【曲解説】The Police – Synchronicity I

動画

▼1983年のライブバージョン

The Police ~ Synchronicity I ~ Synchronicity Concert [1983]
This live video shows The Police at The Omni Coliseum in Atlanta on 11-03-1983. Originally The Police wanted to release ...

曲情報

「シンクロニシティ I 」はポリスの曲であり、アルバム『シンクロニシティ』のオープニングトラック。スティングが作詞したこの曲は、日本限定シングルとして1983年10月26日にリリースされた。

歌詞の意味

この曲はカール・ユングの「シンクロニシティ(共時性)」の理論に影響を受けている。また、歌詞にはウィリアム・バトラー・イェイツの詩『The Second Coming(再臨)』からの用語である「Spiritus Mundi(世界の精神)」も含まれており、これはウィリアム・バトラー・イェイツがユングの「集合的無意識」という理論を指すために使ったものである。

ちなみにザ・スミスの楽曲「Cemetry Gates」にもイェイツに言及する歌詞がある。


この曲は表面的には無関係に見える出来事や感覚が目に見えない原理によって結びついていくという“シンクロニシティ”の概念を音楽的に展開している。呼吸や夢の共有といった身近な感覚から、宇宙的規模の現象までが一つの見えない糸で連動しているという感覚が繰り返し語られ、日常と超常の境界が解け合うような世界観が提示される。

語り手は、論理や科学では捉えきれないつながりの存在を示し、それがほとんど知覚できないほど微細でありながらも確実な力として働いていることを強調する。因果律の枠外にある出来事、説明不能な一致、直感的な理解などが、どれも大きな網目の一部として扱われる。

個々の経験は孤立して見えても、星の落下や電話の呼び出しといった偶然が互いを呼び合うように響き合い、個人同士もまた不可視の領域でつながっているという感覚が帯域を広げていく。終盤では、原因なき効果や量子世界の法則が引き合いに出され、従来の科学的理解さえも立ち止まらざるを得ない領域として描かれる。

全体として、世界の背後に潜む連鎖や一致を詩的に捉え、説明を拒む不思議な調和を“シンクロニシティ”という一語に収束させた作品になっている。

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