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「Hotel California」(ホテル・カリフォルニア)は、アメリカのロックバンド、イーグルスの楽曲で、1977年2月22日に同名アルバムのセカンドシングルとしてリリースされた。この曲の作曲はドン・フェルダー、作詞はドン・ヘンリーとグレン・フライが手がけ、ヘンリーがリードボーカルを担当している。曲の最後には、フェルダーとジョー・ウォルシュによる2分12秒に及ぶエレキギターのソロがあり、交互にリードを弾いた後、ハーモニーを奏でながらアルペジオを重ね、フェードアウトしていく。
評価、チャート、実績
この曲はバンドを代表する楽曲のひとつであり、1998年にはギタリスト誌の読者投票で、長いギターソロのエンディングが「史上最高のギターソロ」に選ばれた。1978年にはグラミー賞の「最優秀レコード賞」を受賞している。歌詞の意味についてはリリース当初からファンや評論家の間で議論が続いているが、イーグルスのメンバーはこの曲を「ロサンゼルスの華やかな生活の解釈」だと語っている。2013年のドキュメンタリー『History of the Eagles』では、ヘンリーが「この曲は純粋さから経験への旅について描いたもの、それだけさ」と説明している。
「Hotel California」は、リリース以来、史上最高のロックソングのひとつとして広く評価され、多くのアーティストにカバーされてきた。ジュリア・フィリップスはこの曲を映画化することを提案したが、バンドのメンバーがそのアイデアを気に入らず、実現には至らなかった。商業的にも成功し、Billboard Hot 100で1位を獲得し、各国のチャートでもトップ10入りを果たしている。イーグルスはこの曲を1,000回以上ライブで演奏しており、「Desperado」と「Take It Easy」に次いで、彼らの楽曲の中で3番目に多く演奏されている。
背景
フライとヘンリーは、デモを聴いた後にこのメロディーに興味を持ち、歌詞のコンセプトについて話し合った。2008年にフェルダーは歌詞の制作について次のように語っている。
「ドン・ヘンリーとグレンがほとんどの歌詞を書いた。俺たちは皆、夜のロサンゼルスへ車で向かったんだ。誰もカリフォルニア出身じゃなかったし、夜にL.A.へ入ると[…] 地平線に光がぼんやりと輝いて見える。それを見てるとハリウッドや自分の夢が頭の中を駆け巡るんだ。だから、そういうことを描き始めたんだよ」
ヘンリーは「ホテル・カリフォルニア」というテーマを決め、ビバリーヒルズ・ホテルが当時の彼らの人生にとって、文字通りそして象徴的な中心地になっていたと述べている。ヘンリーは、L.A.での個人的かつ仕事上の経験についてこう語った。
「俺たちは人生、愛、ビジネスについて徹底的に学んでいた。ビバリーヒルズは俺たちにとってまだ神話的な場所だった。そういう意味で、それは象徴のようなものになり、『ホテル』はL.A.が俺たちにとって何を意味するかの象徴になった。ひと言で言うなら、『純粋さの終焉』の第一幕だよ」
フライは、この曲の構成をシネマティックなストーリーとして考案した。長い距離を走って疲れ果てた男が、休める場所を見つけて一晩泊まろうとする。しかし、そこは「奇妙な人物たちがいる異様な世界」で、彼はすぐに「閉塞感と、逃げ出せない不気味な罠に囚われた感覚」に襲われる。
フライはキャメロン・クロウとのインタビューで、彼とヘンリーが「この曲を『トワイライト・ゾーン』のエピソードのように始めたかった」と語り、さらに「この男を『魔術師(The Magus)』のキャラクターみたいにしたかったんだ。彼がドアを開けるたびに、新しい現実が待っているような感じでね。まるで映画のような曲を書きたかった」と述べた。
NBCのボブ・コスタスとのインタビューでは、この曲を「まるで映画のモンタージュみたいに、一つの場面から次の場面へと移っていくもの」と説明し、「ハイウェイを走る男、ホテルの外観、男が中に入り、ドアが開き、奇妙な人々が現れる——そんな場面の連続を作ろうとしたんだ」と語った。そして、「何か奇妙なものを作りたかった。ただ、それができるか試したかったんだよ」と付け加えた。
フライのアイデアを基にヘンリーがほとんどの歌詞を書き、曲のインスピレーションを得るために砂漠へドライブに出たり、映画や演劇から着想を得たりした。
歌詞の一部、「Her mind is Tiffany-twisted, she got the Mercedes bends / She got a lot of pretty pretty boys she calls friends(彼女の心はティファニーの輝きに狂わされ、メルセデス・ベンツに乗り / 彼女には『友達』と呼ぶ美しい男たちがたくさんいる)」は、ヘンリーが当時付き合っていた恋人、ロリー・ロドキンとの破局をもとにしている。
また、「They stab it with their steely knives, but they just can’t kill the beast(鋼のナイフでそれを刺しても、獣を殺すことはできない)」という歌詞にある「steely」という単語は、バンド「スティーリー・ダン」への遊び心のあるオマージュであり、彼らの楽曲『Everything You Did』の中に「Turn up the Eagles, the neighbors are listening(イーグルスの音を上げろ、ご近所さんが聞いてるぜ)」という歌詞があることへの返答だった。
フライはまた、「スティーリー・ダンの歌詞の大胆さや、常識を超えた表現に触発された」と語り、この曲が「完璧な曖昧さを達成した」と考えていた。
歌詞の意味
colitas(コリタス)とは?
「Hotel California」の歌詞に登場する “Warm smell of colitas rising up through the air”(コリタスの暖かな香りが空気に立ち上っていく)というフレーズにある “colitas” という単語の意味については、長年議論されてきた。
1. スペイン語での意味
“Colitas” はスペイン語の “colita”(小さな尾、末端の部分)の複数形。この単語が何を指すのかについては、いくつかの説がある。
2. マリファナの隠語説
メキシコのスラングでは “colitas” が マリファナの芽(つぼみ) を指すことがある。
「空気に漂うマリファナの甘い香り」という解釈が、最も一般的なものとして受け入れられている。
ドン・フェルダー(Eaglesのメンバー)の証言
「”Colitas” はマリファナの芽のことを指している。アメリカ南西部のスラングだ。」
この解釈は、歌詞全体の幻想的な雰囲気とも一致する。
3. 砂漠に咲く小さな花説
“Colitas” を「砂漠に咲く小さな花」と解釈する説もある。この場合、「温かな香り」は、砂漠の植物が夜間に発する香りを指している可能性がある。しかし、Eaglesのメンバーがこの解釈について言及したことはない。
結論
“Colitas” は マリファナのつぼみ を意味するという解釈が最も有力。ただし、曖昧な表現を意図的に用いることで、リスナーの想像力に委ねる狙いがあったとも考えられる。
mission bell(ミッションベル)とは?
“Hotel California” の歌詞に登場する “I heard the mission bell”(ミッションベルの音が聞こえた)というフレーズの “mission bell” には、いくつかの解釈がある。
1. カリフォルニアのミッション(伝道所)にある鐘
Mission Bell は、カリフォルニア州に点在する スペインの伝道所(ミッション) に設置されていた鐘を指す可能性がある。18世紀後半から19世紀初頭にかけて、スペインのフランシスコ会修道士がカリフォルニア各地に 21の伝道所(ミッション) を設立した。
この鐘は、礼拝や重要な出来事を知らせるため に使われたもので、カリフォルニアの歴史や文化を象徴するものとなっている。Eaglesが「カリフォルニアの光と影」をテーマにしていたことを考えると、この歴史的な背景を反映している可能性が高い。
2. 精神的な目覚めや警告の象徴
“Mission Bell” を 宗教的な象徴 として捉える解釈もある。この鐘の音が聞こえたことは、警告のサインや精神的な目覚めの瞬間 を示している可能性がある。
この曲の語り手は、「ホテル・カリフォルニア」に足を踏み入れたことで、未知の世界に引き込まれることになる。その直前に鳴る “mission bell” は、「この先に待つのは天国か地獄か?」という疑問を抱かせる要素となっている。
3. 実際の「ミッションベル・モーテル」説
カリフォルニア州リバーサイドには、Mission Bell Motel(ミッションベル・モーテル) という実在の宿泊施設がある。このモーテルが歌詞のインスピレーションになったという説もあるが、Eaglesのメンバーがこのモーテルについて言及したことはない。
結論
“Mission Bell” は、カリフォルニアの歴史的なミッションの鐘 を指している可能性が高い。ただし、それだけでなく、警告のサインや精神的な目覚めの象徴 という解釈もできる。歌詞の流れから考えると、「ホテル・カリフォルニア」という幻想的な場所へ足を踏み入れる前に鳴る、不吉な前触れ として機能しているとも考えられる。


