【和訳】Elliott Smith – Condor Ave.

動画

歌詞&和訳

She took the Oldsmobile out past Condor Avenue
彼女はオールズモビルに乗って出発し、コンドール・アベニューを通り過ぎた
And she locked the car and slipped past into rhythmic quietude

そして彼女は車にロックをかけ、気づかぬうちにリズミカルな静寂の中に入り込んだ
Lights burning, voice dry and hoarse

ヘッドライトは熱を放ち、彼女の声は乾いて掠れている
I threw the screen door like a bastard back and forth

僕は狂ったように網戸を振り回し放り投げた
The chimes fell over each other, I fell onto my knees

チャイムが不協和音を奏で、僕は膝をついた
The sound of the car driving off made me feel diseased

車が走り去る音を聞くと気分が悪くなった
A sick shouting like you hear at the fairground

遊園地で聞くようなけたたましい叫び声
Now I’m picking up to put away anything of yours that’s still around

今僕はまだその辺に散らばっている君のものを拾い上げて片付けている

I don’t know what to do with your clothes or your letters
君の服や手紙をどうしたらいいかわからない
It’ll make a whisper out of you

そういう物から君の囁き声が聞こえてくるんだ

She took the Oldsmobile out past Condor Avenue
彼女はオールズモビルに乗って出発し、コンドール・アベニューを通り過ぎた
The fairground’s lit, a drunk man sits by the gate she’s driving through

遊園地に明かりが灯り、彼女が通り過ぎるゲートの横には酔った男が座っていた
Got his hat, tipped bottle back in between his teeth

帽子をかぶって、傾けた酒瓶を咥え
Looks like he’s buried in the sand at the beach

まるでビーチの砂の中に埋められた男のようだ
I can’t think about you driving off to leave barely awake
To take a little nap while the road is straight

君は道がまっすぐなうちに少し居眠りしようと、うとうとしながら走り去ろうとしたんだって考えると耐えられない
I wish that car had never been discovered

あの車が発見されなければよかったのに
They took away the bottle and the hat he was under

彼がかぶっていた帽子とボトルが取り除かれた

That’s the one thing that he could never do
それは彼が決してできなかったことの一つなんだ
And it’ll make a whisper out of you

そしてそれが君の囁き声として聞こえてくるんだ

She took the Oldsmobile out past Condor Avenue
彼女はオールズモビルに乗ってコンドール・アベニューを通り過ぎた
Cops were running around the scene looking for some kind of clue
警官たちが事故の原因を探して現場を走り回っていた
They never get uptight when a moth gets crushed

彼らは蛾が潰されても気にしないだろう
Unless a light bulb really loved him very much

電球から愛されすぎていた蛾でもない限り
I’m lying down, blowing smoke from my cigarette

僕は寝そべって、タバコの煙を吹かしている
Little whisper smoke signs that you’ll never get

小さなささやきの煙のサインは、決して君に届かないだろう
You’re in your Oldsmobile driving by the moon

君はオールズモビルに乗って、月のそばを走っている
Headlights burning bright ahead of you

ヘッドライトが君の前方を明るく照らしている

And someone’s burning out, out on Condor Avenue
そしてコンドール・アベニューで憔悴しきっている誰かは
Trying to make a whisper out of you

君からの囁き声を聞こうとしている

What a shitty thing to say, did you really mean it?
なんてひどいことを言うんだよ、君は本気だったの?
You never said a word to me about what passed between us

僕らの間に起こったことについて君は一切触れなかった
So now I’m leaving you alone

だから今、僕は君を一人にするよ
You can do whatever the hell you want to

君がやりたいことは何だってできるんだ
Na, na-na-na-na-na

曲情報

 「コンドール・アベニュー」はアメリカのシンガーソングライター、エリオット・スミスのデビュー・スタジオ・アルバム『Roman Candle』に収録された曲。この曲は 1993年末に録音され、1994年 7月14日にレコードレーベルCavity Searchからリリースされた。

 この曲はエリオット・スミスが高校時代に作詞したもの。

解釈

She took the Oldsmobile out past Condor Avenue
彼女はオールズモビルに乗って出発し、コンドール・アベニューを通り過ぎた

 オールズモビルは自動車のブランド。元は1897年に会社として発足したが、1908年にゼネラル・モーターズに買収され、同社のブランドとなった。

And she locked the car and slipped past into rhythmic quietude
そして彼女は車にロックをかけ、気づかぬうちにリズミカルな静寂の中に入り込んだ

 それまで語り手と激しい口論をして騒音の中にいた彼女が、憔悴した状態で車に乗って走り出し、走行音だけという静けさの中で、眠気に襲われていることを描写している。

Lights burning, voice dry and hoarse
ヘッドライトは熱を放ち、彼女の声は乾いて掠れている

 彼女の声が乾いて掠れているのは激しい口論をしたことを表している。

The chimes fell over each other, I fell onto my knees
チャイムが不協和音を奏で、僕は膝をついた

 チャイムはインターホンのことではない。

That’s the one thing that he could never do
それが彼が決してできなかったことの一つなんだ

 「それが彼が決してできなかったこと」とは酒瓶を口から離すこと=アルコールを断つこと、もしくは死ぬこと。道端に座り込み、酒瓶をあおった廃人同然の彼が、死にたくても何らかの理由(意気地がない等の理由)で死ねず、ついに車に轢かれるという方法で死ねたと解釈できる。

They never get uptight when a moth gets crushed
彼らは蛾が潰されても気にしないだろう
Unless a light bulb really loved him very much

電球から愛されすぎていた蛾でもない限り

 事故現場に到着した語り手を蛾に喩えて、心を砕かれた語り手のことを誰も気にしていない様子を表現していると思われる。電球は月の比喩であり、月は彼女の比喩でもある。つまり「彼女から愛されすぎていた男でもない限り」という意味に解釈できる。

I’m lying down, blowing smoke from my cigarette
僕は寝そべって、タバコの煙を吹かしている
Little whisper smoke signs that you’ll never get
小さなささやきの煙のサインは、決して君に届かないだろう

 おそらく家に戻った語り手はソファかベッドに横たわり、気持ちを落ち着けるためにタバコを吸いながら彼女のことを考えている。

You’re in your Oldsmobile driving by the moon
君はオールズモビルに乗って、月のそばを走っている
Headlights burning bright ahead of you

ヘッドライトが君の前方を明るく照らしている

 先程まで彼女と激しく口喧嘩していた語り手だが、今や彼女への怒りは消え失せ、彼女の死後の旅に幸せがたくさん訪れるように願っている。

And someone’s burning out, out on Condor Avenue
そしてコンドール・アベニューで憔悴しきっている誰かは
Trying to make a whisper out of you

君からの囁き声を聞こうとしている

 burning outは物理的に燃え尽きた人を言っているわけではなく、事故現場にやってきた誰か(彼女の家族や知人)が精神的に燃え尽きるほど疲弊していることを言っている。そして彼女の亡骸から囁き声を聞こうとしていることを語り手が想像している。

What a shitty thing to say, did you really mean it?
なんてひどいことを言うんだよ、君は本気だったの?
You never said a word to me about what passed between us

僕らの間に起こったことについて君は一切触れなかった
So now I’m leaving you alone

だから今、僕は君を一人にするよ
You can do whatever the hell you want to

君がやりたいことは何だってできるんだ
Na, na-na-na-na-na

 激しい口論の中で、彼女は「僕ら」の間に起こったことについて一切話そうとしなかった。喉が枯れるくらい大声を出して話したことは、語り手への罵り言葉だったのかもしれない。そして「Leave me alone (私のことは放っといて)」と語り手に言ったのかもしれない。「So now I’m leaving you alone (だから今、僕は君を一人にするよ)」と返している。「君がやりたいことは何だってできる」のは彼女がもう死後の世界へ旅立って、彼女を縛っていた語り手との関係は完全に解消されたから。

ライブ映像

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