動画
曲情報
「The Reflex」(ザ・リフレックス)は、イギリスのポップ・ロック・バンド、Duran Duran(デュラン・デュラン)の11枚目のシングルで、1984年4月16日にリリースされた。この楽曲は、3作目のスタジオ・アルバム『Seven and the Ragged Tiger(セブン・アンド・ザ・ラグド・タイガー)』(1983年)からの3枚目にして最後のシングルであり、シングル用に大幅なリミックスが施されている。このシングルは、Duran DuranにとってBillboard Hot 100で初の1位獲得曲であり、UKシングルチャートでも2度目の1位を記録した。Billboardチャートにおいては、この曲がブルース・スプリングスティーンの「Dancing in the Dark」の1位獲得を阻んだ2曲のうちの1つであり(もう1つはプリンスの「When Doves Cry」)、重要な記録を残している。
楽曲の背景
プロデューサーのイアン・リトルは、ニック・ローズがRoland Jupiter-8シンセサイザーで生み出した音について次のように述べている。「あのスティールパンのような音を聴くたびに、今でも笑顔になる。音程がかなり外れているんだけど、スティールパンってそういうもの。でも、リズムとトーンの点では完璧だった。そこにウッドブロックの音も混ぜて、さらにパーカッシブにしたんだ。その試みは成功したと思う」。
批評
『Cash Box』誌は「サイモン・ル・ボンの滑らかなボーカルと、ファンク・ビートに乗せたタイトなユーロポップのリズムが際立っている“『The Reflex』は現行ファンを刺激するだけでなく、よりダンス志向の新たなリスナー層にも訴えるだろう」と評価している。
ミュージックビデオ
「The Reflex」のミュージックビデオのメイン撮影は、1984年3月5日にカナダ・オンタリオ州トロントのメイプル・リーフ・ガーデンズで行われた『Seven and the Ragged Tiger Tour』中に実施された。監督はラッセル・マルケイが務め、当日の午後に屋内アリーナでクローズアップ映像が撮影され、同日夜のライブパフォーマンス中にバンドの演奏シーンが撮影された。
歌詞の意味
この曲は衝動や本能のような“反射的な自分”に振り回されながら、混乱の中で足場を探している心の揺れを不思議なイメージで描いている。状況はめまぐるしく、自分の意思では止められない流れに乗せられてしまい、何が正しいのか判断する余裕もなくなる。その中で湧き上がる不安や苛立ちが、謎めいた比喩として積み重ねられている。
“リフレックス”は人の心の奥で勝手に動く衝動の象徴で、思いもしない方向へ状況を運び、答えではなく疑問ばかりを残していく存在として描かれている。すべてが不可解で掴みどころがなく、ただ振り回されている感覚が曲全体を支配している。
全体として、迷いや焦りをポップで奇妙な言葉遊びに変え、混沌をそのまま楽しむような独特のテンションを持った曲になっている。
タイトル「The Reflex」の意味
Duran Duranの「The Reflex」における “The Reflex” は、歌詞の中で象徴的・謎めいた存在として描かれており、具体的に何かを指しているわけではなく、多義的かつ抽象的な概念と解釈される。
「The Reflex」は孤独な子どもであり、暗闇の中で宝物を見つけるための扉だということは歌詞で明らかになっているが、なぜそれを「傷つけてはいけない(bruise it)」のか?なぜサイモン・ル・ボンは「バレンタインの上で踊っている(dancing on the valentine)」のか?
グループのリードシンガーで作詞も担当しているル・ボンは、その意味を明かそうとせず、時には質問されると苛立つことさえある。彼はAbsolute Radioのインタビューでこう語っている。「これはある種、子どもっぽい歌なんだ。たまにこの曲にちょっと疲れを感じることもあるけど、それはたいてい、みんなが“この曲って何についての歌なの?”って聞いてくるからなんだよ。だけど僕は曲の意味を人に教えたりはしないんだ」
ベース担当のジョン・テイラーもこう付け加えた。「この歌詞は本当に面白いよ。今の時代にこういう歌詞は出てこない。80年代初期って、“深くて奇妙で、ちょっと被害妄想気味のポップな歌詞”が本当に輝いていた時代だったからね」


