモッド・スタイル・ポップの発展に影響を与え、パンク・ロックの先駆けとも評価されている。1980年にザ・ジャムがヒットさせたシングル「Start!」は、本曲から多くを借用している。ハリスンは1990年代初頭のツアーでこの曲を演奏した際、当時の政治指導者たちに合わせて歌詞を改変しており、この曲の時代を超えたメッセージ性を示している。楽曲の影響は税務業界や政治的な課税議論にも及んでいる。
背景とインスピレーション
「Taxman」は、ビートルズが自らの財政状況が危機的であることを知った時期に、ジョージ・ハリスンによって書かれた。1966年4月、ロンドンの会計事務所ブライス、ハマー、イシャウッド&カンパニーの報告書によれば、「4人のうち2人はすでに破産寸前であり、残る2人もすぐにそうなる恐れがある」と指摘された。1980年の自伝『I, Me, Mine』でハリスンは「“Taxman”を書いたときに初めて、金を稼ぎ始めたにもかかわらず、ほとんどすべて税金で持っていかれていることに気づいた。あの時も今もそれが現実なんだ」と述べている。当時、彼らの収入はイギリスの最上位課税対象に該当し、ハロルド・ウィルソン率いる労働党政権によって導入された95%のスーパータックスを課されていた。このため、歌詞の「君に1、僕に19(There’s one for you, nineteen for me)」という一節が生まれた。
ハリスンは歌詞を完成させるにあたり、ジョン・レノンに助けを求めた。レノンは1980年の回想で「彼がポールには頼めなかったから僕に頼んできたんだ。ポールは当時、手伝わなかったから」と述べ、「自分の曲とポールの曲で手一杯だったけど、ジョージのことは好きだったから手伝った。傷つけたくなかった」と語っている。
財政面の不満に加えて、ハリスンは自分たちが納めた多額の税金が軍需産業に使われていることにも強い疑問を抱いていた。この懸念は、1966年2月末にモーリーン・クリーヴが『イブニング・スタンダード』紙に掲載した「How a Beatle Lives」というインタビューでも語られており、ハリスンは権威への反抗やベトナム戦争への批判も口にしていた。彼はハロルド・ウィルソンを『ロビン・フッド』の悪役「ノッティンガムの保安官」に例えていた。
楽曲では「ミスター・ウィルソン」と「ミスター・ヒース」という具体的な名前が登場し、後者は保守党党首エドワード(テッド)・ヒースを指している。1965年6月、ウィルソンはビートルズを大英帝国勲章(MBE)に任命した。これはポピュラー音楽家に対する前例のない叙勲であり、彼らが国家経済にもたらした貢献が評価された結果だった。1964年の世界的ブレイクによって、ビートルズはイギリスのポップ音楽を初めて国際的な輸出産業とし、イギリスの観光、ファッション、エンターテインメント全般に好影響を及ぼした。映画やその他の芸術的商業活動への波及も大きく、1966年初頭にはロンドンが国際文化の中心地「スウィンギング・シティ」として広く認識されていた。イアン・マクドナルドは「Taxman」に関する考察の中で、「ビートルズが財務省に納めた多額の税金は、MBEを受けた代償だった」と指摘している。
歌詞の意味
目の上のコイン(the pennies on your eyes)とは?
Declare the pennies on your eyes
目の上のコインも申告してね
イギリスでは昔、死者の目の上にコイン(ペニー)を置く風習があった。理由は、遺体の目が開かないようにするため(目を閉じたままにしておくための重し)。また、死後の旅路の支払いを象徴するという、古代ギリシャの冥界信仰(カロンの渡し賃)と同様の意味合いも含んでいたとされている。