【曲解説】George Michael – Fastlove

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曲情報

「ファストラブ」は、イギリスのシンガーソングライター、ジョージ・マイケルの曲で、1996年4月22日にイギリスではヴァージン・レコード、アメリカではドリームワークス・レコードから、彼の3枚目のアルバム『オールダー』(1996年)からの2枚目のシングルとしてリリースされた。マイケル、パトリス・ラシェン、フレディ・ワシントン、テリ・マクファディンによって作詞され、マイケルとジョン・ダグラスによってプロデュースされたこの曲は、ラシェンの1982年のシングル「フォーゲット・ミー・ノッツ」を補完するものである。

商業的には、オーストラリア、ハンガリー、イタリア、スペイン、イギリスの6か国でチャートのトップに立ち、カナダのRPMアダルトコンテンポラリーチャートでも1位を獲得した。これはマイケルの生涯で7枚目で最後のナンバーワンシングルであり、イギリスで7番目にダウンロードされた曲であり、60万枚以上の販売とストリーミングにより英国レコード産業協会(BPI)からゴールド認定を受けた。 1997年のブリット・アワードで最優秀シングルにノミネートされた。アメリカでは、このシングルはビルボードホット100で最高8位に達し、マイケルにとって15回目のトップ10ヒットとなり、ホット100に登場した最後の曲となった。

歌詞の意味

この曲は安定した愛や将来の約束を求める空気から距離を置き、今はただ心を軽くしてくれる関係だけを欲している主人公の奔放さと孤独を描いてる。夜に飛び出して余計な会話を避け、深刻なことは何もいらないと言い切りながら、その裏には過去の傷や不安が静かに潜んでいる。

周囲の友人たちが家庭を築き落ち着いていくなか、主人公は自分だけが取り残されているような感覚を抱えつつも、重たい関係に足を踏み入れる気はない。求めているのは心を紛らわせてくれる一瞬のつながりで、本気の恋ではなく、痛みを忘れさせてくれる軽やかな逃避。その気持ちを飾らずに伝えることで、むしろ誠実さのようなものがにじんでくる。

相手との距離を深めるつもりはないのに、孤独が完全に癒えるわけでもなく、過去に愛していた人を思い出してしまう弱さも顔をのぞかせる。速い愛を求めながら、心のどこかでは安心やぬくもりを欲している矛盾が、躍るようなリズムの下にひっそりと流れている。

全体として、享楽的な奔放さと、満たされない心の隙間が同時に響く曲になっている。

その他の動画

2008年、ロンドンでのライブパフォーマンス